四月からの“社会復帰”はバス通勤で。
40分の車内では、せっかちの私に車窓を眺めるだけの時間は退屈であり、大学院生活から自ずと始まった「読書」で時間を有効に使うことに。
そもそも私は読書が嫌いでした。
職場で活字に溢れていたため、自宅にまで活字を読んで時間を過ごすことには抵抗がありました。
これまでは年に1,2冊のエッセーものやタレント本を読む程度で、読書で教養を得ていないことにコンプレックスもありました。
今は「趣味はお酒を飲む以外は読書です」と胸を張って言えます(笑)
こたつの隣には本棚を置き、自分が読んでいる本がすぐ手元で読めるようにしています。
一番最近読み終えた本は、私の大学院の師匠のそのまた師匠で、
昨年、文化功労賞を受賞された中井久夫先生(精神科医・神戸大学医学部名誉教授)の『アリアドネからの糸』。
Ⅳ章の「ロールシャッハ・カードの美学と流れ」は興味深かったです。
==========
(中略)
ロールシャッハの天才はカードの作成と選択だけでなく、その順序の決定によく示されている。複数の系列を重ね合わせ、休止と急転回とを含みつつ、揺れながら終末に向かう。黒から色彩に、曖昧から具体に向かうという過程が、もし逆であって、色彩から黒に向かい、具体から曖昧に向かう過程を考えてみればよい。最後のカードが第十カードでなければならない点も良く理解できる。・・・
中井久夫(1997).アリアドネからの糸-Ⅳ「ロールシャッハの美学と流れ」358-359.みすず書房