研究開発の分野でも中国の進展は目覚ましい(2015年4月24日)

2015年04月24日 | 随筆

桑原名誉顧問からの投稿

研究開発の分野でも中国の進展は目覚ましい (2015年4月24日)

 
 中国は08年に「国家知的財産権戦略」を策定、5年以内に知財の水準を大幅に引き上げるとしていたが、その成果が着実に上がったようだ。14年の国内特許出願数は前年比13%増の93万件で4年連続して世界一を記録している。過去10年では約7倍となった。

 
 国際特許出願では世界全体で21万件と前年より5%増え過去最高を更新した。国別では米国の1位、日本の2位に次いで中国は3位であるが、日本が前年比3%減なのに対し中国は19%増と勢いがある。
toukou-2015042403

 
 企業別では中国の華為技術が昨年の3位から首位に浮上、昨年首位のパナソニックは4位に後退した。2位には特許紛争で悪役のクアルコムが入り、昨年2位の中興通訊が3位になった。華為と中興で中国出願総数の1/4を占めるから、モバイルの隆盛ぶりが推し量れよう。

 
 その背景には「通信強国を目指す」という政府の大号令がある。チャイナモバイルなど中国の移動通信事業体3社の投資額は15年に3兆円に達する。基地局数が100万か所という規模には目を見張らざるをえない。LTEの利用者数は15年に米国を抜き世界一となる。販売されるスマホの数も当然ながら世界一だ。これだけの市場を目指して内外のメーカーが販路を競い合う。特許出願が世界一となるのも首肯されることである。

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出版産業の競争が電子書籍に移る中、実店舗書店のアマゾンへの対抗(2015年4月24日)

2015年04月24日 | 随筆

桑原名誉顧問からの投稿

出版産業の競争が電子書籍に移る中、実店舗書店のアマゾンへの対抗 (2015年4月24日)

 
 アマゾンは20年前の1995年にインターネットで本を売ると言う画期的なサービスを始めた。実店舗を持たず固定費を節約した同社は(米国では再販制度がないため)安い価格を設定することができ、顧客の人気を集め急成長した。やがて本だけでなく電気製品や衣類などに幅を広げ、07年には生鮮食料品の即日宅配サービスも始めた。
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 ニューヨークのマンハッタン地区では注文から1時間で配達するサービスを始めたというから凄い。 アマゾンが日本に進出したのは2000年である。再販制度が完璧に普及しており、かつ日本で出版された書籍の扱いが多い日本で顧客が如何に対応するか興味深かったが、同じ頃にネット販売を始めた伝統的な書店をすべて合わせたよりも販売量が多そうだ。

 
 最近は電子書籍の販売に競争が移っている。アマゾンは07年に米国で電子書籍端末のキンドルを発売、同時に電子書籍販売サービスを開始した。米国内ではライバルであったソニーの電子書籍「リーダー」などを駆逐し、その勢いで12年に日本へ上陸した。

 
 アマゾンは印税を書籍価格の70%に設定できるというので話題を呼んだ。日本の電子書籍市場はまだ未成熟であるが、紀伊国屋と大日本印刷が大手である。両社は仕入れや流通システムを統合するなどアマゾンに対抗する体制づくりに大童のようだ。

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米通信業界の巨人であった持株会社AT&Tはベルシテム解体で長距離会社となっていたが、それが地域会社のシンギュラーに買収されて新AT&Tとなっている(2015年4月13日)

2015年04月13日 | 随筆

桑原名誉顧問からの投稿

米通信業界の巨人であった持ち株会社AT&Tはベルシステム解体で長距離会社となっていたが、それが地域会社のシンギュラーに買収されて新AT&Tとなっている。 (2015年4月13日)

 
 日経紙に「通信自由化30年」と題する囲み記事が載り、そこで「米国ではAT&Tが再統合した」と書かれていることについて友人からその意味を質問された。筆者も分からずにいたところだったが、「推察するところ」と断りを入れた上で解説を差し上げた。

 
 1984年、ベル研究所、ウェスターンエレクトリック(メーカー)、AT&T(通信事業体)を擁する巨人「ベルシステム」が解体され、長距離通信を扱うAT&T、地域電話を扱う7つのRBOC(地域電話会社)、ルーセント(メーカー)に分割された。その後RBOCは合併を繰り返し、東部をテリトリーとするベライゾン、中・西部のSBC、南部のベルサウスの3社になっている。

 
 解体の時、自動車電話サービスは地域電話会社の領分とされた。ベライゾン傘下のベライゾンベワイヤレス、SBCとベルサウスの合弁会社シンギュラーワイヤレスが覇を競い合うことになった。携帯電話の時代になって後、AT&Tは独立系のマッコウセルラーを買収し、移動通信会社AT&Tワイヤレスを設立した。

 
 しかし経営業績は先行2社に追いつけず、04年にシンギュラーワイヤレスに買収された。さらにSBCは落ち目になったAT&T本体を05年に合併した。存続会社は買収元のSBCだが、SBCは伝統あるブランド名AT&Tを頂くことにした。これが新AT&Tだというややこしい話で、単純な再統合ではないのである。

 
 参考
シンギュラーワイヤレスは、2001年に、SBCコミュニケーションズ(旧アメリテック+旧サウスウェスタンベル+旧パシフィック・テレシス)とベルサウスという地域ベル電話会社(RBOC)が、それぞれの携帯電話子会社群を合併させて成立した。
ベライゾン・ワイヤレスは、1999年9月にベル・アトランティック傘下の携帯電話事業者 Bell Atlantic Mobile、Vodafone Air Touch Plc.のアメリカ合衆国内の事業、GTEワイヤレスおよびPrime Coコミュニケーションズの4社が合併して成立した。

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