切なくていい歌だと思っていました、ずっと。
理由はともかく、深く愛した男はその女のもとを去る。女は、男がもう一度自分のところへ戻ってくるのを待つ。やがて、女を受けれてくれる、おそらく善良で優しい男と結婚の約束をする。それでも「わがままや無口」で女を困らせたかつての男が戻ってくるのを、ここまでは待とうとリミットを決める。男は戻らないままその期限も過ぎ、思いは残しながらも優しい男に嫁ぐ決心をする。
季節は秋の風が立つ頃。
季節の選び方がぴったり。切なさがいっそう引き立つなんて、長いこと思っていたのですが…
Bless Myself 角松敏生
先日、「北の国から2002 遺言」の再放送を見ました。きっと、何度も見ているはず。ストーリーを知っているはずの番組を何度でも見てしまいます。その都度、新しい発見があったり、こちらの変化により、ぐっと来るところが少しずつ違ったり…。ちょうど、小学校の国語で習った作品を大きくなってから読んで、新たな発見を何箇所もするようなものです。
さて、「遺言」の中で、シュウ(宮沢リエ)が、純への手紙を五郎に託すシーンがあります。宮沢リエって、演技が抜群だなと素人なりに思うシーンです。シュウは五郎のために風呂を沸かす。
ほんとうは、毎日こうやってお風呂たいてあげたかった。
もう来れないの。神戸に行くの・・・。お嫁に行くこと決まったの。
ほんとうはここに(お嫁に)来たかったの。純君と二人で、この麓郷で、お父さんにお風呂焚いて…
テレビの前を泣かせるシーンです。
五郎に託した、カエデの葉が添えられたその手紙は次のように書かれています。
純君お元気ですか?
純君のこと今も時々、夜中にキューンて思い出してます。
ありがとう。
いい時間だったよね。
私、来月結婚します。
純君がしあわせになれますように。
おやすみなさい。
シュウ
シュウと、「Bless Myself」の私。似ていないか?
いや、もしかしたらこの歌は別の解釈があるのではかないかと思い始めました。
この二人は切れていない。やり取りはないにせよ、気持ちは向き合っている。女が一方的に思いを残しているだけではないはず。「わがままや無口」だって、女からみればそう見えても、気持ちのすれ違いは人である以上、ありうること。けっして男だけが悪いという片付け方もできますまい。
そして必ず、この二人は再会する。そのときに、お互いにパートナーがあるかどうかは分からないけれど、きっと再会する。再び会えなきゃ、この歌詞は完結しないように思われます。何十年先になっても必ずどこかで再会する。そして、再会の喜びと苦しみに直面する。
人生って深い。
曲もアレンジもすばらしいですが、すごい歌詞を角松敏生という人は書くもんだと思っていたのですが、詞は別の人(女性)のようです。
シュウと五郎のシーンを詳しく記したブログが見つかりました。こちら。
「Bless Myself」の歌詞はこちら。
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