KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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輝く!日本マラソン大賞2016 vol.2

2016年12月31日 | 日本マラソン大賞
いよいよ、現役ランナーに授与する各賞の発表である。が、その前に。「功労賞」を授与すべきランナーをもう一人。


◎功労賞 藤原正和

中央大学時代には、「花の2区」と「山登りの5区」の両方で区間賞を獲得。卒業直前のびわ湖マラソンでは、今も破られていない、初マラソン&大学生のマラソン最高記録である2時間8分12秒でゴール。全く、どこぞの監督が自分の教え子を五輪に出したいあまりに「イクセー枠」とか「ミライ枠」とか口にしていたが、そういう戯言はこの時の藤原のような走りを見せるランナーを育ててから言えといいたい。しかし、その年の世界陸上は故障で欠場。以後、走れない時期が続いたが、2010年の東京マラソンでは氷雨の中、藤原新、佐藤敦之、川内優輝といった錚々たるメンバーを抑えて優勝。世界陸上には2度出場したが、五輪代表にはなれなかったのが惜しまれる。彼を高岡寿成、藤田敦史とともに「新・三大・マラソン五輪代表に選ばれなかったのが残念過ぎるランナー」に選びたい。中央大学の監督に就任後も、1年生を主将に選出したり、箱根駅伝の学連選抜チームの監督に就任するも東大生ランナーを補欠に回したりと、話題を提供し続けている。


◎新人賞
 
丸山文裕(旭化成)
清田真央(スズキ浜松AC)

丸山のマラソン・デビューは待ち遠しかった。熊日30kmでは川内優輝と競り合い、サブ90分でゴールし、実業団ハーフでも優勝。しかし、その後膝を手術したということで今年のびわ湖がデビューマラソンとなった。一時は「初マラソン、いきなり五輪代表入りか?」と思わせる走りを見せた。近年は箱根駅伝のスターランナーたちが大量入部している旭化成だが、もともとは丸山のような高卒のランナーたちが、大卒のランナーに「たたき上げの強さ」を見せつけていた「伝統」は今も健在だった。なかなか、「新星」が出てこない女子マラソン界だが、あの「山の神」神野大地と高校時代に同期という若いランナーがナゴヤで2時間24分32秒の好タイムで4位でゴール。リオ五輪旗手の右代啓祐や、男女のやり投げ代表コンビなど、フィールド競技では五輪代表を輩出しているスズキ浜松から、ようやく、将来の日本代表候補が誕生した。ちなみに、スズキ浜松ACは実業団陸上連合に未登録のクラブチームである。厳密に言えば、清田は「非実業団ランナー」である。


◎優秀外国人賞

フェイサ・リレサ
ヘラー・キプロプ

東京マラソンの優勝者コンビを選んだが、東京マラソンを女子の五輪や世界陸上の代表選考レースにしないのは本当にもったいないと感じている。大阪国際女子やナゴヤ・ウイメンズよりも明らかに「格上」のランナーが来日しているというのに。


◎ブライテスト・ホープ賞

橋本 崚(GMO)
木滑 良(三菱日立パワーシステム長崎)
深津卓也(旭化成)

「新人」ではないが、マラソンキャリア3回前後のランナーに与える賞。今春から活動開始したばかりのGMOのルーキーで防府読売マラソン優勝の橋本、青山学院大時代には一度も箱根駅伝を走ったことがなく、今年の箱根では神野大地の付添いをしていたという。箱根を沸かせた同期や先輩に先駆けて、「マラソン優勝」という勲章を手にした。今年の北海道マラソンを制した木滑。実にクレバーというか、とてもマラソン2回目とは思えないような「巧いマラソン」を見せてくれた。びわ湖で初サブテンをマークし、秋のシカゴでも入賞した深津。来年の世界陸上にはこの3人の中から、代表が選ばれて欲しいと思う。


◎外国人特別賞

エリュウド・キプロティチ
ジェミマ・スムコング

リオ五輪のマラソンはケニアが男女とも金メダルを獲得したが、この2人は今年4月のロンドンマラソンの優勝者でもある。もはや五輪とWMMは別物とは言えなくなった。


◎努力賞

高宮祐樹(ヤクルト)
松尾良一(旭化成)
吉田香織(TEAM R×L)
小原 怜(天満屋)


