くつろぎ日記

ストーリーとセリフに注目したドラマレビューです。

古畑任三郎 ファイナル 第3夜  「ラスト・ダンス」

2006-01-06 13:22:48 | ドラマ

ずいぶん昔になりますが、あなたにとてもよく似た女性に会ったことがあります」
 
「その人も誰かを殺したの?」




 





 

テレビ局――颯爽と廊下を歩くのは、人気脚本家の加賀美京子こと大野かえで ( 松嶋菜々子 )。すれ違うスタッフは皆一様に売れっ子の作家のかえでに挨拶する。その日、かえでが手がけた連続ドラマ「鬼警部ブルガリ三四郎」の最終回が完成し、試写が行われた。かえでを始め、スタッフは皆、作品の出来に満足しているようだった。「鬼警部ブルガリ三四郎」の打ち上げ会場で、大勢の関係者の中、スピーチするかえで。派手目なメイク、女優を思わせるような衣装。社交的な彼女はいつも華やかなスポットライトを浴びていた。

同じころ、とあるマンションの一室では、もみじ ( 松嶋・2役 ) が、パソコンに向かって原稿を書いていた。化粧もせず、地味な装いの彼女は、かえでの双子の姉であり、もうひとりの加賀美京子だった。テレビ業界では誰もが知っている話だが、かえでともみじはふたりでこのペンネームを使い、共同で仕事をしているのだ。




そんな中、打ち上げ会場にやってきたのは、ご存知、古畑任三郎 ( 田村正和 ) である。古畑は「鬼警部ブルガリ三四郎」の監修として以前からかえでに協力していたのだ。古畑は、かえでに誘われ、打ち上げ会場をこっそり抜け出してダンスホールを訪れた。チークダンスを踊るふたり。かえでは、華麗なステップで踊りながらこうつぶやいた。「私、古畑さん好きよ」と――。

あくる日、古畑は、カフェでかえでと再会する。次回作のことで力を貸してほしい、とかえでに頼まれたのだ。するとそこに、もみじからの電話が入った。「すぐに戻ります」と言い残して、店を出るかえで。しかし、このときすでに彼女の計画は実行されていた…。

***********************************************(公式HPより)

 「Shall we dance?」手を差し出し、この手をとってほしいと実は思っていたのでは。

 かえでと踊るためにダンスのレッスン本を買い、密かにステップを練習した古畑です。

 しかし踊らないでじっとうつむくかえでです。悲しみと苦渋の古畑。

 追い詰められたかえでは本当はもみじだったのですね。

 みなさん、どの辺りでわかりました?

 私の場合、かなり遅くてもしや??という鐘が鳴ったのが、遺書の鑑定結果です。

 もうほとんどネタが出尽くしていたころにやっと・・・それでも確信がなかったわ。

 

 さてもう一度ストーリーをたどりましょう。どうもこんがらがっています。

 社交的な方が妹のかえでです。脚本のプロットを考える方です。

 一方、地味で引きこもりの方が姉のもみじ。台詞を考える方ですね。

 もみじは表舞台に立つかえでが羨ましくそれがいつしか憎しみに変わっていったということでしたね。

 動機がそれです。もみじは古畑にばれるかどうか試してみようと持ちかけ、衣服と表面的キャラを

 交換しました。この事はその時点では視聴者は知りません。そのあとに殺害実行。

 もみじはずっとかえでのふりを続けていたことになりますね。

 思えば古畑をカフェに残したところから疑うべきでした。伏線はたくさんあったのに。

 

