古代四方山話

古代について日頃疑問に思っていること、思いついたことを徒然なるままに綴ってみたいと思っています

久延昆古命 ②

2020-10-05 11:32:01 | 歴史

クエヒコはヤマタノオロチ。

名前を言い換えていくとそうなります。

 クエヒコ→山田のソホド→山田の案山子→山田の蛇→ヤマタノオロチ

 

古事記ではヤマタノオロチは「越(高志)」だとされます。

そして久延昆古命を祭神とする神社が越にもちゃんとあります。

能登半島にある延喜式内の古社、久氐比古(くてひこ)神社です。

 

「くて」は地滑りを表す語であるから「くてひこ」は石動(いするぎ)と関係する神との説もありますが、久氐比古神社には天目一箇命や火産雷神も祀られていることから、久氐比古は製鉄神と考えられます。

たたら製鉄の鍛冶師は片目で炉を見続けるため片目を失明してしまうことから、天目一箇命は製鉄の神として信仰されます。この神が一時、久氐比古神社の主祭神でした。

また鍛冶師たちは片足でたたらを踏み続けるため、片足を痛めてしまう、一本足の案山子は製鉄民の暗喩であるという説もあります。

ヤマタノオロチの尾からは天叢雲剣が出ており、一説にヤマタノオロチとは金属製作民の長ではないかとも考えられています。

クエヒコは案山子であり田の神であると同時に製鉄(あるいは製銅)神でしょうか。

 

三輪山の大物主神はモモソヒメと雄略天皇に蛇である姿を見せています。

モモソヒメのときには櫛笥の中に入る綺麗な小さな蛇。

雄略天皇には大蛇の姿を見せますが、それでも腕力が優れている小子部スガルが捕まえてこられるほど。

もしクエヒコがヤマタノオロチであるならば、大物主神よりずっと大きいように思えます。

出雲より越が大きかった?

大神神社 大物主神=大蛇の横に、末社としてヤマタノオロチ=クエヒコが寄り添っている姿を想像するとなんだか面白い…。

現実の久延彦神社には巳(みぃ)さんはもちろん案山子もおりません。

知恵の神、フクロウがいます。

 

それにしても文部省唱歌の「案山子」の歌詞、小さい時には気づきませんでしたが、今見ると…酷いですね。