しかし、北朝鮮に日本人残留孤児が生活していることは脱北者の証言ですでに明らかなことです。一年ほど前、これらの人の救出を移民政策研究所が政府に要望しています。新たなカードでも何でもありません。日本政府にこれらの人々を救出する強い意思がないことが大問題なのです。国民も忘れてしまっています。
およそやる気がないのか拉致担当大臣も猫の目のようにくるくる変わっています。北朝鮮とどうわたりあうか、国会でも集中した議論が必要です。70年近くも北朝鮮に放置されたままの人々の救出に無関心な政府や政治家が領土問題で口角泡を飛ばしてもこっけいなだけに僕には見えます。
北朝鮮が新たな「人道問題」を持ち出したことに日本政府は警戒感を強めている。北朝鮮側が生存を確認したとされる「日本人残留孤児」の問題だ。(1)日本人遺骨(2)日本人妻の一時帰国(3)よど号犯引き渡し-に続く4番目の人道カードと位置づけ、日本側を揺さぶる狙いも指摘される。
残留孤児問題は、遺骨問題をめぐり10月23~27日に訪朝した民主党の有田芳生参院議員に現地旅行会社のガイドが明らかにした。
「昨秋、(北朝鮮の)当局が遺骨調査をした際、詳しい女性の住民がいた。妹を埋めたというので日本人残留孤児と判明した」
先の大戦末期の混乱で朝鮮半島に残った日本人が埋葬されているという平壌郊外の墓地を訪れた際、ガイドはそう説明したという。
北朝鮮では旅行会社のガイドは監視役で、当局の意をくむ説明役でもある。日朝政府間協議が拉致問題の議題化と局長級への格上げに関する対立で停滞しているだけに、残留孤児問題に対する日本側の反応を探ったとみられている。
ある政府高官は、ガイドが口にした「昨秋」という時期に注目する。
北朝鮮の朝鮮赤十字会は昨年11月、スイスで日本赤十字社と遺骨問題で協議した。同月には「日朝国交正常化推進議員連盟」メンバーの訪朝を計画し、日本人妻の帰国と引き換えに人道支援や経済制裁解除を引き出そうとしたとされる。
残留孤児の問題も当時から交渉カードとして温存していたとの見方が浮上している。別の高官は「残留孤児の生存情報は聞いたことがなく、揺さぶりだろう」との見方を示す。
今月には遺族約10人が墓参のため訪朝する予定だが、北朝鮮側は拉致問題の棚上げで攻勢を強めてきそうだ。(楠城泰介)
出典●http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121102/plc12110210200008-n1.htm