逆境にめげずシャープの復活を期待したい(2016年6月28日)

2016年06月28日 | 随筆

桑原名誉顧問からの投稿

逆境にめげずシャープの復活を期待したい (2016年6月28日)

 液晶パネルの市場で世界を席巻したシャープが、今は鴻海の資金援助のもとで必死に再起を図っている。03年のシーテックジャパンはアテネオリンピックを目前にして液晶テレビが爆発的な人気を呼んだ。この特需を制覇したのがシャープの「AQUOS」であった。亀山工場は世界初の液晶テレビ一貫生産工場として識者の注目を集めた。シャープ絶頂期の始まりだ。

 その後、シャープは第4代町田社長、第5代片山社長による液晶一本槍の経営が続く。経済紙のシャープ担当記者の編集になるノンフィクション書によると、亀山第2から堺工場へと続く巨額投資の失敗に加え、勧告サムスン電子等の熾烈な追い上げにより経営が急速に悪化した。併せて会長、社長に副社長も加わる権力抗争が続き、効果的な打開策が打ち出せぬまま名門企業が瞬く間に崩壊していったとある。

 鴻海による買収が決まったころ、役員や従業員はそのまま受け継ぐと報じられた。しかし6月の総会以降は鴻海の氏名役員が多くなる。人員削減も厳しいようである。シャープ元副社長佐々木氏の言によると、鴻海の郭会長は若い頃香港でシャープの製品を販売しており、今でもシャープに親近感を抱いているはずだという。トランジスターラジオ、電卓など新製品を次々と生み出した名門シャープの復活を期待したい。

追記1
 シャープの鼻息が荒くなった町田社長時代、筆者も知人を通して亀山工場の見学を依頼したが審査中と称して返事が来ない。催促をすると知人は「小泉首相も視察されたぐらいなので」と言訳をする。10年に建設した堺工場では東芝やソニーなどに提供する液晶パネルを製造していたが、需給が逼迫すると自社製テレビへの供給を優先し、外販に回すパネルの量を制限したという。これでは業界内の評判も悪くなる。

追記2
 6月22日、鴻海の株主総会における鴻海首脳の主な発言
郭董事長

・場所や飼い主を替えても腐った卵しか産まない鳥は要らない
・カットすべき人はカットする(7000人規模の可能性)
・信賞必罰の人事制度を導入

戴副総裁(シャープ次期社長)

・シャープは「金持ちの息子」のよう(コスト意識のなさなど)
・コストダウンで家電を半額で売れるようにする
・中国・深セン※に開発・販売を担う海外本部を設立
 ※センは土へんに川

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