KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

あなたもマラソンランナーになれる・・・わけではない vol.5~四日目の朝

2009年01月03日 | あなたもマラソンランナーになれる
2009年最初の記事は、三が日に開催された駅伝の観戦記ではなく、「あなマラ」(略して言うと、なんかエッチ?)にしようと思った。だいたい、学生さんの駅伝、この最近やれ過熱報道だの何だのと言われているではないか。僕のサイトで取り上げなくても、いろんなところで取り上げられるからいいんじゃないかと思う。

さて、新しいシューズとウェアを買い揃え、この元旦から走り始めた、という方もいらっしゃるかもしれない。元旦の朝、寒さをこらえて跳ね起き、外へ出て寒風の中、息をきらして走り、帰ってこたつでぐったり。2日の朝も眠い目をこすりつつ暗いうちから外に出て、息をきらして走り、またしてもぐったり。駅伝をこたつに入って見ているうちに寝てしまい、目を覚ましたらワセダが逆転負けしていてがっかり。

そして、3日目の朝である今日。なかなか布団から出られない。しばしの葛藤の末に決断する。
「今日は走るのやめた。」

そんな方もいらっしゃると思う。30年ほど前のジョギング・ブームの頃に、男性用化粧品のCMで同様のシチュエーションの作品があった。

朝、ベッドの中で横になる1人の男性。
ナレーション
「ランニングを始めて3日目。今朝の天候はランニングに適していない。」

カーテンのすきまからは朝の光が差し込んでいる。そこから聞こえてくるのは
「ファイト、ファイト」
という女学生たちの掛け声。

所謂「三日坊主」というやつである。さて、この男性は、翌日の朝、どうしただろうか?

ランニングというものに対して、鍛錬とか修養というイメージを抱く人は少なくないようである。そういった人たちが、実は正月の駅伝中継の人気を支えているのではないだろうか?「母校の名誉と誇り」を襷という一枚の布切れに託して、苦痛に顔を歪めながら走るランナーの姿をこたつで一杯やりながら目を細めて見る人たち。そんな人たちの多分何割かは、マイクを向けられると
「楽しんできます。」
などと答える五輪代表アスリートたちを苦々しく思うに違いない。

ランニング、毎日やらなければいけないものだと思ってらっしゃる方が少なくないのではないだろうか?確かに、毎日走れば、走っただけ、「効果」は表われる。しかし、仕事と家庭を持つ一般の社会人が学生の部活のように、毎日運動で汗を流す、というのはかなり困難なことだ。

3日目に走れなければ、4日目にまた走ればいい、ただそれだけのことである。

僕が曲りなりにも15年以上もランニングを続けてこられたのは、一つが
「別に毎日走る必要はない。週に3日くらいで十分」
ということを知ったこと。そしてもう一つは、
「練習の時は、ゆっくり走ったのでいい。」
ということを知ったことが一番大きく影響している。

「なんだ。それなら自分でもできそうだ。」

そう思ったことで気楽になった。別に誰かに強制されて始めたことではない、自分がやりたいと思って始めたことだから長続きしたのだと思う。

まずは、これまで、身体を積極的に動かさない生活をしていたのだから、身体を動かすことに慣らしていくことが肝心である。
「最初はどのくらい走ればいいのですか?」
と思われるだろうが、答えは人それぞれに違っている。年齢、性別、基礎体力によってさまざまだ。目安として欲しいのは、へとへとになるまで続けるのではなく、適当なところで切り上げること。ゆっくりと身体を動かし始めて、少しずつペースを上げていき、身体が次第に温まり、うっすらと汗をかいてきたところでピタッと止める。
「続きはまた明日。」

そういうわけで、ランニングコースも、周回コースが理想だ。400mのトラックならいいけど、公園や大きな工場の周囲など、一周1~2kmくらいのコースがあればいい。一周5kmの皇居というところ、10年前に1度だけ走ったことがあるが、確かにいいコースだと思う。しかし、最初は5km走るのも大変なことだと思う。

毎日続けようと思うのなら、一つの鉄則がある。
「疲れを翌日まで残さない。」
ことである。ランニングを日常生活の中で「習慣」として定着させる段階では必要なことである。レースに出て、自己記録の更新を目指すレベルになれば、翌日も疲れを残すほど身体を「追い込む」ことも必要になってくるが、今はまだ、そこまでやらまくてもいい。

身体を動かす事に慣れようと思うなら、車をなるべく使わず、外出は歩くか自転車を使うのもいい。僕のランニング仲間が以前、東京に遊びに行き、戻ってきて言うには、
「東京には肥満体の人が少ないね。」
ということだった。

地下鉄などの公共交通が整備されていて、乗り換えのために広い駅をすみからすみまで歩く機会が多い分、大都市の住人の方が、自宅から1kmくらいのスーパーに買い物に行くのにも車で出かける地方の住人よりも、よほど日常生活の中で運動量が多い、というわけである。最近は、凶悪な事件の影響からか、登下校時に親が車で送り迎えする子供が多く、地方に住む子供の方が体力低下が甚だしいのだそうである。

朝、暗いうちから走らなければいけないわけでもない。朝がつらければ、夕方でもかまわない。ご自身の生活をまず見直し、どの時間ならランニングに充てることができるかを検討してみて欲しい。

少なくとも、自発的にランニングを始めようと思い立ったのなら、走る時間を得るために、何かを失うことも覚悟が必要だと思う。「覚悟」などと言ったが、そんなに重く考えることはない。僕の場合、ランニングを始めて以来、プロ野球のことが分からなくなってしまった。仕事が終われば、ナイター中継をテレビで見ていた時間に、夜の公園や道路を走るようになっていたからだ。そして、そのうち、その方が面白いと思うようになってくるのだ。

そうしていくうちに、週に3回のランニングが4回に増え、4回が5回にと少しずつ増えていき、気がつけば、毎日走ることが当たり前になってくるようになる。その頃には、ランニングが貴方の生活の中でかけがえのない楽しみとして定着しているはずだ。

ソウル五輪のマラソン代表だった宮原美佐子さんは五輪の翌年、結婚し競技からはいったん離れたが、出産後、トレーニングを再開し、4年後にはマラソンに復帰し、何度か2時間40分台でマラソンを走った。当時、ランニング情報誌の特集記事にて、

「走っているときが、私自身に帰れる唯一の時間です。OLでも妻でも母親でもない、そういう自分に帰れる時間」

と語っている。貴方も忙しい日常生活の中で、一日に30分からでも、そんな時間を作り出してみることをお勧めする。


※参考文献
「ゆっくり走れば速くなる」佐々木功著
 ランナーズ
「シティランナー」1993年10月号


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