伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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歌舞伎町 俳句と生きる

2021-06-15 23:29:31 | 俳句 短歌

我が家は二紙の新聞を購読している。

月一度は札幌に行く私

帰ると未読の新聞が溜まっている。

今日は朝から雨降りで寒い

古い新聞を隅から隅まで読み片付けた。

目にとまった道新の記事があった。

日本最大の歓楽街、新宿歌舞伎町で俳句一家を率いる43歳の

北大路翼氏が紹介されていた。

依存症やニートの若者、職業不詳の弟子たちに「アウトロー俳句」を

指導。露悪的とも評されるが、俳句は現代を生きる処方箋と言い放ち、コロナ自粛の

夜の街を吟行する。

私はこの種の俳句が好きである。

・キャバ嬢とみてゐるライバル店の火事

・太陽にぶん殴られてあつたけえ

・ウーロンハイ一人も悪いものぢやない

・サンダルで銭湯に行くみどりの日

・テロがあっても俺は花見を続けるぜ

 

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ジャコシカ197

2021-06-15 12:10:06 | ジャコシカ・・・小説

 あやは明らかに今までとは違った、興味深気な眼で、まだ幼さの残る彼女の顔を見た。

 

 高志は三人の会話には無関心なのか、ぼんやりと遠くの海原を見ていたが、いつの間にか何か不

 

思議な生き物でも見る眼つきで、千恵を見ていた。

 

 ふとその視線に気付いた千恵が、離れた彼に大声で言った。

 

 「高志さんはいつ出て行くの」

 

 不意を突かれた彼は、一瞬の沈黙の後に、声を上げた。

 

 「そろそろかな。桜の終わるころだ」

 

 「今度はどこへ」

 

 言いかけて千恵は言葉を呑みこんだ。

 

 この瞬間、彼女は山菜採りの時の、彼が言った言葉を思い出していた。

 

 「俺はジャコシカだから」

 

 その言葉が時折海原を渡って行く風のように、胸の奥を吹き過ぎて行った。

 

 

 腹ごしらえは済んだのに、アタリはさっぱりだった。

 

 高志はエンジンをかけ、さらに東に移動した。突き出た半島に似た岩場を越えたら、もうそこか

 

らは釣りが終わったら帰る、漁港が見えた。

 

 「いやあ、もうこんなに来ていたの。帰りがうんと楽じゃない」

 

 千恵は驚きと嬉しさの混じり合った声を上げた。

 

 「今日はここから流して、港の前まで行ったら仕舞いかな」

 

 高志がエンジンを止めて言った。                                            

 

 「それでは棘物お姐さんの、実力を見せますか」

 

 「棘物で勝負するのね。道は一筋、期待してますわ」

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