富岡製糸場が世界遺産に登録されたこともあって、明治・大正期の建造物遺産が改めて注目されています。
この水路は、安曇野の南の松本市にある牛伏川(うしぶせがわ)の「フランス式階段工(階段流路)」と言われるものです。
高ボッチ山・鉢伏山から流れ出る牛伏川は江戸時代から何度も記録に残る水害を発生させてきました。
明治時代から治水工事が始まり、いくつもの堰堤がつくられ、その最後に完成したのが階段工です。
何本もの沢が合流して勢いを増す地点に、長さ140m、19段の階段が設けられ、水勢を緩衝しています。
フランスでアルプスの砂防技術を学んだ池田圓男(まるお)技師の設計によるのでフランス式というわけです。
すべて自然石を一つひとつ人の手で積み上げた「空石積み」という手法で作られています。
緑の渓谷に積まれた石段と、それを這うように流れる水が芸術的な美しさです。
それにしても膨大な数の石を見ると、気の遠くなるような作業の成果ですね。
2012年に国指定の重要文化財となっています。
(写真は2014年8月8日撮影)