 以下は入れ替わる前の名前で(騙されたままの名前で)。
 
 かえでは事務所の杉浦にタバコを買いに行くように頼みます。その後、かえではもみじに向かって

 「大成功。これっぽっちも疑ってない」と言っていましたね。入れ替わって、いつも仕事を一緒にしている

 もみじなのに全然気付かずかえでだと思ってタバコを買いにでかけた杉浦です。

 このシーンには全然、深く考えずスルーしました。

 この時の会話にも不思議感がありました。地味な扮装のもみじがかえでに向かって言うのです。

 「それにしても不思議な人ねあなたって。突然おかしなことを考える。昔からそうだった。

 小学生の時、鶏にも自由を与えるべきだと全部逃がしてしまった。あの時は驚いたわ。

  それでいいのよ。人と違うことをした方がいいの。

 小さくおさまったらつまらないわ」

  一見、台詞の内容は普通ですが、かえではいつもはなやかで脚光を浴びていた子です。

 そこにいるだけで表舞台で光っている子ですから、何も考える必要性がありません。

 素直に自分に正直に生きてきてそれだけで周囲に認められているわけですから。

 でも、もみじは違います。人間との接点を嫌い引きこもっていつも壮大な夢想しているこの子こそ、

 鶏を自由にしてあげたいと考え、人と違うことを考えていたという性格の方が自然です。

       ・・・・・しかしこの点にも全く気付きませんでした。

 
 古畑はどこでバレたと聞かれたときに、「時間」と答えていました。

 今泉が変装し走りに走って20分。どうしても表玄関から行き来する必要があるわけです。

 静脈チェックをクリアできれば表玄関から通過でき10分の壁を崩せるということでした。

 絶対に本人でしか通過できないシステムのようですね。ということは入れ違ったと考えるのが

 捜査に関わるものの性ですか。そしてこのあと鑑識から、ダメを押すように、遺書の筆跡が

 本人だと連絡がありました。このあたりから私的に怪しいムードがでてきました。

 

 その後の対決は松嶋菜々子の演技力で振り切りましたね。

 車、ピンキー人形、古畑の黄色のコート、水槽の鏡。さまざまな証拠が挙がり苦しい松嶋。

 ちょっと言いたいのですが、かえで(実はもみじ)が記者会見でレポーターに突っ込まれて

 いました。音楽がどうの(椎名りんごとか)・・こんな台詞ぐらい、夢想家なんですから

 ちゃっちゃっとうまいこと言って煙に巻いてもいいのでは?後で姉が死んだと言い訳していましたが

 ここまで用意周到に頑張ってきたのに化粧が濃い、はしゃぎすぎなど、詰めが甘いです。

  それから三谷さんは松嶋を使って自分の言いたいことを言わせていましたね。

 今のドラマに足りないものは何かと問われて、

 「作り手がいいものを作ろうとする気持ち。そして記者のバックアップ。」だと。

 数字をださないとすぐに失敗だと叩かれると言ってました。

 これはかなり効きました。前回のドラマでも面白くないのに数字が取れるドラマがありました。

 かなりいいドラマなのに数字の面では負けているということもあります。

 数字だけが全てではないのですよね。それぞれが受け取る感動が違うのですもんね。

 

 ラストにいきます。追い詰められあっさり認めるもみじです。

 ステップを踏めないもみじ。ひとしきり古畑の肩で涙を流す松嶋。

 考えてみれば最初はかえでとステップを踏みラストはもみじと一緒の古畑です。

 HP冒頭のシーン(この記事のトップ)を覚えていますか?

 「あなたによく似た女性に会ったことがあります」

 「その人も誰かを殺したの?」

 これは確か、漫画家の中森明菜のシーンでしたか。

 「今はアメリカで幸せに暮らしている」と松嶋に言いました。

 人は変われると、きっとこれから幸せになれるよと。古畑一流の優しさで締めくくりました。

 

 本当にこれでラストなのかと思うと寂しくてたまりません。また何か理由をつけてひょっこり

 スペシャルを行いそうな気がしますし、そうであって欲しいです。

 今泉のボケがかなりおもしろく、カツラをつけるところは爆笑。このままつけていてもいいわよと

 思わず言ったりして。松嶋の二役も見ものでしたね。光と影を演じわけ、同じ人間でもこうも違うと

 感嘆しました。確かに表面と気の持ちようで多少は変われる部分があるでしょうね。

 でも根本的に人間は自分のステージをよく理解しているものだとも思いました。

 最後に「かえでになるのは無理だった。けれど夢のような一日を過ごせた」と言わしめていましたが

 ずっと光が当たり続ける人もまれにはいるでしょうが、誰でも一生のうちに一度は華開く時期があると

 いうことでしょうか。きっとその満足を胸に人は生きていけるのかもしれません。

 

 

 



14 コメント

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愚痴 (たちつていしお。)
2006-01-06 15:56:00
「今のドラマに足りないもの」は、間違いなく視聴率悪くないフルハタだからやれたセリフですよねー。視聴率悪いドラマで言わせたら、ただの愚痴になっちゃいますもんね。



