「浅間山明鏡止水」あさまやま めいきょうしすい

歌川広重「名所江戸百景⑥」11景上野清水堂不忍ノ池~写真と短歌で綴る世界文化紀行

歌川広重「名所江戸百景⑥」~写真と短歌で綴る世界文化紀行
 
歌川広重は、葛飾北斎と並んで、徳川時代の浮世絵版画を代表する画家である。その名声はヨーロッパにまで及び、いわゆるジャポニズム・ブームを呼んだほどだ。広重の風景版画としては、東海道五十三次のシリーズや、木曽街道六十九次のシリーズが有名である。名所江戸百景と題した大きなシリーズものは、安政三年(1856)から同五年(1858)にかけて刊行した。名所江戸百景とうたっているとおり、江戸の府内、府外合わせて119の風景を描いており、名所といわれるようなところはほとんどすべて網羅されている。写真のなかった当時、風景版画は人々にとっては身近な名所案内であり、また芸術鑑賞ともなった。そんなこともあって、大きな評判を呼び、版画としては異例の発行部数を誇った。

広重の絵の特徴は、独特の構図と、豊かな色彩感覚にある。広重は遠近感の表現がうまく、手前のものを巨大微細に描く一方、遠景を非常に小さく描くことで、その間にある空間を、遠近感をもって人々に認識させた。色彩については、ヒロシゲブルーという言葉があるように、独特の青の表現が特徴である。このブログでは、歌川広重の「名所江戸百景」119点のすべてについて、描かれた場所の解説とか、絵そのものの鑑賞をしたいと思う。


「11景上野清水堂不忍ノ池」
「佇まい桜満開清水堂 庶民の眼下に不忍の池」



上野の清水堂は、京都の清水寺にまねて、舞台の上につくられた。そこからは不忍池が見下ろせる。これを琵琶湖に見たてて、その中に竹生島に模した中島と弁天堂を作った。上野は桜の名所だが、その桜は吉野の桜を模したものだ。上野の山は、全体が寛永寺の境内地であって、普段庶民が立ち入ることはできなかったが、桜の季節だけは許された。庶民は山下の黒門をくぐって山の中に入り桜見物を楽しんだのだったが、寛永寺の規制が厳しく、飲酒管絃はご法度だった。この絵は、桜に囲まれた清水堂の佇まいを描いたもの。庶民が舞台の上から不忍の池の方向を眺めている。眼下には不忍の池と弁天堂に向かう中島の参道が見えている。

「12景上野山した 」
「伊勢屋には上手いしそめし看板で 庶民集まり娯楽の場にも」



上野の山には、普通黒門から入った。黒門は山の南側に位置し(京成駅から近い)、そこから東にかけた一帯が上野山下と呼ばれた。これはその一角を描いたものだ。黒門の南側の先は広小路になっていて、日よけ地としての役割を果たしていた。上野の広小路は、両国広小路と並んで、江戸有数の娯楽場だった。茶店、講釈場、見世物小屋などが集まり、ちょっとした遊興センターだったのである。この絵は、広小路に面して立っていた伊勢屋という店を描いている。この店はしそめしを食わせたという。大勢の庶民が集まり、二階では客がめしを食う様子が見える。また、店先を行く蛇の目傘の一行は、上野の山に桜見物に向かう人びとだろう。

参照
https://j-art.hix05.com/33.2.hiroshige/edo001.nihonbashi.html
https://j-art.hix05.com/33.2.hiroshige/edo006.kiyomizu.html

コメント一覧

knsw0805
さわさん、こんばんは。
江戸百景も楽しいですよ。場所の名前でほとんどが分かりますのでタイムスリップしている感じがします。実際にトラベルマシーンで江戸時代にワープしてみたいです(笑)なれるものなら、日本橋の越後屋、大伝馬町の大丸、呉服屋の松坂屋などの店主(タナヌシ)になって侍を応援する方に回りたいかな(笑)
さわやか♪
こんにちは

不忍池なのですね
松の形がとても面白いです
やはり色使いは広重ですね(^^)/

蛇の目傘の一行はお花見に行く芸者さんたちのような気がします
傘の下に着物が見えるような感じがしますが
それに傘の色もがらも同じでいなせな感じは 上野芸者さんのような?
「しそめし」どんなのか食べてみたいです!(^^)!

こちらは暖かい陽射しでした
いろいろ飛び回っていたので遅くなりました
もちろん夜も、楽しく過ごしましょうね
( ^^) _旦~~  どうぞ♪
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