軽井沢高校 校長日記 『つれづれ軽井沢だより~乞う「ちょうどええ」』

学校の様子を校長の視点から伝えたいと思い、校長日記を書くことにしました。授業日毎日更新を目指します。ご愛読ください。

 7月23日(金) お宝 081

2010-07-23 20:02:42 | 日記

 軽高の校歌が室生犀星の作詞によるものであることはこのブログで何度か触れてきましたが、今日は、作曲をした信時潔(のぶとき きよし)という人について書きたいと思います。

 信時潔は、明治20年生まれで昭和40年に77歳で没。
 大阪府出身。
 東京音楽学校(現東京芸術大学)を卒業し、その教授も務めた、日本を代表する作曲家のひとりで、有名な慶応義塾塾歌、学習院院歌、金沢大学校歌なども作曲している人です。

 本校の校歌は、昭和29年に作られましたが、8月30日に仕上がった犀星の歌詞がすぐに信時に送られ、楽譜は9月6日、わずか1週間で完成しています。
 9月19日に行われた校歌発表会には、犀星とともに出席し、挨拶もしてくれたようです。

 その信時潔直筆の本校校歌の楽譜が写真です。
 小さくてわかりにくいかもしれませんが、そんな「お宝」があることを最近知りました。
 本物は大事にしまっておくとしても、こういうものは人の目に触れた方がいいので、レプリカを作って額に入れて校内に飾りましょうかね、と事務長さんと話しているところです。

 直筆の楽譜と一緒に出てきたのが、その楽譜を本校から金沢の室生犀星記念館に貸し出したという記録でした。
 犀星が生涯に作詞した校歌10数曲を一冊にまとめる時に使ったようです。
 例の「犀星」印のこと(4月9日(金)の日記をご覧ください)もあったので、記念館に連絡をすると、犀星のお孫さんが電話に出られて、9月に軽井沢に行く予定があるのでお会いしましょう、という話になりました。

 今日の午後には、2年生の武井君が賞状を持って校長室に来てくれました。
 6月27日に行われた日本代表選考会で優勝し、2011年(来年)の世界ユース・ダンス10選手権に出場することが決まったことを知り、先日の齋藤君と一緒で「三者懇談会の午後に一回校長室に来てくれや」と伝えてあったのです。
 「ダンス10」というのは、ワルツ、タンゴなどのスタンダード5種目とサンバ、チャチャチャなどのラテン5種目、計10種目のすべてをペアで踊り、総合成績を競うものだそうで、プロの大会も大人の世界選手権もあるようです。
 トロフィーは今パートナーの方に行っているそうで見られませんでしたが、ちょうど軽井沢中学校の3年生7人が、学校訪問で、学年主任の小須田先生の引率で来ていたので、武井君に校長室で話をしてもらいました。
 武井君の夏休みは、北海道遠征やロシアへの短期留学などでほぼ埋まっているそうですが、映画「Shall we ダンス?」やテレビの「ウリナリ」の社交ダンス部などで、社交ダンスの注目度がどんどんアップしていますから、軽高での高校生活もしっかり頑張ってもらいながら、ぜひ日本を代表する選手に成長してほしいと思っています。

 今日はワックスがけの初日で、やった箇所は見違えるような輝きが出ています。
 音楽の吉澤先生の陣頭指揮のもと、生徒がよく動いてくれました。
 お疲れ様でした。

 武井君とワックスがけについては「軽井沢高校ニュース 7月号その2」からもご覧いただけます。 

 暖かくなってから校長室の廊下側のドアも開けているのですが、そのドアから女子生徒3人が顔を出して話して行きました。
 噴煙祭で映画をやる3年1組の生徒たちでした。
 反対側、校長室の窓の前の芝生では女子生徒数人が、談笑しながら昨日日記に書いたネジバナを「かわいいー」なんて言いながら写メに撮っていました。
 こちらは3年2組の生徒でした。
 人なつっこくていい生徒たちです。 

 7月22日(木) しのぶもじずり 080

2010-07-22 18:25:28 | 日記

 校用技師の根津さんと中沢さんが、植木にハサミを入れたり、ビーバーで草を刈ったりして、校地内をきれいにしてくれています。
 ここのところ軽井沢ですら相当に暑い日が続いていますが、目に入る景色が整えられていてすっきりしている分、涼しさをもらっているように思います。

