ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

リメイク、カバー、模倣

2019年04月01日 23時17分14秒 | 美術 アート
映画や音楽作品では一度作られた作品が再び作られることがしばしばあります。
また、一つの楽曲を複数の歌い手が歌った楽曲を「カバー曲」と言っています。この場合、歌い手が元の歌い手と同じ人が行う事があります。これを「セルフカバー」と称しています。
同じモチーフを題材にして違う監督や俳優により同じ題名の映画が創られることがあります。これを「リメイク」と言っています。
音楽でも「リメイク」は普通に行われています。ビレッジシンガーズが歌った「亜麻色の髪の乙女」は音色の味付けを変えて島谷ひとみさんの歌でリメイクされましたね。両者ともそれぞれに味わいのある名曲だと思います。
映画でリメークされた有名なものに黒澤明監督作品の「七人の侍」があります。これはその後、アメリカで「荒野の七人」としてリメイクされましたのでご存知のかたも多いと思われます。
「美女と野獣」を挙げてみましょう。有名なものとして4つの映画作品があります。
フランスの1946年実写版(ジャン・コクトー監督)、ディズニーの1991年アニメ版、フランスの2014年実写版、そして2017年のディズニーによる実写版 があります。
歌舞伎などの伝統芸能でも何代にもわたり同じ演目は演じられてきました。これもリメイクの一つです。また、シェイクスピア劇はこれまで無数と言ってよいほどのリメイクがされてきています。
このように舞台芸術や映画の分野でリメイクは普通に行われていることなのです。
そこで、絵画ではリメイクの例はあるのか、の疑問を持ちました。
わが国の広重などの錦絵が西洋絵画に影響を与えた例は指摘できますが、これは「影響」であって「リメイク」ではないことは明らかです。

絵画でリメイクだろうと指摘できる例がありました。
それはわが国の独創的な現代美術家、森村泰昌氏です。彼の作品を見てみよう。

この作品には元ネタがあります。それはマネの「オランピア」です。これです。

上の作品は森村氏によるもの。下はマネの有名な「オランピア」ですね。森村氏はマネの作品の中に自らを滑り込ませることでマネを作り変えることをしたのです。なんという大胆な試みでしょうか。これなどは絵画における「リメイク」と言えるでしょう。
舞台芸術や映画、そして音楽、さらには絵画の分野でも「リメイク」は可能なことを見てきましたが、どうしても「リメイク」が難しい分野が一つ残っています。
それは写真の分野です。
今まで、写真そのものをリメイクした例はなかったように思います。
写真はどのようにすれば、リメイクが可能になるのか?これに応える写真家はいまだ出てきておりません。そもそもそんな事にどんな意味があるのか、が問題ですね。

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