古代四方山話

古代について日頃疑問に思っていること、思いついたことを徒然なるままに綴ってみたいと思っています

なぜ草薙剣は固有名詞なのですか

2020-10-19 11:15:31 | 歴史

八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣。

なぜ剣だけが固有名詞なのかが、ずっと気になっています。

 

卑弥呼の墓かもしれない福岡は平原王墓出土の大型内行花文鏡は、直径46.5センチもある鏡です。

この鏡の円周は、漢の時代の寸法で「八尺」=八咫となるため、発見当時から伊勢神宮に伝わる八咫鏡との関係が取り沙汰されてきました。

具体的な数字ではなく大きいという意味で「八」が使用されたと思われてきましたが、平原王墓の鏡が出土以降、八咫は寸法と考える研究者も増えたようです。

また八咫鏡は、周防国の神夏磯媛が服従の意を示すために景行天皇に差し出しています。唯一無二のものではないようです。

八咫鏡というのは円周が八咫の長さになる大きな鏡を指す一般名詞だと考えられます。

 

八尺瓊勾玉についても、岡県主・熊鰐や伊都県主・五十迹手、周防・神夏磯媛が服従に差し出しています。

丹波の甕襲からも献上されています。

「八尺瓊」の解釈については諸説あります。

八尺の尺は咫と同じ。これを鏡と同様に寸法とみるのか、それとも単に大きいという意味と取るのか意見が割れるところです。

鏡が寸法であるならば、勾玉も寸法とみるべきでしょうか。

八尺とは約140センチです。

この長さを結わえてある緒の長さが140センチの御統の首飾りだと考えると、八尺という寸法は非現実的なものではなくなります。

天照大神の神話中の勾玉も「八尺瓊之五百箇御統」です。

赤い瑪瑙の勾玉なのか翡翠勾玉なのかはさておき、八尺瓊勾玉についても一般名詞だと考えられます。

 

八咫、八尺ときて剣だけに固有名詞をつけるというのは、どういう美学なのでしょうか。

まさか草薙剣や天叢雲剣も一般名詞?

また、剣で八尺は長すぎるにしても、八握剣ではなぜいけなかったのでしょうか。

初期のヤマト政権は連合国家。八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣がそれぞれ元々どこのクニのレガリアだったのかが気になっているのですが、鏡と勾玉が一般名詞、つまり他にも存在しうるものであれば、その出処は特定できそうにないですね。