今年の東京マラソンは、五輪選考レースとしては「世紀の凡戦」だった。日本人トップを意識するあまり、スローペースの集団が形成されて、外国人ランナーのハイペースに、初マラソンの村山謙太以外誰もついていかない、見ていてイライラが募るレースだった。そんなレースで日本人トップの8位でゴールした高宮。自己ベストの大幅更新は評価できる。高卒ご実業団入りして7年の松尾だが、すでにマラソンは15回を数えている。川内優輝に対して、「駅伝中心でマラソンを年に一回しか走らない」実業団ランナーを批判的に見るメディアがあるが、実業団にも年にマラソンを3~4回走るランナーがいるという事くらいは知っておけよと思う。今年は、延岡西日本マラソンで優勝した。来年は、国際マラソンで上位に食い込んで欲しい。
35歳にして北海道マラソン二連勝の吉田カオリン。しかしながら彼女を「グレイ」なイメージで捉える人も少なくない。それでも腐らずに走り続ける彼女にはエールを送りたい。「市民ランナーの星」と、最近は呼ばれてもいるようだが、むしろ、市民マラソンに活躍の場を移してはどうかと思う。ナゴヤで一秒差で、天満屋の5回連続五輪出場を逃した小原。重圧もあったに違いない。次のマラソンに期待したい。


◎殊勲賞

谷川智浩(コニカミノルタ)
山本浩之(コニカミノルタ)
岩出玲亜(ノーリツ)
堀江美里(ノーリツ)
小﨑まり(ノーリツ)

「日本人ランナーも、もっともっと海外レースにチャレンジすべき。」という人は多いが、海外マラソンに出場して、それなりの結果を出したランナーを評価する声はあまり聞かない。そこで、今年海外マラソンで活躍した日本人、ニューヨーク4位の山本、シドニー優勝の谷川、ベルリン4位の岩出、ゴールドコースト優勝の堀江、パリ6位の小﨑、全員まとめて殊勲賞である。特に、山本のニューヨーク4位は「快挙」である。こうして見ると男子はコニカミノルタ、女子はノーリツと特定チームに偏っているのが興味深い。特に、「30kmロードには強い」コニカミノルタのランナーがマラソンで結果を出してきているのは面白い。


◎敢闘賞 

石川末廣(Honda)
佐々木悟(旭化成)
田中智美(第一生命)
伊藤 舞(大塚製薬)

36歳で五輪初出場の石川。彼は多くのランナーに希望を与えたと思う。いいかげんに、今の大学生の駅伝に「東京五輪の代表はここから生まれる」という煽り文句を並べるのは止めようではないか。五輪代表が若くなければいけないと誰が決めたのだ。久しぶりの旭化成からのマラソン代表となった佐々木。アトランタ五輪での谷口浩美、シドニー五輪での川嶋伸次のような走りだった。ナゴヤ・ウイメンズでの小原と田中の「日本人トップ」争いはまさしく名勝負だった。北京世界陸上の代表を天満屋と重友梨沙との比較で落選した田中にとっては、まさしく「リベンジ」だった。これが「優勝争い」ならもっと良かった。北京世界陸上7位で五輪代表に内定した伊藤に対して、心無い批判もあっただけに、彼女には鼻を明かすような走りをして欲しかった。4人の五輪代表、入賞にも手が届かなかったが、よく頑張った。


◎優秀選手賞

北島寿典(安川電機)
福士加代子(ワコール)

びわ湖は、リオ五輪選考レースの中でもベストレースだった。2位でゴールした北島は本当に素晴らしかった。ベストコンディションでリオのスタートラインに立てなかったのが本当に惜しまれる。大阪国際女子での福士の走りも素晴らしかった。感動した。しかし、監督が余計なことを言ってぶち壊しになった。おかげで、リオ直前には「アンチ福士」になっていた。


◎最優秀選手賞

川内優輝(埼玉県庁)
道下美里(三井住友海上)

迷った。今年も最優秀選手は「該当なし」にしようかと直前まで思っていた。むしろ、長年このマラソン大賞を見てきた人(何人いるんだ?)からは怒られるかもしれない。しかし、あえて選んだ。今の日本のマラソン界は、史上稀に見る低迷期かもしれない。だが、こんな時だからこそ、「最優秀選手、該当なし」を避けようと思った。twitterでは、川内に対してアンチなコメントをしたこともあったが、それは、川内を「陸連&実業団」という既得権益集団(
?)に対する抵抗勢力とみなす一部のメディアに対する反感からである。今のマラソン界を「川内対実業団」という図式で見ていると、見逃してしまうものがいっぱいある。僕はそんな見方でマラソンを見てはいない。とにかく、今年一番頑張ったランナーとして、川内を最優秀選手に選出する。そして、もう一人、ここに入れるべき、ランナーを忘れていた。これまでになく、パラリンピックに対する注目度が高まる中、銀メダルを獲得した全盲のランナー、道下。オリンピック代表が力を出し切れなかった中、大舞台で最高の実績を残した彼女、並びに伴走者を称えたい。


やはり、ブログはいいな。140字では語れないものが語れる。来年はもっとブログを更新するつもりだ。


※12月31日朝、発表した内容にに一部、修正を加えました。

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