木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

江戸川区内の液状化被害に伴うボーリング調査とその結果

2011-05-16 23:17:41 | 地方自治
 以前にもこちらで、江戸川区清新町(特に清新町2丁目9番のエリア)にて発生した液状化現象とそれによって傾いた家屋の被害について取り上げました。

 そのエリアの方々からは、逆流してきた下水の悩み、被害家屋に住み続けなければならないことへの不安、土質調査の実施と助成の希望などの声をいただいておりました。

 私とては、まずは自分自身の主観というフィルターを通さずに、被害に遭った当該住民の方々から預かった複数の声を行政(都市開発部)に伝えてまいりました。まずは住民の声を伝えることが第一ですから。

 ただ、その際、私なりに、公が民に対して直接補助を行う場合には、<住民の生命・財産を守ることの必要性>と<特定の民に対して公金を投入することで生じる不公平感>との間で公は整理をつけなければならないということについて、最低限の説明をしてきました。まさにジレンマを抱えたケースです。

 理屈ではそう言いつつも、いざ実際に現場を見、傾いた家屋を目にし、残ったローンの話などを聞いてしまうと、私も情に棹さしてしまったと言えるかもしれません。液状化を起こし、家屋の傾いた地域のボーリング調査の実施と助成を求める自分がそこにはいました。幸い、江戸川区は東京都よりも俊敏に、同じ判断に傾いていきました。この判断については、4月9日のブログ記事「液状化によって被災した住民への援助」にも記したところです。

 その清新町2丁目9番の土質調査は4月19、20、21日に、区により実施されました。(次はボーリング調査実施図)

 66㎜幅で深さ20メートルの調査を一カ所、同じく深さ10メートルの調査を4カ所でとりました。20メートルのボーリング調査によれば、当該地の地盤構成は下のほうから列挙すると、海抜マイナス20メートルからマイナス10メートルくらいまでが元の海岸の砂地でシルト(砂と粘土の間くらい)で、次いで、マイナス10メートルからマイナス5メートルくらいまでが自然地盤、それからマイナス5メートルからマイナス4メートルまたはマイナス3メートルくらいまでがシルト混じりの自然地盤の砂、そしてその上に、シルト混じりの砂の盛土が約1メートル、さらにマイナス1メートルから海抜3メートルくらいまでが砂の盛土、表面の1メートルが砂れきの盛土、という構成です。

 そして、液状化で吹き上げてきた砂は「マイナス1メートルから海抜3メートルくらいまでが砂の盛土」(地上からは2~6メートル下の地盤)部分からであろうと推測されるということでした。20メートルのボーリングでは地盤の強度も測定されましたが、スカスカになっているようなことはないということでした。

 ボーリングは金額的にも安いものではなく、今回、費用にして約200万円を要した調査でした。個人が民地において簡単に実施できるものではありません。災害復旧と被災者支援のためには必要な措置であったと言えます。

 それから、当該地の傾いた家屋に対する支援についてです。

 この関係では、国が浦安市のような液状化現象が広域で発生した自治体を救済するため、「大規模半壊」「半壊」という新たな判断基準を設け、大規模半壊の場合、最高で250万円の再建の支援を行うことになりました

 しかしそれにもかかわらず、この新基準が適用されず、限定的ながら実際に傾斜した家屋の被害住民がいる江戸川区としては、区独自の策として、セメントミルク注入などで地盤を立て直し、既存家屋のジャッキアップなどに要した費用については半額まで補助するという方向で、被災区民を救済することを現在、検討しています。

 6月下旬に第二回定例会(議会)が開かれますが、おそらくその際に補正予算などのかたちで救済策の具体的姿が見えてくるものと考えています。

 さらに詳細がわかり次第、関連事項も含め、またお伝えしてまいりたいと思います。




江戸川区議会議員 木村ながと
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