さて、夏休みもはさんでだいぶ日も空いてしまいましたね.
アスペルガー症候群のつづきを.
前回は診断基準のところまで掲載しました.
古典的な自閉症では「ウイングの三つ組み」
1) 社会的相互作用の障害
2) 言語・非言語コミュニケーションの障害
3) 限定された想像力と行動
というものがありますが、
アスペルガー症候群の人でもあてはまるケースは多く、
3つのうち、2つに該当すれば「自閉症スペクトラム」とする考え方が定着してきました.
☆アスペルガー症候群の臨床的特徴
*アスペルガー症候群の原因は不明です.
家族性でおきることがありますから、遺伝性も疑われています.
症状の程度には個人差が大きく、「健常人」との区分けが不可能です.
*発生率:正確にはしられていない.自閉症スペクトラムは1000人に数名以上で発生すると考えられている(文献不明)
男女比5:1
*2歳までの症状
典型的症状は現れにくい.
初期の言語発達の遅れがない、というのがICD-10,DSM-IVの診断用件にはあるのですが、初めてでた単語が変わっている(ママやパパではない)、会話が成立しにくい、などに気づかれる場合もあります.
*3-6歳までの症状
同年代の友達と上手に関われない
ものを盗る、押す,乱暴する、邪魔をする
相手の立ち場にたって物事を考えることがほとんどできない.
消極的すぎる場合は、仲間にいれてもらえなくても本人が気にしないために気づかれない場合がある(保育園3年間、1人で砂場遊びだけをしながら過ごした例など)
*学齢期
7-10歳くらいまでに特徴的な症状は現れてくる.この時期に診断されることが多い.
・社会的相互作用
極端な自己中心性のために友人づくりが難しい
相互的なやりとりが乏しい
・コミュニケーション
未熟で、奇妙なかしこまった話し方、挑発的に話したりする
見たこと、思ったことを口にだす.
「太ってますね」
家族から「そんなことは言ってはいけません」
と言われても理解できないことが多い.
非言語的コミュニケーションも未熟.
視線の固定、表情が乏しい.相手と距離を上手にとれない.
・興味・関心のパターン
男児では特定のテーマに関する知識を集めて暗記することが多い.
(ポケモン、恐竜、電車、自動車、企業のロゴマーク、歴史などなど)
一般的に運動は不器用な人が多い.
縄跳び、平均台などがうまくいかない.
球技など、チームワークを必要とする競技もうまくできない.
*思春期
入浴や洗髪、歯磨きをいやがることがある.
部屋の整理ができない.
机の引き出し内だけは妙にきちんと整理されていることがある
☆アスペルガー症候群の人への対応
1.基本的な障害に対する対応
2.二次障害に対する対応
のパターンがあります.
1.基本的な障害に対する対応
「ウイングの三つ組み」
1) 社会的相互作用の障害
2) 言語・非言語コミュニケーションの障害
3) 限定された想像力と行動
に関する症状
これらには医学的治療法はありません.
最も重要なのは「周りの人たちが本人の特性を理解して関わり方を変えること」
まず家族が理解すること
次に教師など、関わる成人が理解すること
それから同級生など周囲の同年代の子どもたちに理解してもらうこと
1人1人症状が違うので、対応策も一つではありません.(これは普通の子育てにも十分に通用することだと思います)
例)
1) 一方的に特定の話をする場合
話していい時間とそうでない時間の区別.
決めた時間以外は答えない.
2)暗黙の了解が分からない場合
曖昧な言い方をしない.
常に具体的に「○○をしてはいけません」とはっきり明確に伝える
比喩、皮肉はつうじない.
3)しかられても理解できない場合
何が悪かったか、具体的に伝える.どうしてほしかったのかも具体的に伝える
4)表情の意味が分からない場合
怒ったときの顔と喜んだときの顔の違い(目の形、口の形)を具体的に教える.
5)冗談や慣用句が理解できない場合
冗談はなるべく使わず、使ってしまったら冗談だったと伝える.
6)特定の音や感触を嫌がる
「慣らす」という発想は持たない方がよい.
7)同じ手順でないとパニックをおこす場合
小さなことでもいつもと違うやり方をする場合は予め伝えておく.
それ以外のことは変わらないことなどをきちんと予告しておけば少しは安心する
8)学習の偏り
得意科目を伸ばす.好きなことを褒めて意欲を高める.
一つのことから他分野へ学習を発展させる.
2.二次障害に対する対応.
アスペルガー症候群の特性だけであれば、それほど大きな問題にはなりませんが、
対応の仕方がまずいと、劣等感、対人恐怖、攻撃感情、不登校、いじめ、心身症など二次障害が発生します.
☆アスペルガー症候群の人の特別な才能
おそらく、アスペルガー症候群の人の相当数が、社会適応している.
一部の人は、狭い興味、関心の中で非常に高い能力を発揮することがある.
「サヴァン症候群」などと呼ばれます.
個人的には、医学部や、法学部の学生にもけっこうアスペルガー症候群に思える人がいるように感じております.
☆診断の重要性
レッテル貼りが目的ではなく、
本人だけでなく、家族、親戚、教師、同級生が生活しやすくするために
診断し、必要な情報をつたえることが大切.
まずは、こんなところでしょうか.
もう少し知識を、という方に
面白さでオススメの本は
「ぼくには数字が風景に見える」というアスペルガー症候群の著者が書いた本です.
