ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

「ガリンペイロ」という生き方。

2018年06月30日 22時07分00秒 | 独り言
テレビのBSで「赤道直下40000キロ<森と漂流者たち>」という番組を見た。アマゾンの森の中に暮らす人たちを取り上げていた。
この番組の後半部で、「ガリンペイロ」と呼ばれる男たちの生活を紹介していた。

ガリンペイロとはポルトガル語で「黄金を採鉱する者たち」という意味だそうである。
犯罪を犯し、町に住めなくなったり、何かの事情でドロップアウトした男たちが、金の採掘の仕事に従事しているのです。

10歳や15歳でガリンペイロになり、30年以上もその仕事に就いているいる人も居るようです。
1970年代にアマゾンの奥地で金鉱脈が発見されてから、多くの男たちが、一山当てようともくろみ、密林の奥に掘っ建て小屋を建て、食料を自給し、金の採掘をしていたのです。

男たちは自分の住む小屋を自分で建て、自分の食べる食料の魚を近くの川から採り、炭水化物の原料となるタロイモの澱粉を森から採取してくる生活をしながら、黄金を探し求める生活をしているのでした。
共同で食事をする小屋には電気もあり、テレビもありました。
テレビではブラジル代表選手によるサッカーの試合が放映されていました。

ガリンペイロたちの一人がその試合を見ていましたが、ブラジル選手を熱狂的に応援することもなくただたんたんと試合を見ていたのです。
テレビの中の選手には90分で一億も稼ぐのに、自分たちは泥と汗にまみれながら、どれだけ稼げるんだと思っているようなのです。

その中の親分格の一人が次のように言ってたのが、印象に残ります。

「ここで俺たちを縛るものは黄金への撞着だけである。金鉱石の中の黄金色を見るだけで俺は満足する、俺は死ぬまでこの仕事を続けるだろう」と。

ここには近代的な市民社会の規範となるものはありません。市民はかくあるべしと言うような模範となる人間像もなければ、彼を縛る社会的な制約もないのです。
ここにあるのは「黄金が欲しい」というむき出しの欲望があるだけなのでした。

廻りの人間の「空気を読む」必要はここにはありません。ここにいる男たちには「黄金が欲しい」という共通の意思だけが必要なのであり、現代社会の私たちが社会生活を送る上での規範は必要ではないのです。

今の現代社会に住む私たちからすれば、とても「危ない生き方」なのですが、彼らはそれが自分たちの生活だと信じているようなのです.

「社会が決めた規範より自らが選んだ規範により生きている男」がアマゾンの奥深い森の中にはいたのです。


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