田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

開業以来の木造駅舎 肥前七浦駅

2019年08月03日 | 肥前鹿島

  この春、葉桜の頃にJR長崎本線の肥前七浦駅を訪問しました。この駅は昭和9年の開業以来、改築されずに当時の姿をとどめている木造駅舎です。建築は前年の昭和8年12月。肥前七浦駅は名前から分かるように、佐賀県鹿島市の海沿いにあります。

 あいにく、この時はカメラの調子が悪く、古ぼけたような写真になりました。

 改めて先月末に再訪しました。窓枠がアルミサッシになったものの、押縁下見板張りの外壁が昭和の時代を感じさせます。いまは無人駅になっていますが、お世話する人がいて手入れが行き届いています。

  駅の中には、テーブル代わりに電線などを巻くケーブルドラムがありました。

 元の事務室にはベンチが置かれ待合室になっています。駅員がいた頃は右手が営業窓口で、左手は小荷物を預ける窓口カウンターだったようです。むかし汽車に乗る時は、チッキといって目的地の駅まで手荷物を預けることが出来ました。宅配もあったように思います。私もよく利用しました。

 左手奥には頑丈な金庫があります。障子(すりガラスだったかもしれません)のある部屋は畳敷きで、休憩室だったのでしょう。鍵がかかっていて中には入れません。駅舎内は旧事務室も待合室も木製のしつらえで、古びた雰囲気が漂っています。

 旅ノートが置いてありました。拝見すると、近郊や遠方から訪れた方の書き込みがあります。撮り鉄、乗り鉄などといいますが、駅舎巡りを趣味としている人も多いですね。この日も私のほかに一人、見学に来ていました。

 特に鉄道ファンでない私も、ここに佇んでいると、まだ新幹線もない頃に鉄道で旅をした時の匂いや情感が甦ってきます。地方線は主要駅以外はこうした木造駅舎が多かったです。

 無人駅といっても吸い殻やごみもなく、廃れた感じはありません。ホームに出るには階段を上がります。

  警報のベルが鳴ったので見ていると、長崎から来た特急「白いかもめ」が通り過ぎて行きました。時刻表を見ると、もうしばらくすると鳥栖行きの列車が来ます。せっかくなので待つことにしました。

  駅前の風景です。100メートル先には海沿いに国道207号が走り、その向こうには有明海が広がっています。長崎本線は鹿島市から諫早の近くまで、国道と並行しながら海岸沿いを走ります。

 駅前道路には桜並木が少し残っています。鉄道が主な移動手段だったころは、それぞれの人生を抱えて人々が行き交っていたのでしょう。ローカル鉄道の旅ではこうした風景に出会うことが出来ます。

  まだ新しい大きな駐輪場がありました。平日には高校生などが通学に利用しているようです。

  鳥栖行きの普通列車が来ました。肥前七浦駅は、朝夕こそ1時間に1本程度の列車が停まりますが、昼前から夕方までの時間帯に停車するのは上下とも1本だけです。

  列車が出発しました。私も帰ることにします。昭和レトロの雰囲気を残したいい駅舎でした。

 

 

 

 

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
古い駅舎 (tango)
2019-08-03 07:44:06
雰囲気が良いですね
私もほとんど毎日妹を南小倉駅に送迎します
小倉駅の賑やかなのと違って迎えも楽です
通勤客・学生さん・・特に近隣に学校が多いので
その時間帯は凄い人間様の数
しかし、孫もそうですが電車の行きかう姿には
その人それぞれの人生が運ばれていますね
九州様のアップの写真、、古い時代を思い出します
返信する
こんにちは (九州より)
2019-08-03 12:15:22
昔ながらの木造駅舎は味わいがありますね。
鉄道が元気だったころの駅の様子を思い浮かべたりします。
田舎なりに食堂や雑貨店があったのではないかと、
当時の駅前風景を想像するのも楽しいです。
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肥前七浦駅 (お母ちゃんの徒然)
2019-08-11 17:09:43

趣がありますね
ケーブルドラムのテーブル まぁ~よく考えましたね
良い物をみせてもらいました

九州よりさん この暑さ御身大切に 
ご自愛くださいネ
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お母ちゃんの徒然様 (九州より)
2019-08-11 23:02:02
こんばんは。
駅舎の中のケーブルドラムは違和感がないですね。
少々夏バテの中、初めての初盆経験で、思いがけぬお参りの方への対応であたふたしています。
ローカル鉄道の旅。
若いころに戻って旅をしたい思いもあります。
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初めまして。 (青葉太郎)
2019-08-24 06:39:42
こんにちは。
なんとも長閑な美しい風景を拝見いたしました。古い駅舎を大切にしているようす、地域の方々の努力がよくわかります。特急列車も敬意を払って通っているようですね。
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お元気ですか (fuyou)
2019-08-24 08:07:09
ことしもお盆が過ぎました
初盆お迎えでしたでしょうか
たいふう10号被害が無くてなによりでした
これからよい気候にむかいますように
お元気でお過ごし下さいませ
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青葉太郎様 (九州より)
2019-08-24 10:44:38
小さいけれども昭和の雰囲気が漂う駅舎でした。
地方駅巡りをする人には若い人もおり、
年寄りの懐古趣味だけではなく、
こうした駅には人を惹きつける存在感があるのでしょう。
コメント有難うございました。
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fuyou様 (九州より)
2019-08-24 10:57:38
何とか日々を過ごしています。
初盆なので盆提灯などの盆飾りを買ったり、お坊さんやお参りの方への対応など、
初めての経験でした。
いろいろ屈託があってブログも滞っていますが、
皆様のブログを楽しみに拝見しています。
有難うございました。
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おはようございます (鈴木)
2019-08-25 09:20:29
今日も暑くなりそうです

初盆お疲れ様です
大変でしたでしょ
私も経験あります
そんな時親戚の歳よりが頼りになります

昭和の面影の残る駅舎貴重ですね
もう~此方には残っていません
ローカル線の無人駅でも最近建てた駅舎です
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鈴木様 (九州より)
2019-08-25 16:00:18
こんにちは。
昔から核家族で育ってきたので、
法事には詳しくありません。
それでも何とか世間並みに終わりました。
地方駅も木造の駅舎は少なくなりました。
肥前七浦駅は無人駅ですが手入れが行き届いていて、
いい雰囲気の駅でした。
コメント有難うございます。
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