
「このめぃは、随分と寒い日が続いたなぁ、ワニ五郎さん

「あ~、三日間もストーブを消すことが出来やぁしませんでしたよ、タヌ太郎さん。五月になって桜が咲いたと喜んでばかりも居られませんやなぁ~

「昨年も五月にストーブを焚いた記憶がありますぜよ(笑)。」
「初夏のような暑い日もありゃ、雪が降るんじゃねぇかという日もある、北の大地の五月でござんすねぇ~

「一度脱いだ長袖のシャツや、股引をまた、引っ張り出しているなんざぁ絵にもならねぇ


「おっと、なんだかんだ言いながら、花はちゃんと大きくなってきていやすぜよ

「西洋オダマキっていうのかい、あの花は?どんな花が咲くのだったかもう、忘れちまったよ(笑)。あのそばにチューリップなんぞ植えたかなぁ~?

「あっしも、そう思っていたんでござんすよ。植えた記憶はねぇんでございんすがねぇ~?もしかしたら、雀の恩返しってぇやつで、雀のやろうが運んできたのかもわかりませんぜ

「かも知んねぇなぁ、いや、そう云う事にしておきやしょう(笑)。毎朝、お宿に食事の支度をしているんだから、そう、思うことにしようぜよ(笑)。
