大同大学-高森裁判 経過ブログ

「ペンネーム使えますか?」
問い合わせただけで契約を解除された高森が、支援者とともに裁判を闘うドキュメンタリー。

学問の意義って?

2009-10-21 03:52:39 | その他
 クイア学会という新しい学会があって、そこで問題が発生しているようです。

 伏見憲明さんのブログに、ことの経過が出ています。

 セクシュアリティの社会学は、不可避的に「近代を問い直す」ことになります。同性愛者などのマイノリティを、いないものとして処理してきたか、積極的に排除してきたかはともかく近代のシステムの中で差別されてきたのは間違いないので、その根拠を探すことにすると近代というシステムを成立させている土台を見直す必要があるのです。
 ここまではよいのですが、その結果、近代に成立したシステムはなんでも悪ということになってしまいがち。そうすると、アナーキーな主張がまかり通ってしまう風潮ができあがります。

 伏見さんが今回直面した例については、おそらく名誉毀損の可能性があります。

男性特権への無関心やバイセクシュアル攻撃、同性愛者中心主義など権力志向の言動を繰り返して来た

 とありますが、伏見さんの著作リストを見ると、1996年に『クィア・パラダイス』という本を出版されていますが、これはそれまでゲイのようなマイノリティの中では比較的大きな母集団を持つ一群が先頭を切って、裁判をおこしたり、映画や著作を世に出していった時代に、さまざまな性的マイノリティをつなごうとした対談集です。つまりゲイのなかでは最も早くから「男性特権」「同性愛中心主義」を相対化するお仕事をしてきておられるわけです。

 さて、もしそれが客観的事実と認定されるとするならば(そこは客観的事実として「男性特権」「同性愛中心主義」を唱えていることを証明してもらえる可能性はありますので、仮定ですが…)、事実をあげて公然と社会的な名声を毀損する可能性があり、名誉毀損の成立要件を満たす可能性が高いと思います。
 つまり、民法723条に規定されている名誉毀損にあたるかもしれません。
 したがって、本来は損害賠償の請求や謝罪広告の要求などをすることができるかもしれません。(詳しいことは専門の弁護士等に聞いてみないと分かりませんが……)

 仮に名誉毀損が成立するとして、発表者だけが責任を負うことになるのか、それとも掲載を許可した学会側にも責任を問えるのかというのもあります。しかし、雑誌記事で名誉毀損があった場合に、雑誌社が訴えられることも多いので、この場合学会側の責任も問えるということになるんじゃないかと思われます。しかも、発表要旨を審査なく機械的に乗せたのではなく、「この件については関係者がちゃんと議論をした上で、批判に一定の根拠があるものに関しては研究者の意向を尊重するという結論に至った」ということです。

 伏見氏は「品性」の問題としていますが、ひょっとすると学問を推進する人々に遵法精神がないということになるかもしれない。これではせっかく近代を問い直しても、単なるアナーキーになりかねないですね。

 果たしてアカデミズムとはなんなんだろう?ということをこのごろ考えています。アカデミアの住人たちはどうして私の裁判にも一切協力してくれないのか?グローバル化による格差の拡大を問題にしていたりしていても、正当な理由なく人のクビを切ることに何も感じないのかなぜなのか?
 不思議なことがいっぱいあります。

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10月16日の弁論準備手続きについてレポート

2009-10-21 03:39:35 | 裁判傍聴記
 先日16日に高森裁判の弁論準備手続が開催されました。最後の弁論準備手続です、いよいよ次回は証人尋問、12月2日(水)午前10:00、名古屋裁判所1103法廷です。一人でも多くの人の傍聴を、心からお願いします。

10月16日 大同大学裁判弁論準備手続きの報告(高森記)

