
蜜蜂が鳴らす沈黙の警鐘 (2)
蜜蜂は連絡を取り合って花に赴き、蜜を蓄える。精緻な
分業だ。高等生物を恥ずかしくさせるほど高度で複雑な
仕事である。だが知性は個々の蜂にではなくコロニーに
宿る。その巣ごとの知性が脅かされている。
消えた蜂の仲間たちは「巣に戻る方向がわからなくなっ
たのかもしれない、農薬には蜂の方向感覚を狂わすもの
ある、だが、これが原因かどうかの断定はできていない。
他にも、ケータイの電波、遺伝子組み換え作物、ウィル
ス関与説なども広まるがこれが決定的という決め手はな
いようだ。
もし、蜜蜂がいなくなったら、毎日の食卓で食べている
果物も野菜も、自然には実らなくなってしまう。また、
人間が食べている農作物に限らず、地球上に大気を供給し、
気象を安定させている地球上の厖大な種類のかなりの部分
は蜜蜂たち、訪花昆虫の花粉媒介によって命の鎖をつない
でいるーといわれている。
中国では人海戦術による果樹の受粉作業が行われていると
いう。野生の花粉媒体役が失われれば、生態系にもほころ
びが生ずるだろう-との指摘がある。