秋はもう去って行ってしまったのか。
葉が落ちてしまって裸になった木が目立つようになってきた。道行く人もなんだか寂しげ。そうしてあっというまに秋が過ぎ去って、今度は寒い寒い冬がやってくる。
宮沢賢治の「風の又三郎」を思い出す。
そのとき風がどうと吹いて来て教室のガラス戸はみんながたがた鳴り、学校のうしろの山の萱や栗の木はみんな変に青じろくなってゆれ、教室のなかのこどもは何だかにやっとわらってすこしうごいたようでした。すると嘉助がすぐ叫びました。
「あゝわかった。あいつは風の又三郎だぞ。」
誰がいるでもなく、そこにいるのは風の又三郎。京都にも又三郎がやってくる。