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ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

バイクエンジンの気筒数(その4)

2016年01月14日 21時17分56秒 | バイク
これまで、単気筒、2気筒、3気筒と進めてきて今回はいよいよ4気筒編です。
市販車の4気筒エンジンには5種ほどのレイアウトがあります。
並列4気筒、スクエア4、水平縦置き4気筒、水平対向4気筒、V型4気筒です。V型4気筒には縦置きV型4気筒と並列V型4気筒と呼ぶべきものの2種類が存在します。

世界で初めて量産車に並列4気筒エンジンが採用されたのはホンダCB750 FOURです。
表題の画像がそれです。
その後、ホンダは750より排気量の小さい機種を投入していきました。、CB550FGOUR、CB350FOURがそれです。小生の弟が発売間もないCB550FOURを購入し、そのエンジン音の静粛さとスムーズな回転に驚いた記憶があります。
そして、この4気筒シリーズの外観上の大きな特徴はマフラーが左右に2本づつ備えられていたことです。当時は集合マフラーと言う概念がまだなかった頃なので、当然と言えば当然なのですがその4本のマフラーがシリンダーが4本あるぞと誇らしげに主張していたのです。
世界に先駆けて発売された4気筒のバイクは瞬く間に世界中のライダーの支持を集め、その後の他メーカーの4気筒車も含めて日本製バイクは世界のバイク市場を席捲していきます。。日本車が世界市場に打って出る以前は、バイクは高額で一部の趣味人のものだと思われていました。そして、その品質ははBMW車を除けば決して高いものとは言えなかった時代でした。
実際、英国の老舗メーカーのものにはエンジンからのオイル漏れが当たり前で、その症状を販売店に申し出ても、「オイル漏れはエンジンオイルが入っている証拠だ」とまで言われていたそうです。
おおらかな時代と言えばそれまでなのですが、そうした風潮に一石を投じたのがホンダを筆頭とする日本車メーカーでした。
安い価格で高性能な製品が売れていくのは当然ですが、その当たり前のことを地道にやっていったのが日本のバイクメーカーでした。昨今の欧州の自動車メーカーの排ガスの偽装などを見るにつけ、改めて原則を貫くこと、モノづくりの基本の重要さを考えさせられます。

さて、750CCの排気量から出発した並列4気筒ですが、そのご、各メーカーの競争の結果、段々とその排気量が大きくなっていきました。900cc、1000cc、1300ccへと拡大していったのです。
また、一方では我が国の免許制度に合わせた排気量として400cc未満の車種も投入されるようになって行きます。
画像はホンダの350と550です。

画像左が350で右が550です。

並列4気筒の市販最大排気量はカワサキ・ZX-14Rの1,441ccである。また小排気量の市販車にはカワサキのバリオスなどの250CC車があります。

このような高回転高出力の並列4気筒ですが良いことばかりではありません。
4気筒は並列配列を採用する限りでは、前面投影面積とクランクケースの幅が単気筒や2気筒に比べると大きくなるのを避けられません。そのため、バンク角を稼ぐためにはクランクケースを高い位置に置かなければならなくなります。
クランクケースの位置が高いということはすなわち車体の重心位置も高くなりますので操縦性の上からは低重心の車体に比べると不利ということになります。
一般道を法定速度付近で走行する分には何の不足もない並列4気筒ですが、国際的なロードレースとなると話は別です。
バンク角の不足と高い重心位置はコーナー通過速度を低くします。また前面投影面積が大きいことは加速性能や最高速に大きく影響を与えます。

並列4気筒のそのような短所を克服すべくスズキがレースに投入した機種でスクエア4の形式をとったエンジンがあります。
エンジン幅を2気筒と同じ程度にして、4気筒を採用するために2ストロークの並列2気筒を前後に配したレイアウトのものがそれです。一般にスクエア4と呼ばれています。
このエンジンレイアウトはその後、市販車としてRG400Γ / RG500Γ(アールジーゴヒャクガンマ)の2車種がスズキより販売されていました。この市販車はレーサーRG500の直系レーサーレプリカで500CC版の輸出仕様車の馬力は96馬力であった。レースマシンに保安部品をくっつけて市販車としたと当時は言われていたらしい。
また、カワサキのレース車にもスクエア4のエンジンを採用したものがあった。
つぎの画像がそのエンジンである。

上記画像の左がRGガンマ、右がカワサキのKR500のエンジンである。まさしくスクエアにシリンダーが配置されているのがわかります。

次のエンジンレイアウトはBMWが採用しているユニークなものです。
水平縦置き4気筒とよばれこのレイアウトの3気筒版は前回の3気筒の回で紹介しました。
4気筒版の方が実は3気筒より早く販売されていました。K100は1983年から1995年、K75は1985年から1996年まで販売されていました。K100のエンジンの画像がありました。つぎのものです。

K100とK75のボア・ストロークは同寸法で67mmX70mmとなっています。このことからK100の4気筒から1気筒を減らして3気筒のエンジンにしたものがK75になったことが容易にわかります。このやり方から行くと4気筒から2気筒を減らした「K50」があってもよさそうですが、そこまではBMWはやらなかったようです。
縦置き直列4気筒のエンジンはBMWの他にはアメリカのインディアンなどにもあったようでが詳しく知りません。いずれにせよ、縦置き直列4気筒というレイアウトはバイクのエンジンとしてはかなりユニークなレイアウトです。1番シリンダーと4番シリンダーの温度を同じくするためには空冷方式ではなく水冷での冷却方式を取る必要があります。また動力伝達方式をシャフトによる方式にしたりと複雑になるようです。その為なのでしょうか、このエンジンレイアウトを採用したバイクはBMW以外には市販車ではないようです。

長くなりましたので、水平対向4気筒とV型4気筒は次回ということにしましょう。


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