アスペルガー症候群のつづきを.
前回は診断基準のところまで掲載しました.
古典的な自閉症では「ウイングの三つ組み」
1) 社会的相互作用の障害
2) 言語・非言語コミュニケーションの障害
3) 限定された想像力と行動
というものがありますが、
アスペルガー症候群の人でもあてはまるケースは多く、
3つのうち、2つに該当すれば「自閉症スペクトラム」とする考え方が定着してきました.
☆アスペルガー症候群の臨床的特徴
*アスペルガー症候群の原因は不明です.
家族性でおきることがありますから、遺伝性も疑われています.
症状の程度には個人差が大きく、「健常人」との区分けが不可能です.
*発生率:正確にはしられていない.自閉症スペクトラムは1000人に数名以上で発生すると考えられている(文献不明)
男女比5:1
*2歳までの症状
典型的症状は現れにくい.
初期の言語発達の遅れがない、というのがICD-10,DSM-IVの診断用件にはあるのですが、初めてでた単語が変わっている(ママやパパではない)、会話が成立しにくい、などに気づかれる場合もあります.
*3-6歳までの症状
同年代の友達と上手に関われない
ものを盗る、押す,乱暴する、邪魔をする
相手の立ち場にたって物事を考えることがほとんどできない.
消極的すぎる場合は、仲間にいれてもらえなくても本人が気にしないために気づかれない場合がある(保育園3年間、1人で砂場遊びだけをしながら過ごした例など)
*学齢期
7-10歳くらいまでに特徴的な症状は現れてくる.この時期に診断されることが多い.
・社会的相互作用
極端な自己中心性のために友人づくりが難しい
相互的なやりとりが乏しい
・コミュニケーション
未熟で、奇妙なかしこまった話し方、挑発的に話したりする
見たこと、思ったことを口にだす.
「太ってますね」
家族から「そんなことは言ってはいけません」
と言われても理解できないことが多い.
非言語的コミュニケーションも未熟.
視線の固定、表情が乏しい.相手と距離を上手にとれない.
・興味・関心のパターン
男児では特定のテーマに関する知識を集めて暗記することが多い.
(ポケモン、恐竜、電車、自動車、企業のロゴマーク、歴史などなど)
一般的に運動は不器用な人が多い.
縄跳び、平均台などがうまくいかない.
球技など、チームワークを必要とする競技もうまくできない.
*思春期
入浴や洗髪、歯磨きをいやがることがある.
部屋の整理ができない.
机の引き出し内だけは妙にきちんと整理されていることがある
☆アスペルガー症候群の人への対応
1.基本的な障害に対する対応
2.二次障害に対する対応
のパターンがあります.
1.基本的な障害に対する対応
「ウイングの三つ組み」
1) 社会的相互作用の障害
2) 言語・非言語コミュニケーションの障害
3) 限定された想像力と行動
に関する症状
これらには医学的治療法はありません.
最も重要なのは「周りの人たちが本人の特性を理解して関わり方を変えること」
まず家族が理解すること
次に教師など、関わる成人が理解すること
それから同級生など周囲の同年代の子どもたちに理解してもらうこと
1人1人症状が違うので、対応策も一つではありません.(これは普通の子育てにも十分に通用することだと思います)
例)
1) 一方的に特定の話をする場合
話していい時間とそうでない時間の区別.
決めた時間以外は答えない.
2)暗黙の了解が分からない場合
曖昧な言い方をしない.
常に具体的に「○○をしてはいけません」とはっきり明確に伝える
比喩、皮肉はつうじない.
3)しかられても理解できない場合
何が悪かったか、具体的に伝える.どうしてほしかったのかも具体的に伝える
4)表情の意味が分からない場合
怒ったときの顔と喜んだときの顔の違い(目の形、口の形)を具体的に教える.
5)冗談や慣用句が理解できない場合
冗談はなるべく使わず、使ってしまったら冗談だったと伝える.
6)特定の音や感触を嫌がる
「慣らす」という発想は持たない方がよい.
7)同じ手順でないとパニックをおこす場合
小さなことでもいつもと違うやり方をする場合は予め伝えておく.
それ以外のことは変わらないことなどをきちんと予告しておけば少しは安心する
8)学習の偏り
得意科目を伸ばす.好きなことを褒めて意欲を高める.
一つのことから他分野へ学習を発展させる.
2.二次障害に対する対応.
アスペルガー症候群の特性だけであれば、それほど大きな問題にはなりませんが、
対応の仕方がまずいと、劣等感、対人恐怖、攻撃感情、不登校、いじめ、心身症など二次障害が発生します.
☆アスペルガー症候群の人の特別な才能
おそらく、アスペルガー症候群の人の相当数が、社会適応している.
一部の人は、狭い興味、関心の中で非常に高い能力を発揮することがある.
「サヴァン症候群」などと呼ばれます.
個人的には、医学部や、法学部の学生にもけっこうアスペルガー症候群に思える人がいるように感じております.
☆診断の重要性
レッテル貼りが目的ではなく、
本人だけでなく、家族、親戚、教師、同級生が生活しやすくするために
診断し、必要な情報をつたえることが大切.
まずは、こんなところでしょうか.
もう少し知識を、という方に
面白さでオススメの本は
「ぼくには数字が風景に見える」というアスペルガー症候群の著者が書いた本です.
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