alla marcia

こはぜの覚え書き

近代能楽集「卒塔婆小町」「弱法師」

2005-07-16 23:54:57 | 見にいきました
 大阪のシアターBRAVA!へ。
 「近代能楽集」の文庫本は、サイズも手頃で何度読んでも新鮮。お芝居ですから、黙読してても頭の中は台詞口調なので時間が持つこともあり、長距離の通勤・通学をしていた頃によく電車のお供にさせて頂いておりました。洋服着て現代語をしゃべる舞台には疎いのですが、原作に関してはまあまあ予習が出来ているのかな、といった状態での観劇です。
 卒塔婆小町は、小町と詩人がワルツを踊るところ…小町がすーっと腰を伸ばして詩人と相対するまでの長いような短いような時間…まさに突如現れた「美女」に驚かされました。
 これが演技というものでしょうか。
 くるくる回るワルツの輪の中で、白髪にボロの皺だらけの小町が誰よりも美しい。
 本で読んでいるときには「小町が美しい」ということが実際の舞台でどう表現されるのか、全くイメージ出来ずに台詞を追っていたのですが、すごい説得力です。
 弱法師は藤原竜也くんの熱演です。同じ「近代能楽集」の「邯鄲」の次郎さんもこの俳優さんで観てみたいと思いました。三島由紀夫が藤原くんのような青年をお好みだったかどうかはさておき、三島戯曲のお乳母日傘のおぼっちゃま(しかも頭がいいのにひねている…)の雰囲気が感じられました。雰囲気ではなくて、これも演技なのでしょうか。
 ただ、自分が現代演劇を見慣れていないせいか、舞台の空気が薄いような、ひとりひとりの力がここまで届いてこないような、満腹感のない状態で終わったような感じも否めません。
 それは、決して舞台が薄味なのではなく、私の方がこてこてガッツリしたものに慣れてしまっているせいなのかもしれません。豚骨ラーメンの汁をすするように吸い物に口をつけて、味が薄いって言うてるようなもんでしょう。「型」も「伝統」も、あるいは「血」の力も借りない生身の人間が、裸で演じるときの「力」というのはこういうものなのではないでしょうか。白塗りで増幅されたエレキギターを聞き慣れた耳でアコギを聞いて「音小さい??」なんて思って肝心の音楽を聴いてないっちゅうのはナンセンスでしょうし…。
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2 コメント

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やっと来れました~ (こやま@持続する夢)
2005-07-18 21:36:58
TBしていただきながら、そのままにしていてごめんなさい。

二日がかりの観劇記事がようやく完成いたしました。(書き終わるまで、他に出かけるのをやめていたんです)



『邯鄲』の次郎を竜也くんで。いいですねー。彼の演技は、観客に夢を見せることができますから、ぜひ観てみたいです。でも、そのときの菊役の女優さんは誰でしょう。。ぜんぜん考えつけませんでした。
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こんなあばら屋へようこそ… (こはぜ)
2005-07-18 22:00:15
こやま様

 何もないところへようこそおいでくださいました。(お恥ずかしい…)

 「弱法師」のつづき、まだかまだかと読ませていただきました。感想はそちらへ書かせていただいてよろしいでしょうか。(といいつつ、お返事を待たずに書かせていただきますが



★近代能楽集がらみの検索でこちらへおいでくださった方がいらっしゃいましたら、こんなところで「たいしたこと書いてない…」とがっかりしている場合ではございません!即こやま様のところへ飛んでみてください!
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