ラヴォス村へようこそ

RPGクロノトリガーのラスボスだった「ラヴォス」を、お茶目なキャラに改変し、物語みたいなものを綴ってます。

批評家ラヴォス

2012-02-06 | ラヴォス物語
ラヴォス村は冬真っ只中です。
※ラヴォスお嬢様の腹巻き編み物がどうなったのか気になるところですが、それはいちおう置いておきましょう。

冬眠するラヴォスが多く、ラヴォス村は静かな冬になるのですが、最近、そんなラヴォス村を熱くした事件が起こりました。

なんと、いつも初夏にやってくる「情熱のさすらいのダンサー・パッション・ラヴォス」が冬に来村したのです。
一部ラヴォスたちの間で「パッション・ラヴォスの熱いダンスを見た後、本格的な暑い夏がやってくるので、ちょっとうんざりしている」「冬にこそ、熱いダンスを見てみたい」との声が上がり・・・そのうえ「さすがにパッション・ラヴォスの熱いダンスも冬の寒さに負けてしまうのでは。だからパッション・ラヴォスは初夏にやってくるのかも」とささやかれ・・・

パッション・ラヴォスもその「ささやき」を耳にしたようです。

パッション・ラヴォスの闘志がわきます。
パッション・ラヴォスは誇り高きダンサーでもあるのです。

そこで、パッション・ラヴォスはあえて寒い冬に挑戦したのです。
しかも雪の中の野外ステージで踊ったのです。冬眠しているラヴォスも多いので、お客はちらほらです。

それでもパッション・ラヴォスは熱く踊ります。
パッション・ラヴォスの丸いお腹がフェロモンを撒き散らしながら揺れます。熱く揺れます。

その熱さに、お客ラヴォスたちは感激しました。
さすが、パッション・ラヴォスです。
ただ、ラヴォスお嬢様だけは寝てしまったようですが・・・

「雪をも溶かす熱い踊り・・・情熱のダンサー・パッション・ラヴォス」と絶賛されました。

しかし、そんな中、辛口の批評家ラヴォスだけは「初夏の時のほうが熱さを感じた。さすがのパッション・ラヴォスも冬はいまいち。ただし、揺れる丸いお腹は温かそうであった」というコメントを残しました。
いえ、これでも批評家ラヴォスにしてみれば褒めているほうなのです。

そう、最近・・・やたらに批評をするラヴォスこと「批評家ラヴォス」が、このラヴォス村にやってきて、居をかまえ、暮し始めたのです。
批評の対象は「何でも」であり、節操がありません。
きっと批評するのが好きなのでしょう。批評家ラヴォス自身は教養が高いと自負しているようです。

ラヴォス坊やの画は、賞賛されました。
モデルのラヴォスお嬢様が大変良い、とのこと。ミステリアスな雰囲気が気に入ったようです。
もちろん、本物のラヴォスお嬢様は・・・ミステリアスといえばミステリアスですが、ちょっと残念なミステリアスかもしれません。

プリマ・ラヴォスも絶賛されました。
「上品で、それでいて華やか」「丸いお腹がゆったりと空中を舞う姿は神秘的」「夢を見せてくれた」と。

それを聞いたパッション・ラヴォスはまたもや「修行の旅」に出かけてしまいます。
そう、パッション・ラヴォスは、同じダンサーとして、プリマ・ラヴォスをちょっと意識しているようです。
自由気ままで(いえ、ラヴォスたちはたいてい自由気ままですが・・・)、マイペースを貫いているようでいて、心の中はやはり情熱が渦巻き、勝気でプライドの高いパッション・ラヴォスなのです。

批評家ラヴォスは、ラヴォスおばさんのお料理も気に入ったようで、お店をやってみては、と進言したほどです。

そんな批評家ラヴォスから酷評されてしまったのは、なんと、乙女ラヴォスの物語でした。
「甘ったるい少女趣味。幼稚な内容。深さが感じられない。あまりに浅い。深みのある物語を切望する」とのこと。

乙女ラヴォスは凹みました。
お口からはとめどなく悔し涙が流れます。

甘ったるくて、何がいけないのでしょう。
乙女として甘いものが好きなのは当然です。

たしかに今までの物語は、ご都合主義でちょっと単純だったかもしれません。でも複雑にしてしまっては、難解にしてしまっては、じっくりと考えることがちょっと苦手な読者ラヴォスたちは離れていってしまうでしょう。
それにご都合主義にしなければ、話が発展しません。

ああ、でも「深い」とは、一体何なのでしょうか・・・
お口から悔し涙を流しつつも、乙女ラヴォスは「深みのある物語とは何か」については、ちょっと考えさせられました。

それだけで、なんだかオトナになった気がした乙女ラヴォスでした。

そんな乙女ラヴォスに、美少女ラヴォスは「発情期を経験すれば、きっと何かが違ってくるはず」とアドバイスをくれました。

ああ、乙女ラヴォスに発情期は一体いつくるのでしょうか。
でも発情期を経験しても、乙女ラヴォスはいつまでも「乙女心」を忘れないでしょう。

ということで、ラヴォスたちはそれぞれの冬を過ごしています。

ちなみに、ラヴォスお嬢様も腹巻きの編み物を始めつつ、大半は眠ってしまう日々を過ごしているようです。


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