何気に僕双子なのでこのネタ、早い段階で気付きました。入れ替わりはやっぱ考えますからww



夢想家の彼女は、相方と聴く音楽のジャンルが違ったんだろうと思ってました。だから咄嗟に出なかったのかと…。

言って今までと全然違っちゃうのを気にして。



アリキリのチッコイ方、途中凄く推理当ててましたよね。「お?今回はこいつが解決なのか?」とか最終話なのに思いましたww



でもやっぱ一番は必至に「俺はあんなに間抜けじゃない!!」と訴え続けた今泉ですよねwww
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たちつていしおさん♪ (かりん)
2006-01-06 17:36:31
視聴率初日が27%だってね!!凄いわ。だって私のダイスキだった野ブタで17%にちょい足りなかったのです。やはり古畑は国民的ドラマですね。高い視聴率を持ってるからこういう台詞だったのね。。。なるほど。



今ちょっとびっくらです。お兄様双子でしたの?もうお一方はブログをされてますの?似てるの?私、腰ぬかしてますよ。今まで全然知らなかったわ~~。K子様はどういう反応をしてらっさるの?すっごい微妙な気がします。入れ替わってもばれない自信ありますか?



音楽はどうでしょうね。嗜好が違ってもうまいこと考えそうな気がしますが、下手なことを言って的をはずしたら実も蓋もないってことでしょうか。



ありきりでしたっけ?この人はいつも優秀なんですよね。今泉がボケで和ませてくれるという対極の設定でしょうか。やはり見ていると今泉は皆さんが突っ込んでいじって喜んでいますね。私もですけど

自分で間抜けじゃないっていえるところがステキでしたね。(爆)

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Unknown (ミルクレモンティー)
2006-01-06 18:25:31
TBありがとうございましたー。こちらからもTBさせてもらいました。

3日間早かったですね。楽しかったということかな。これで最後かもしれんとは、なんともさびしい話ですね。できれば次回作を期待したいですね。
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が~~~ん!! (じょり~)
2006-01-06 19:30:07
「古畑」録画できてなかったよ~~んショック!!この前も「アネゴ」CM消しながらみようと「削除」してたら最後10分残して全部消してしまった



かなりショックです・・・新年早々付いてない
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ミルクレモンティーさん♪ (かりん)
2006-01-06 20:35:12
こちらこそTB&コメントありがとうございます。

三日間に渡っての放映だったのですね。お正月気分もこれで終わりましたね。

今回でファイナルとは言ってますけど何か理由をつけてスペシャルをやるのではと思うのは私だけ?

願望が大きいということで・・・(笑)
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じょり~さん♪ (かりん)
2006-01-06 20:40:40
ややや・・・なんてこったい!

この3回放映全部録画できてなかったのかしら?

この際すっぱり諦めるか、再放送を待つか、お友達に録画してないか聞きまくるか・・・。そんなところでしょうか。

面白かったわよ・・・なんて傷に塩ですね。

きっと再放送があるから待っていましょう。



anegoの最後の10分には仁とのシーンがあるでしょう。この前のはほとんど総集編だったから最後がわかればいいのですよ。泣かないで・・・



でもここで「ショック」は全部終わって今年はいいことばかり残ってますよ。

じょり~さんにとって素晴らしい一年になりますように・・・♪
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Unknown (mari)
2006-01-07 01:25:12
かりんさん、こんばんわ~。

上質な笑いがありましたね。

これで、終わり?皆さんと同じ感想です。

古畑さん、定年ですかね。さみしなぁ~。
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mariさん♪ (かりん)
2006-01-07 09:25:19
そうなんだ。古畑さん定年という設定で終わりなの?

そしたらパート巡査とか何とか名前を変えてカムバックしそうな気がします。

甘いかしら?〔笑)

笑いに嫌味がないのはいいですよね。

ラストは松嶋の好演で切なく美しく終わりましたね。ほろっとしました。
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かえでともみじ (くぶくりん)
2006-01-07 12:27:33
ちょっとわからないのは、古畑が好意を寄せていたのは妹のかえでのはず。ならば初対面の犯人もみじに対してあそこまでやさしくするのはどうして。

犯人が逆でかえでがもみじを殺したんならまだわかるのですが・・・
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くぶくりんさん♪ (かりん)
2006-01-07 18:35:11
なるほど別人ですもんね。

ただ古畑の性格としてフェミニストですから犯人にでもひたすら優しいというのは挙げられますよね。

初めにかえでと親しくなり、後にかえでのふりをしたもみじと親しくなっていますから違和感がなかったのでは?

古畑にしてみたら同じ顔で性格も似せてきたので錯覚もあったかもしれません。

どっちにしろ松嶋だし・・・役得でうらやまです(笑)
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