あさねぼう

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澤地久枝 「密約」

2019-07-30 14:37:54 | 日記
沖縄返還交渉で、アメリカが支払うはずの400万ドルを日本が肩代わりするとした裏取引―。時の佐藤栄作内閣の命取りともなる「密約」の存在は国会でも大問題となるが、やがて、その証拠をつかんだ新聞記者と、それをもたらした外務省女性事務官との男女問題へと、巧妙に焦点がずらされていく。政府は何を隠蔽し、国民は何を追究しきれなかったのか。現在に続く沖縄問題の原点の記録。

2000年になって、密約を裏付ける米国の公文書が発見されたため、起訴されたことを不服とし国家賠償法に基づく賠償請求訴訟を2005年に提起。2006年、対米交渉を担当した吉野文六外務省アメリカ局長(当時)は密約の存在を北海道新聞、共同通信、朝日新聞の取材に対して認めた(吉野は1999年に、政策研究大学院大学の「吉野文六オーラルヒストリー」においても同等の証言をしている)。2007年3月27日、東京地裁は、20年の除斥期間を経過しているとして、密約の存否に触れず、請求を棄却する判決を下した。これに対しては2009年3月18日に取り消しと開示決定及び賠償を求めて提訴(沖縄密約情報公開訴訟)、一審では勝訴したが、2014年7月14日、密約情報開示訴訟上告審判決で、最高裁第二小法廷は上告を棄却し、密約文書を不開示とした政府の決定を妥当だとする判断を下した。

著者略歴
澤地/久枝
1930年東京生まれ。両親と共に「満州」に渡り、敗戦で引き揚げる。早稲田大学第二文学部卒業。中央公論社勤務を経て、ノンフィクション作家


☆ 国家的な犯罪が、男女間の私的な関係にすり替えられてしまった事件である。国の持つ隠蔽体質と情報力と検察権力が浮き彫りになった澤地久枝さんの『妻たちの二・二六事件』に匹敵する注目の書です。国民の知らないところで、さまざまなことが蠢いている世界を垣間見せ、一気に読ませるノンフィクションです。(つかさ)

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