 今回は弁論準備手続きの最終回ということで、論点の整理と証人が最終的に決定しました。
 まず、今回の公判に先立って被告大学から提出された第4準備書面の内容について、竹内弁護士のほうから、大学がリストアップといっているのは、リストアップをされた人の承諾を取っているのかどうかを問い合わせたところ、大学側としてはその点について感知しないが、教室主任の教授はその点分かっていると思われるので証人尋問で聞けばよいとのことでした。答弁書では、「非常勤講師に応募してきた人」との趣旨の記述があるのですが、実際には「非常勤講師として適任である可能性がある人物」を勝手に列挙している可能性があり、大学側が言う「リストアップ」の意味にぶれがあります。
 続いて、弁論準備手続きで出てきた内容の整理が行われました。
1:雇用契約の成立について
 意思の合致については、間に立った別の大学の教員経由で10月29日までに講師の募集に対する申し込みは行われたことと、上記別の大学の教員を伝令として雇用の条件を詰めて合意に至ったという主張を、こちらはしています。
 また、権限については、窓口担当者が教授会から授権しているか、もしくは教室主任が授権しており窓口担当者が代理で大学側の意思をメールで送信したか、どちらかであろうということも主張しました。この点については、教室主任の証人尋問で聞いてみることになろうかと思います。以上が、有権代理の論証となります。
 さらに仮に有権代理が成立しなかったとしても、表見代理は成立するという主張も行っております。教室主任ないし窓口担当者には、募集の誘引、応募の受付、リストアップについては権限を有しています。大学側は、これは事実行為だと主張していますが、こちらは少なくともこの中の一部は法律行為であり、基本代理権を構成するという主張です。
 これに対して、大学側は、そもそもこの時点では単なるリストアップにすぎず、2月初旬なってはじめて応募の意思表示と受領の手続きが取られたと主張しました(第1準備書面)。
 また、こちらとしては大同工業大学の窓口担当者が教室主任と相談の上送ってきたメールにより、大同工業大学の非常勤講師採用担当者からメールがあったと考え、代理権授与の表示による表見代理も成立するのではないかという主張もしました。
 大学側は、リストアップをしてその中から適任と思われ教務委員会や教授会に持っていく人選をすることは事実行為であり表見代理は成立せず、代理権授与の表示もないのでこちらの面からも表見代理は成立しないと主張をしています。
2:就労請求権について
 原告第3準備書面にあるとおり、特段の事情があると考えられるので、就労請求権を求めています。つまり、ごく大雑把にいうと、大学非常勤講師は講義を行うことによって、研究を深め、次のキャリアを目指すものなので、単なる金銭の問題ではなく就労することそのものに意味があるという主張です。
3:慰謝料請求について
 以上のように、権利を不当に貶められているので、それに対して慰謝料を請求しています。
 以上が、ここまでに出てきた争点です。要は窓口担当者が送ってきた「授業担当をお引き受けいただき、誠にありがとうございました」の一文のあるメールが大学側の意思の表示といえるのかどうなのかという点が、一番の争点となります。
 このような争点を明らかにすべく、証人を誰にするのかを決定しました。まず大同大学の人文社会科学教室主任、今回の大同大学と私の間の伝令役を勤めた他大学教員、および私ということになります。
 次回の公判は、12月2日午前10時より名古屋地方裁判所1103号法廷にて行われます。このとき私の証人尋問があります。あと最後の一押しです。傍聴を強く望みます。

 ネット上からも可能ですので、まだの人はぜひお願いします。ただし、IPアドレスで照会可能ですので、できるだけご自宅またはケータイからお願いします。
http://www.hijokin.org/~tokai/taka-sai/shomei.htm

 裁判の長期化にともない、裁判費用がさらに必要になります。どうか募金もよろしくお願いします。

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大同大学で「環境を科学する」の非常勤に応募した先生へ

2009-10-18 14:06:08 | その他
 大同大学では、来年度から開講の『環境を科学する』の非常勤講師を探しているようです。
 これに応募する先生におかれましては、さきほどのエントリーにも書きましたとおり、この大学はちょっとでも気に入らない言動があると、ウソや理由にならない理由をあげつらって人のクビを切ります。大学当局が採用を通知するまでは、大学側がなにをいってこようと、その人にはなんの権限もなく、大学として採用した覚えはないということをいいます。
 もし、応募する場合にも、他の仕事も可能性があるならば、そちらを探したほうがいいと思われます。どうしてもこの大学で働きたいと思ったら、正式な採用の通知がなされるまでは、一切、質問をしないほうがよいです。これから慎重に話を進めるために、ご一報いただけると幸いです。

 それから、もし何か困った対応をされましたら、東海圏大学非常勤講師組合のほうでも団体交渉、あっせん等々のアクションを取ることもできます(組合員がすでに働いているので、「採用しておらず労働者性がないので、団体交渉応諾義務はない」というようなことはもういえません)。
 お気軽にご相談ください。

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被告大学の主張検討 第三準備書面④

2009-10-18 13:20:44 | 裁判の経緯
 ペンネームでの出講についての大学側の主張です。

「被告では、既婚者が旧姓を使用して出講することは認めているものの、過去にペンネームでの出講を認めた例は存在しない」

 これは、裁判の中では「これまで申し出がなかった」ということをいっているので、申し出がなければ認めるわけがないですよね。大学側が解雇事由としてあげていたのが、「慣行慣例による」こと「慣行慣例しかない」と言っていたことがありますが、「これまでペンネーム使用の申し出がなかった」そうなので、ペンネームを拒否する慣行慣例もなかったということにほかなりません。こういうのを世間では「ウソ」という。

