KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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別大毎日マラソン雑感~もう、「市民ランナーの星」ではない vol.1

2013年02月19日 | マラソン観戦記
今年に入って、初めてのブログ更新となる。12月の防府読売マラソンの観戦記のしめくくりに、「川内優輝には大きな課題がある。」と書き、「つづく」と締めくくっていたのだが、あれから2ヶ月で川内優輝は大きな進化を遂げてみせた。

昨年の年末に感じた、彼に対する危惧。それは、防府の2週間前の福岡国際マラソンでは2時間10分29秒で6位に終わっていること。しかも、27kmで先頭集団から脱落し、「勝負に参加できない」レースだった。それが防府ではケニア出身の若手ランナーらを振り切り、後半は独走、しかもペースを上げての優勝。タイムは2時間10分46秒。


同じ2時間10分台でも、福岡と防府では「価値」が全く違う。「若手の登竜門」である防府なら賞賛されるべきタイムだが、世界選手権代表選考レースでもある福岡では、落第点である。

このままでは、「格下相手」のレースでは強いが、「大舞台には弱い」というレッテルを貼られはしないかという点を危惧したのだ。彼自身の福岡のレース後のコメントも、自らのトレーニングの限界を感じていることを匂わせた。このまま「善戦マン」に終わってしまいやしないか。

2013年が明けて、今季限りで休部が伝えられたエスビー食品陸上部の選手とスタッフのDeNA移籍が報じられた。実業団駅伝への参戦も表明されたがメンバーが足りない。あるいは川内優輝入社という「サプライズ」が発表されるかとも思ったが、彼自身の口から、

「瀬古監督から誘われたが、断った。」

との発言があった。ほっとした。僕が彼にニューイヤー駅伝を走るのを見てみたいと書いたことがあるが、それはあくまでも、「埼玉県庁陸上部員」として走る姿が見てみたいということだったので。(ロンドン五輪のボクシングの金メダリスト、村田選手のプロ転向の一報は、川内優輝の実業団移籍を聞いたような気分になった。)

そして、1月に出場したエジプト国際マラソン。2時間12分46秒の大会記録での優勝だが、パスポートを忘れたために招待選手として用意された便に乗れず、自腹でエジプト入りしたというマヌケなニュースが伝わり、「話題製造機」という一面も覗かせた。そう、彼の活動や発言がスポーツ紙に取り上げられることで、図らずも長年話題不足だった日本の男子マラソンの「広告塔」の役割になっていたのだ。

そして2月3日の別大毎日マラソン。世界選手権の選考レースになってはいるが、川内も当初はびわ湖のためのトレーニングの出場と公言していた。防府のレース後にもコメントしていたが、モンゴルのトップランナー、セルオド・バトオチルと2時間9~10分前後の優勝争いになるかと思われた。

昨年のロンドン五輪マラソン6位の中本健太郎が出場することで、別大は予想外のドラマが生まれた。中本と川内は、五輪の選考において「あと一つ」の座を争った、「因縁」がある。中本を選出したことで、陸連が「川内を排除した」と受け止めた報道もあったほどである。僕は「妥当な選考」ではあると思ったが、中本の走りはまさしく、川内優輝やプロランナーの藤原新らに脚光が集まる中での「実業団のリベンジ」を感じさせるものだった。福岡で川内に先着したのは、藤原新の他には、旭化成の堀端宏行に、中本のチームメイトである安川電機の黒木文太、と「駅伝育ち」の老舗実業団ランナーたちだったことも、「意趣返し」に感じられた。

世界選手権が隔年開催となって以後、日本の五輪マラソンメダリストないし、入賞者が五輪翌年の世界選手権の選考レースに出場したケースはこれまでに無い。中には「燃え尽きた」ランナーもいた。しかし、中本は燃え尽きていなかったのだろう。

「決して優勝争いには加われなくとも、常に上位は確保する」という、1990年代後半以降の日本の男子マラソンの「世界での戦い方」を体現するランナーである中本。別大出場の目的は、「優勝」だったはずである。海外招待選手の中に、ケニアやエチオピアからの出場者がいなかったことも、あるいは中本に対する「配慮」かと勘繰った。

別府大分を自宅で、ライブで見るのは久しぶりのことである。2月の第一日曜は、たいていは丸亀ハーフマラソンに出場していた。故障で療養中の今年は丸亀にもエントリー出来ず、土日出勤当たり前の業務に就いているが、今年はちょうど日曜日が休みになった。

このレースをライブで見られて本当に良かった。 (今回は本当につづく)

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1 コメント

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中本健太郎選手の快挙 (マラソン資料館ファン)
2013-02-19 22:51:45
“かんちゃん”様へ

日本男子の五輪マラソン代表が五輪後に自己ベストを更新したのは、アトランタの翌年'97年の大家正喜さん以来という「立派な快挙」ですね。
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