第2章 経営者への「入口」起業と事業承継
(3) あなたの人生において会社はどんな存在ですか(親族からの承継) 会社は「承継」するのではなく「継承」する
次は、父親などから会社を「承継」した場合の「経営理念(フィロソフィー)」など事業運営の「継承」のあり方です。
広辞苑によれば、「承継」とは、法律用語として「権利または義務をそのまま引き継ぐこと。」とあり、「継承」とは「先代・先任者などのあとをうけつぐこと。」とあります。
基本的な考え方は、
「子曰わく、父存せば其の志を観、父没すれば其の行を観る。三年父の道を改むる無くんば、孝と謂う可し。」(「論語」学而第一)です。
全社長が現役中と時は言動を観、どのような使命感を持って経営にあたっているのかを学び、承継後、少なくとも2事業年度は、先代のやり方を踏襲し、ひたすら現場に出て社員とともに汗を流し、現場から会社や経営を見つめ直すことに専念してください。そうして、継続するす事や改善しなければいけないことを整理するとともに、創業者が熱い思いをもって掲げて会社の芯柱となってきた「経営理念(フィロソフィー)」に心から共感できるのであればできる限り変更することなく、社員の皆さんに改めて所信を表明しあなたの代の経営をスタートさせてください。
どうしても「経営理念(フィロソフィー)」を変えたい場合でも、出来るだけ多くの関係者や資料からなぜ創業者から先代までが、その「経営理念(フィロソフィー)」を決めるに至ったかを深く探ってからにすべきです。
会社や事業の「承継」そのものは簡単ですが、事業を「継承」していくのは、本当に大変です。
しかし、『長寿幸せ企業』を目指している『俯瞰塾』の経営者の多くが、「中小企業の経営者は、常に問題と格闘しながらの苦しい、大変な仕事だが、人生をかけるに値するやりがいがある、楽しい仕事です。」と言われます。
ある保険会社1のコマーシャルからの引用ですが、大好きな言葉です。
「長く続く会社が多い国は、いい国だと思う。」
「会社は、望まれて生まれます。
人に必要だから、社会の役に立てるから、この世に生まれてくるのです。
着るものをつくる、食べるものをつくる、
健康を守るものを、美しさを育てるものを、人を遠くに運ぶものを、
そして、人と人をつなぐものをつくる、
ひとつひとつの役割は違うけれど、それぞれが、自分たちの力をぞんぶんに出しきって
社会を支える、さまざまな会社たち。
そう、どんなに小さくても、必要でない会社というものはない。
(以下略)」
「経営理念(フィロソフィー)」については
第1章 あなたは何のために、何処に行きたいのか ー経営理念・行動規範のつくり方
をお読みください。
このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は井上経営研究所が毎週火曜日に発信しています。
井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年、「追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業を『経営再建プログラム』で再生させる「経営救急クリニック」事業を創業。さらに再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせる企業再生手法を確立。2010年、長寿永続健全企業をめざす中小ファミリー企業のための「『長寿幸せ企業』への道」事業を開始。