カウンターの中から客をのぞくといろんなことが見えてくる

日本人が日本食を知らないでいる。利口に見せない賢い人、利口に見せたい馬鹿な人。日本人が日本人らしく生きるための提言です。

病院の役割に疑問。病院が、人生を脅迫していることがある。

2012-10-31 | 人間観察
大がかりな検査だった。

血球系細胞を中心に、いろんな検査を、一日がかりでやってもらった。

午後からは通常の治療を行い、最後に、結果を教えてくれる。

いつものことだが、何の変わり映えもない結果報告だ。

「良くも悪くも順調だ」

「順調って、少しは良くなってるってことですか?」

「いや、良くなったり治ったりはしませんが」

「それは順調に死に向かってるってことですか?」

「そんな意味じゃない。急激には悪くなってないから大丈夫だよ」

「少しづつ順調にに悪くなってるってことですか」

「だからこの病気が進行が少ないということでもいいことだから」

「悪くなってるのに、先生は【順調】と言うんですか?」

「だって仕方ないじゃないか」

「何が仕方ないんですか、治らない病気を見つけて、偉そうに言ってるだけで、何にも治せないって言ってるだけじゃないか」

「いや、今は薬が良くなってるからね」

「薬屋のことを聞いてるんじゃないんですよ。僕の寿命や将来のことを教えてください」

「そんなことわかるわけないでしょ」

「医者ってのはなんにもわからないのに、こうやって患者に説明するんですか?
薬を与える対処療法だけで、先生は何もしてないじゃないですか。一帯患者に何を説明してるんですか。順調に死に向かってるから安心しろってんですか」

ぼくは医者の言葉にかなり腹が立った。

そして逆切れ。

「それなら来なけりゃいい」

僕は、ポケットから、ボイスレコーダーを見せて、立ち上がった。

「おい、どうするつもりだ。それを返せ!」

「これは僕のもの。返せという言葉は僕には意味がわからない。会話も僕に対する説明。それを録音したらいけないんですか? 院長と、マスコミの方に聞いてもらって自分の将来を決めますよ」

医者は急に頭を下げ出した。

医者は病気一つ治せないのに、治せるつもりでいる。

これは脅迫以外の何物でもない。

夜は気の合う客と一緒に過ごした。

僕の愚痴も聞いてもらいながら。

そしてまたひとつ、卑しくなって女のアパートに向かう。

やりきれない一日だった。

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