 校長室前の芝生もすっかりきれいになりましたが、実は、一部刈り込まずにあえて残した部分があります。
 写真の「ねじばな」という、薄紅色のいくつもの小さな花が茎に巻きつくようにねじれて咲く、ラン科の可憐な植物が群生している箇所があり、その部分を刈らないことにしたのです。
 もうしばらくはこのままですので、学校にお越しの際はぜひご覧ください。
 この「ねじばな」の別名は「もじずり」というのだそうです。

 正面玄関を入ったところの左右の空間も校用技師さんが管理してくれていて、季節によって様々な花木が置かれ、職員だけでなく来客の皆さんの目を楽しませてくれているのですが、現在は根津さんが家から持って来てくれた鉢がいくつか置かれていて、その一つは古木にシダ類の「しのぶ草」などの山の植物を植えたもので、なんとも言えずシックで涼しげな感じです。

 今日、その「もじずり」と「しのぶ草」の2つが偶然話題になったわけで・・・、そうです、もうおわかりの方もいらっしゃるかと思いますが、高校時代に覚えた小倉百人一首の「みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに 乱れそめにし 我ならなくに」という歌が浮かびました。
 「しのぶ草」「もじずり」という2種類の植物と、歌の「しのぶもぢずり」とは関係があるのかないのか。
 気になったので、少し調べてみることにしました。

 結局はいろいろな説があってはっきりしなかったのですが、調べた内容を大まかに要約をすると、「もじずり」というのは福島県の摺り染めの絹織物のことで、「ねじばな」が「もじずり」と言われるのはその模様とねじれた様子が似ているからだという説があること、「しのぶ」も「福島県信夫(しのぶ)地方」からという説と「しのぶ草」を使った染物だからという説があることがわかりました。
 つまり、「しのぶ」も「もじずり」もこの歌に関係がある可能性がある(ゼロではない)というのが、私の結論です。
 ただし、素人のにわか勉強ですので、このブログをお読みの方で「違うよ」ということがあればお知らせください。
 すぐに訂正しますので。

 高校野球の県大会は、今日でベスト4が出そろいましたね。
 松商学園、佐久長聖の私立校常連に、松本工業、上田千曲という力のある県立校が残りました。
 私立校同士と県立校同士の準決勝ですから、決勝は私立校と県立校の対戦ということになります。
 地域的には中信2校、東信2校なので、決勝は中信対決、東信対決、中信対東信の対決という3つのパターンが考えられます。
 土曜日の準決勝は東信地区のPTA指導者研修会があって観に行けませんが、日曜日の決勝は、組み合わせ次第では松本まで観に行くことも考えようかなと思っています。 

 7月21日(水) 「+1 - Plus One - みんなでいい学校を創りましょう」 079

2010-07-21 20:26:38 | 日記

 今日も暑い日になりました。

 早朝から校内のリンクで、スケート部の金沢さんが宮坂先生指導のもと厳しい練習をしていました。
 毎朝本当に大したものだと思います。
 冬に向けてさらに力をつけてほしいと思います。

 先月来、教務係の長嶋先生が工夫に工夫を重ねてきた軽高の2011年度用学校案内パンフレットが、今日最終校正を終えました。
 サイズはA4判ですが、全体が8ページ、一回開くと2ページ分、2回開くと4ページ分を見ることができるように工夫されています。
 当初から印刷業者さんとアイディアの交換をし、校正だけでも4回くらいはしたでしょうか。
 私も、中野立志館高校の教頭時代に自身3か月くらい作成に関わったパンフレットを送ってもらって参考にしてもらったり、なけなしのアイディアを出したりしました。
 手前味噌になりますが、コンセプトのしっかりした、相当いい学校案内に仕上がったと思います。
 もうすぐ刷り上がりますので、体験入学などでお配りできると思います。
 機会があったら、ぜひご覧ください。

 その中に、この4月から折あるごとに学校関係者に話している「+1-Plus One- みんなでいい学校を創りましょう」というロゴマークを入れられないかなと思っていて、美術の小嶋先生に以前からお願いしていました。
 小嶋先生はデザインも専門の一つで、忙しい中3種類ほど考えてきてくれたのですが、その中から、写真のデザインを使わせてもらうことにしました。
 三つ葉のクローバーにプラスワンをすると幸せの四つ葉のクローバーになる。そのプラスワンは自分自身で付け加えるものなのだ。といったコンセプトで、全体は色をつけず、あえてモノトーン(白黒)にしたそうです。
 県教委の「共育クローバープラン」のデザインと重なる面もありますが、それはそれでいいのかな、と思っていますし、同じクローバーを使っていてもアプローチの仕方はちょっと違うのではないか、とも思っています。
 いずれにしても、どうです、相当かっこいいロゴマークでしょ?
 これからいろいろな所で使わせてもらおうと思っているところです。

