世界がめまぐるしく雲の形のように変化しても、
すべて完成されたものは太古へ還っていく。
世の移り変わりがさらに大きく、奔放になっても、あなたの原初の歌は生き続ける、竪琴をもつ神よ。
苦悩の意味は知られておらず、愛は会得されていない。死においてわれわれを引き離すものも
まだその正体を見せていない。国原にひろがる歌だけがきよめ、たたえる。
リルケ詩集:神品芳夫編・訳「オルフェイスによせるソネット」より