 ペンネームや通称使用については、大学では認められるようになってきており、たとえば早稲田大学などでは所定の履歴書にペンネームを申し出る欄まで作ってある。しかも私が出講している他大学では認められている。それでもめたことすらありません。
 最後のまとめが次のようになっています。

「原告は、ペンネームでの出講を認めない被告の対応を問題視するものであるが、以上によれば、このような被告の対応についてまったく問題はなかったということができる」

 私は、ペンネームでの出講を認めない被告の対応を問題視するという面はなくはないにしても、それよりも問題だといっているのは、「出講を認めない理由を聞いただけで解雇すること」をである。他大学では認められているペンネームによる出講を、大同大学だけ認めない理由は、事務的なシステムが整っていないなどなにかあるかもしれない。その合理的な理由を説明してくれといっただけであって、なにがなんでもペンネームじゃないと出講しないと言い張っているわけではないのである。大学側にも、その旨伝えたし、初回の公判での本人陳述書でも述べた。繰り返し申し上げていることなのだが、これがご理解いただけないのは、真に遺憾である。

 ちなみに、解雇事由として大学側があげているのは、先ほど言った①
慣行慣例ということ、それから②急を要していたので、対応する余裕がなかったということ、それから③監査があるので認められないということの3点です。
 まず、①については、先ほどのとおりウソであることを認めています。
 ②についても、リストアップの検討を行うのは12月の教務委員会で、今回の事件が起こってから1ヶ月以上の余裕がある。こういうのも、世間ではウソという。
 ③については、再三にわたる要請にもかかわらず依然として回答がない。こちらが調べた範囲では、少なくとも文部科学省と税務署では問題なく通る(というか、やりようがある。要はペンネームで出講していることが分かるようにしておけばいいだけである)。大学の言う監査というのがなんなのか変わらないが、ひょっとすると監査なるものはないのかもしれない。

 そういうわけで、そもそもこの3つの理由が解雇事由として相当かどうかというと、怪しいと思う。それはどれも私の落ち度はどこにもないからだ。しかも、これらはいずれもウソの可能性が高い。そもそも解雇事由として相当ではない理由を、ウソででっち上げて人のクビを切っていると思われる。

 ところが、大同大学はまだ採用した覚えはなく、採用前ならば大学側に広範な裁量権があるので、理由にならない言い訳でクビを切ろうが、ウソをついてクビを切ろうが知ったことではないというのである。
 常識的にはありえない反論だろう。
 私が親ならば、経済誌でたまに「就職に有利な大学」として掲載されていても
、このような大学には恐ろしくて到底子どもを通わせられないという判断をするでしょう。
 この常識に法理がどう当てはまるのかというのは、難しいところもあるようだが、公正な判決を期待したいところだ。そのためにできることをがんばっていきたい。あと一押しのお力添えをお願いします。

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被告大学の主張検討 第三準備書面③

2009-10-15 18:17:14 | 裁判の経緯
 法行為と事実行為という概念があります。
 法行為とは法律的な権利と義務が発生するけれども、事実行為では法律的な権利義務関係は発生しない、ということになっているようです。

 ○○准教授および教室主任の○○教授が協議の上で採用のメールを送るというのが、法行為なのか事実行為なのかというのが、論点になっています。法行為であれば、契約が成立しているし、そうでなければ契約は成立していない。

 法的な入り組んだ議論は、法律家ではない私には不可能ですが、一般常識的に考えると、「法行為でないならば、なぜ候補者リストから特定の人だけを落とすことができるのか?」ということが説明できないように思います。明らかな経歴詐称が見つかったとか(たとえばはじめからペンネームしか伝えないとかもそうなるでしょう)、犯罪歴があることが分かり事務的処理として落とすことが可能ならば「事実行為」の範疇になるような気がします(しかし、個人的にはきちんと罪をつぐなって社会復帰をしようとしている人について、犯罪歴だけで落とすのはどうかと思いますが)。
 そういう要素なく、「ペンネーム使用の可否、およびその理由」を問い合わせただけで、こちらに過失がないにもかかわらず採用手順を進めないで、候補からはずすことが可能であるということは、法行為として行っているように、素人目には見えます。
 果たして、そこのところはどうなのか? 
 興味深いです。

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