風15
あなたは独りで、樹々や草地や川の流れと共にいなければならない。思考やイメージで、いろんな問題を持ち込んだら独りでいられない。地上の岩や暗雲で、心がいっぱいになってはいけない。できたばかりの器のように空っぽでいるべきだ。そうすれば、これまでになかったなにかをトータルに見るだろう。もしあなたというものが内在すれば、これを見ることはできない。見るためには、あなたは死ななければならない。この世界で自分は重要なものだと考えているかもしれないが、それは違う。あなたは思考が組み立ててきたものをすべて所有しているかもしれないが、そんなものは全部古くさく、使いふるしでぼろぼろになりはじめている。
J・クリシュナムルティ「クリシュナムルティの日記」
(宮内勝典訳・めるくまーる社)