今日でカヲリの木は丸3年を迎えた。
3年、というとお店の中ではまだ「ひよっこ」かもしれない。
でも、この3年は私にとっては大変長く、いろんなことを経験した日々だった。
この節目の今、少しだけ、思うこと・・・。
それは、一緒に店を立ち上げ、苦楽を共にしてきた
グラウベルの狩野さんにとっても似たような思いだったのではないだろうか。
一緒に店を立ち上げ、ずっと共に育て上げていくものだと思っていた。
しかし2年経った頃、お互いの住まいの距離が遠いこと、
まだ子供に手がかかること、店頭に立つ時間意外に焙煎もしなければ
ならないこと、ランチを始める上で、すべての両立は難しいこと、など
いろんな問題が噴出した。
カヲリの木を閉めるか否か?
そんな選択が頭の中をよぎった2年目。
お店としても中途半端なメニューで、お客様は少なく、打開策として
私はメニュー開発をしたかったが、施術に時間を取られてできず、
狩野さんはコーヒー焙煎とコーヒーの研究の時間がなくて
お互いに悶々とする日々が続いた。
時間が少なすぎる・・・。
24時間全てを自分時間に使える訳ではなく、母、妻、そして一人の
仕事をする人間として時間配分を考えなくてはならない。
このまま続けていても進歩はない。そう思った時、一歩踏み出す決意をした。
でもその為には、お互いの仕事を切り離すというハード面だけでなく、
お互いに楽しくやってきた感情的な部分も切り離さなくてはならなかった。
カヲリの木という店を存続する為に。そしてお互いの満足のいく
仕事を成し遂げる為に・・・。
カヲリの木はそうやって昨年10月頃から新たな局面を迎え、
自宅兼店舗である天野(私)が店を引継ぎ、狩野さんは焙煎や
コーヒーの研究に集中して取り組む決意をした。
今だから言えるが、私にとってその後の半年はとてもきつかった。
ずっと一緒に仕事を分担してやってきたから、それを全て一人でこなす
のは寝る時間を削ってやるしかなかったし、逆に私一人の経営になってから
カヲリの木がすぐにつぶれたのでは申し訳ない、という思いもあり、
なんとか一人前のお店にしなくちゃ!と張り詰めた日々を送っていた。
しかし、狩野さんはもっと大変だったに違いない。
一からグラウベルを立ち上げたのだから・・・。
そうしてお互いに精一杯毎日を過ごし、ここまでやってきた。
ほとんど遊ぶヒマもなく、周囲からは働きすぎ、と言われるほどまで。
今回、お互いの家の真ん中の距離にある、玉川高島屋さんの
催事に出店することになり、偶然にも3周年をそこで向かえることができた。
狩野さんの初めての本も出版された。
そして何より、この催事の為に協力し合い、一つのものを創り上げることが
できた、ということに心から感謝している。
(そういえば、一番最初にカヲリの木の物件を探していたのは
桜新町やこの辺りがいいな~と思って2人で歩き周ったっけ。
ああ、何軒か物件も見たりして楽しかったな~、などと思い起こした。)
そう、今日はひとつの大切な区切りとなった。
明日からは4年目に突入。
気持ちも新たにこれからも大切なカヲリの木を育てていきたいと思っている。
相変わらず変化しつづけるかもしれないが。