ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

安乗埼

2024-04-22 18:39:33 | PiTaPaより遠くへ

 安乗に行きました。地図で見ると的矢湾の南側から太平洋に突き出た半島の先っちょが安乗埼。対岸である湾の北側は菅崎。この湾を西へずっと入り込んでいくと志摩スペイン村を越えて磯部まで入り込む深い湾です。もっとも、的矢湾と呼ぶのはパールロードが走る的矢湾大橋の下までで、そこから奥は伊雑ノ浦と呼ぶんだって。

 畔蛸に泊まった翌日、ご主人様に、あの半島の先っちょに行きたいとお願いをして連れて行ってもらいました。それが安乗埼灯台。直線で行ければ近いのですが、車で行こうと思えば磯部を通ってぐるっと回り込む感じ。ちょうどCの字を書くように小一時間ほど走りました。半島の先に進むにつれ、海辺の雰囲気になるのはよいのですが、灯台に行くまでの道の細くて曲がりくねっていること。まぁ漁村はだいたいそんなものよと言ってしまえばそうなのですが、私ならきっとクルマを遠くに置いて歩いていくと思います。ところが不思議なことに細い道の先、灯台のすぐ近くに観光客用の駐車場が作られていて、10台やそこいらは停められる。慣れている地元の方はいいとして、観光客はみんなスリリングな道路を通ってここまでやってくるのですね。


 まだソメイヨシノの咲き始めくらいの時期。太平洋に面した安乗は、他の地域より少し開花状況が早いかな?くらい。クルマを降りたらすぐに芝生の広場に出て、その向こうに四角い灯台が見えます。円筒形ではなくて四角い灯台は珍しいそうです。協力金300円を払って灯台に上る。多少錆が浮いていたりしてこの古さがいいですね。この灯台は2代目で1948年生まれだそうですから75歳ですね。貫録があります。初代は1873年にリチャード・ブライトンという人が設計をした。ん?串本の樫野埼灯台も外国人の設計で、その彼は明治期の日本の灯台をいくつも設計して…以前に樫野埼灯台を訪ねた時の記事を確認すると、ありました。樫野埼灯台で私はブライトンに接近していました。樫野埼灯台も潮岬灯台も、この安乗埼灯台も、設計者という視点でみれば兄弟なのでした。樫野埼灯台が1870年、こちら安乗埼灯台は3つ年下の1873年。もっとも、それは初代灯台の話です。


 階段をぐるぐる上がって外へ出てみると、確かに迫力がある。岬の先端(という言い方は正しいのだろうか?)に灯台はあるのですが、灯台に至る歩道はまさに馬の背。太平洋側と的矢湾側に挟まれた「土地」の幅は10mほどでしょうか。見上げると上空は飛行機の通り道のようで、飛行機雲が走っていく。私は鈍感なほうだと思っていますが、それでもクラっとします。後から階段を上ってきた人の中には、怖いと言って、外に出ず降りてしまう人もいました。近代的で高くて屈強そう!に見えない灯台ならではの迫力があるものです。


 午前中の人の少ない時間帯だったのですが、それでも外国からのお客様が2組ありました。ひと組は近隣からと思われるご家族。子ども連れでした。もう一組はそこそこの年齢のヨーロッパ系と思われるご夫婦でしょうか。この2人は乗用車から降りてきましたが、東海地方のナンバープレートでレンタカー。クルマがなきゃとっても不便な安乗です。こんなところへも外国の方が来たがる。ニッポンって「どこを切っても面白い」のかな。

 まだ20代のころ、ジムニーを駆って夜道を走り、灯台の向こうに上る朝日を撮りに来たのは、大王崎灯台だったか、安乗の灯台だったか。帰り道ずっと考えていました。今日の安乗の風景に記憶がないのだから、きっと大王崎灯台に違いないと自分を納得させてこの問いにケリをつけることにしました。
 帰宅して、何十年ぶりに昔のフィルムを引っ張り出してみました。出てきましたよ。プリントがないのでフィルムを眺めてみるわけですが、よくわからない。フィルムスキャナーもありません。通常のスキャナーをかけてネガポジ反転をさせてみたら、鮮明には見えないものの、安乗埼灯台に来ていたことがわかりました。1989年10月1日の朝、灯台の写真を撮った証拠が出てきたわけです。軽自動車ではあるけれど、自分の手で運転してここまで来ていたわけです。34年前。集落の細い道を通ってきていたわけですね。

 灯台前の広場の「伊勢志摩国立公園 安乗岬」と書かれた看板も「春雨艦 救難記念碑」もたぶん34年前と同じもの。ただ、看板の所在地が当時の阿児町から志摩市と書き換えられたものと思っていましたが、ネガからの画像と比べてみると、看板の下辺が、現在のものはやや波線になっています。架け替えられたのですね。


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