 7月8日に行われた「第22回知事杯長野県アマチュアゴルフ選手会男子大会」で一般社会人を抑えて見事優勝した2年生の齋藤君が、賞状と手元にずっと置けるトロフィーを持って校長室を訪問してくれました。
 (大きなトロフィーは返したそうです)
 「懇談週間の午後あたりに一回校長室に顔を出してくれや」と言ってあったのです。
 歴代の大会で高校生が優勝したのは2人目、県内の高校に通う生徒では初めてではないかとのことでした。
 県教委スポーツ課によると、この大会の上位2人が翌年3月にハワイで行われる大会への参加権が得られ、その直前には毎年(知事杯ですので)知事を表敬しているそうです。
 齋藤君は、8月の上旬に、全国高校選手権の最終予選(関東大会)と国体本大会出場をかけた北信越国体が連続して控えていますが、その2つの大会でもぜひいい結果を出してほしいと思っています。

 「軽井沢高校ニュース 7月号その2」にもあるように、噴煙祭の準備も着々と進んでいます。
 保健委員会企画の「軽高レンジャー」も今日が山場で撮影をほぼ終了したようです。
 今日は校長室で撮影するシーンがたくさんあり、軽高レンジャーの衣装も、悪親分と子分の衣装も、初めてみましたが、相当手が込んでいました。
 手作りと聞いて、さらにビックリ。
 校長室の外では3年1組の「memorial the movie 2010-3年1組最後の夏」の撮影が楽しそうに行われています。
 窓を開けて訊くと「順調です」とのこと。
 どちらもどんな映画に仕上がりますか。
 噴煙祭当日が楽しみです。

 7月20日(火) バリバリ伝説 078

2010-07-20 20:09:04 | 日記

 朝、校門で挨拶をしている時、今日はやけにヘリコプターが何台もバリバリという音を立てて飛んでいるなあ、と思ったら、生徒を送って来たお母さんが車の窓を開け「先生、軽井沢は大変なことになっていますよ」とおっしゃる。
 何事かと思ったら、なんと、金賢姫(キム・ヒョンヒ)元死刑囚が、今日の早朝に政府のチャーター便で羽田空港に到着後、軽井沢にある鳩山由紀夫元首相の別荘に直行したとのことでした。
 午後には、中井拉致問題担当大臣や拉致被害者の家族の皆さんも別荘に入ったそうで、明日以降も引き続き拉致被害者の家族の方々と面会する予定だそうですが、確かに軽井沢には世間の注目が相当集まっているようです。
 勤務時間終了後、鳩山さんの別荘を回って帰った職員もいたようです。

 今日はとても暑い日でした。
 これまでは外が暑くても校舎内に入ると涼しかったのですが、今日は、校舎内にいても暑く感じました。
 でも、軽く汗ばむ程度。
 そうは言っても、やはり軽井沢です。

 今日から三者懇談が始まり、文化祭の準備も本格化してきました。
 また、今年は、三者懇談の午後と夏休みにかけて進学者補習と不振者補習が行われます。
 三者懇談で学校に来た保護者の方が、早速にPTAバザーの品を届けてくれました。
 とてもありがたいことです。
 ブログをご覧の保護者の方はぜひご協力をお願いします。

 金曜日は上田で、土曜日は川崎で、日曜日は小諸で、そして昨日は長野で、金曜日から3連休の間、4日連続で宴席がありました。
 最近はいろいろな人から、特に宴席で「校長ブログを見ています」と言われることが多くなりましたが、この4日間だけでも、20人近くの人からそう言われました。
 中には「見ている」ではなくて「見たことがある」という人も含まれているとは思いますが、いずれにしてもありがたいことです。

 土曜日は、大学の同期会に川崎まで泊まりで出かけました。
 同期会はここのところ、ホテルチェーンの社長をしている片山君のホテルで行ってきました。
 前回は晴海グランドホテル、今回が川崎グランドホテル(写真)でした。
 このブログでも、以前に、今年は卒業30周年の記念の同期会だから、というようなことを書きましたが、今回もたくさんの同期生が集まり、楽しい時間があっという間に過ぎました。
 一番遠くは、鹿児島から来てくれました。
 この会の中で「ブログに飲んだ話ばかり書いている」と失礼なことを言うのがいましたが、結局、今回もこうして書いているので、あながち「違う」とも言えないかもしれません。

