Think Globally, Act Regionally:『言葉の背景、カルチャーからの解放、日本人はどこへ往く』

身のまわりに見受けられるようになった「グローバル化」と生きる上での大事な「こころの健康」。さまざまな観点から考えます。

●第7回「不老長寿の最先端遺伝子研究、どの国が勝利を?」

2007-04-11 13:34:05 | ■日本人はどこへ往く?

●第7回「不老長寿の最先端遺伝子研究、どの国が勝利を?」

20世紀末から21世紀初頭は、インターネットに代表される情報技術の舞台、21世紀初頭以後は、遺伝子工学による新しい世界がスタートしています。

当地メルボルン大学で世界的に有名なものの一つが、遺伝子治療研究(Gene Therapy Research)。

Ageing (老化)研究だけでも、Faculty of Medicine, Dentistry and Health Sciences (医学・歯学・健康科学学部)の傘下に、5つの専門研究機関がある。
Department of General Practice (一般診療学科)
Department of Medicine: The Royal Melbourne Hospital and Western Hospital (王立メルボルン病院・西部病院内科)
Department of Pathology (病理学科)
Department of Physiology (生理学科)
School of Physiotherapy (物理療法学専門学部)

Genetic Physiology(遺伝子生理学)では、老化抑制・寿命延長に関わる研究、心臓血管リスク、身長や脱毛研究が行われている。

ある生物種(人種=ヒトは代表的生物種)の遺伝子の総和はゲノムと呼ばれ、ゲノムの末端にあるのがTelomere DNA(テロメアDNA。DNAとは遺伝情報を担う物質)です。

このテロメアが、細胞の寿命、つまり、人間の寿命と深い関係があると言われています。このテロメアの長さと人間の特徴の相関関係が測定できれば、たとえば、寿命がどれくらいになるか、若さの秘訣はなんなのかなどの秘密が解明されるのではないか、と言われています。つまり、テロメアが老化のカギを握るのであれば、テロメアの生存期間を長くしておくことで、細胞は死なないで分裂を続け、不老長寿の夢を実現する可能性があるのではないか、との仮説です。

そして、テロメアを合成する酵素「テロメラーゼ (Telomerase)」 も見つかっている。「このテロメラーザは、ガン細胞でも大量の存在が確認されており、ガン細胞の不死化の原因の一つと考えられている」(『ウィキペディア(Wikipedia)』)ため、テロメアとテロメラーゼをめぐる研究が世界的に激しくなっているようです。

こうなると、遺伝子レベルで人間の寿命が測定できるようになり、黒澤明監督の「生きる」ではないけれど、死の時期を悟った人間のその後の行動が変わってくるような気がします。現実の寿命は、環境などの影響要因が関わって、これほど運命論(決定論)的な結末になるとは思いませんが、死を意識した生活とそうでない生活の差はかなり大きいのではないかと思われます。

オーストラリアだけではなく、ヨーロッパ、アメリカなどでは、この種の研究費がたっぷりとつけられ、若い有能な研究者が世界各国から集まってきているようです。

さて、日本の現状は?

ハリウッド映画の「Xメン」やミュータント(突然変異体)の登場も、SF世界だけでなく、ひとつ間違えば、現実となる日が近いようです。そういえば、あのホリエモンも『人の寿命や「不老長寿」などを科学的に研究する「ライフサイエンス」分野に興味を寄せている。』との報道がありましたが、彼のビジネス的な嗅覚は衰えていないようですね。

参考
■メルボルン大学大学院での老化研究 http://www.mdhs.unimelb.edu.au/courses/postgrad/clinscience/ageing.html
■テロメアDNA(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%A2
■再生医学(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%8C%BB%E5%AD%A6
■不老不死への科学
 http://genetics.fc2web.com/file/gairon.html
■遺伝子治療と臨床研究(大阪大学大学院医学系研究科)
 http://www.cgt.med.osaka-u.ac.jp/cont/c_index.html
■理化学研究所ゲノム科学総合研究センター
 http://www.gsc.riken.go.jp/jpn/group/human/contents.html
■不老長寿の薬・鮎沢大さん
(asahi.com マイタウン神奈川【できたらいいな】)
 http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000160701090002
■BT(バイオテクノロジー)戦略会議(首相官邸)
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/bt/index.html


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