
(画像はU.S.Navy。記事との関連はありません)
2010年2月に発表された4年ごとの国防計画の見直し(QRD)で
はじめてお目見えしたのが新戦略「統合海空先頭構想」だと伝えられる。
だが、この構想は2006年ごろからすでにあったようだ。「全軍の機動性に
力をいれ、柔軟なかたちで米軍を世界に動かす体制」である。
その典型が米空軍だ。海軍の機動部隊のシステムを取り入れ、緊急時には
空母機動艦隊が出動するように、飛行機が飛び出してゆくことになる。
世界各地の基地に駐留するのを止め、緊急出撃部隊としてアメリカ本土に
配備し、緊急事態に出撃する体制をとろうとしているのではないだろうか。
昨年11月に発表された米中経済・安全会議への報告書は、
中国軍が弾道・巡航ミサイルで、三沢、横田、嘉手納各米軍基地を
攻撃する能力を持っていると指摘した。韓国の烏山、群山両基地も
同様に有事の際は使用不能になるとしている。
ということは、この海域での空母派遣もできないということになるの
だろう。空母は米国にとって戦力投射能力と抑止力の象徴である。
それが攻撃を受けたり、まして沈没でもしたらその影響ははかりしれ
ない。日本を含めた同盟国、友好国にしてみれば、米軍の軍事力に
対する信頼が大きく揺らぐことになる。
伝えられる「統合海空戦闘構想」とは「空、海、陸、宇宙、サイバー空間
あらゆる作戦領域で、海空両軍が能力を統合して、米軍の行動の自由
に対する挑戦に立ち向かう」という抽象的なものだ。
「米側の多くの専門家は琉球諸島の米軍の『(軍事的)聖域』はすで
に失われたと思い始めている」という指摘もある、といわれる。