 昨日は58人も出席した大宴会でしたが、現在自分が軽高の校長ということもあり、特に、昭和57年から3年間、軽高で第12代の校長を勤められた柳沢全三先生にお会いできることを楽しみに出かけました。
 独自にテキストを作って教師と生徒がともに軽井沢について学ぶ「軽井沢学」を始めた経緯や、私がよくお世話になっている『軽井沢高等学校40年の歩み』の編集とその時に集めた資料、あるいは、校舎内にある貴重な品々についてなど、様々な話を伺うことができました。
 現役当時もバリバリやっておられたとお聞きしていますが、80歳を過ぎてもカクシャクとしていらっしゃいます。
 軽井沢高校のことは柳沢先生に訊け、というくらいの先生ですし、お近くにお住まいなので、今後も様々なことを教えてもらいながらやっていきたいと考えているところです。

 7月16日(金) うしろ髪ひかれ隊 077

2010-07-16 23:29:23 | 日記

 今日は、東信地区校長会が上田市の信州大学繊維学部で朝から行われました。
 写真は、キャンパス内にある、国の有形文化財、旧上田蚕糸専門学校の講堂です。
 NHKの大河ドラマ『坂の上の雲』の阿部寛さん、松本清張原作の映画『ゼロの焦点』の広末涼子さんや中谷美紀さんが、ここで撮影をしていったそうです。

 濱田学部長さんが校長会の冒頭で繊維学部の説明をしてくれましたし、昼過ぎには事務長さんがキャンパス内を案内してくれました。
 今年創設100周年を迎えること、大学としては繊維の分野の貢献度が世界一であること、産学連携といって企業と連携して実用的な商品を次々に開発していること、外国のいくつもの大学と連携していること、そのために英語力を重視していることなどが特に印象に残りましたし、この学部ははっきり言って将来性抜群だなあという印象も受けました。

 本校に国際文化科という学科があります。
 英語を学習すること、国際感覚を身につけることそのものが目的のように、中学生も保護者の皆さんも考えているかもしれません。
 もちろん、将来にわたって英語を学び続ける生徒、国際関係や国際文化について学び続ける生徒を育てることも大切な役割です。
 ですが、私は、それだけでなく、と言いますか、それも含めて、英語力を高め、中国語のさわりを学び、そして国際感覚を身につけた上で、さあ、どういう分野でそれを生かしますか、ということを問うのが本来の国際文化科の役割なのではないかと思っているのです。
 その意味では、国際文化科の卒業生が、英語力や国際的な連携を重視している信州大学の繊維学部のような理系に進むことも大いにあっていいと思っていて、そのあたりをどうやって実現していくかが今後の課題ではないかと思っています。
 英語力や国際感覚は現代のあらゆる分野で必要とされています。
 英語科や国際文化科では他の学科以上にそれを身につけることができるわけですから、文系・理系を問わず、高校時代に学んだことを生かして様々な分野で活躍するような方向性がつくれればいいなと思っているのです。 

 学校では、バンクーバーパラリンピック日本代表、銀メダリストで本校OBの上原大祐君の講演会を開催しました。
 4月以来考えてきたことがようやく実現したわけですが、その場に残念ながらいることができず、うしろ髪をひかれる思いで今日の校長会に出席していました。
 教頭さんも出張だったので、教務主任の池田先生が中心になって仕切ってくれました。
 学校に戻った教頭さんが「軽井沢高校ニュース 7月号その1」にすぐにアップしてくれたように、講演会もその後の有志による交流会も盛況で大変有意義な会だったと聞きました。
 大祐君には夜電話をしてお礼を言い、会えずに申し訳なかったと伝えました。
 「いい雰囲気で、学校から帰る時には名残惜しい気がしました」という大祐君は「また校長室に会いに行きます」と言ってくれました。

 生徒や学生は、一つ一つの学習や体験を通して、深く物事を考え、学んだことを自分の血肉としながら成長していきます。
 それがその子の「力」となって身についていくわけです。

 今日の話を伺っていて、信州大学繊維学部が目指している方向も、今後軽高が目指す方向も、分野の違いこそあれ、非常に似ているのではないかという気がしました。