朝早くから、舞鶴に向かった。
知り合いの漁師から、甘鯛を仕入れるためだ。
今週は、甘鯛の料理をやるので、そのための仕入れだ。
以前にも何度かお願いしており、今回も快く引き受けてくれた。
かなり大量の甘鯛を、氷に詰めて、クール宅急便で送る手配をして、舞鶴を後にした。
雨もあって、道はすいていた。
僕は昼前に、大津である女性と待ち合わせていた。
沙織君という、34歳の女性だ。
彼女が短大にいたころの教え子に当たる。
しかも彼女の母親は、僕の高校時代の先輩に当たる人だ。
彼女の母親は、彼女が19歳の時病気で亡くなった。
それ以来、彼女との距離が縮まり、プライベートでも付き合いがあった。
僕の両親の介護のときなどにも、手伝ってもらったことのある人だ。
彼女は、若くして2度も結婚に失敗して、ひきこもっていると聞いた。
その彼女から、数日前に電話があった。
「外に出たり、昔の友人に会いたくなくなった。離婚のことを説明するのもいや」
そんな彼女と会うことにした。
ただ、僕は7時には名古屋に帰りたかったので、そう長々と話はできない。
地理感のある大津で会うことにしたのだ。
彼女は見た目で心身ともに疲れきっているのがわかるほどやつれていた。
待ち合わせの場所には彼女はすでに立っていた。
僕の車を見るや否や車の助手席に入ってきた。
「疲れてるね」
そう言っただけで、彼女は泣きだしてしまった。
人と人とのかかわりや、駆け引きについていけなかった女性を目の当たりに見た感じがした。
「父にまで、だらしないって言われて、家にもいられない」
彼女の苦しみは、彼女をノイローゼ寸前にまで追い込んでいる。
僕は何も考えずに、ホテルに入った。
ラブホテルだ。
そして強烈に貪りあった。
知り合いの娘であり、教え子でもあり、親の介護をも手伝ってもらった人だ。
やってはいけないことに決まってる。
人間としてもタブーを侵したことには間違いない。
それでも直観的に、しっかりと受け止めてやらないと、彼女がどうなるかわからないような不安を感じたからだ。
何度も無言のまま貪りあった。
男の卑しさなのか、彼女を救いたいという願いの表れなのかよくわからない。
それでも、僕は後悔をすることもなく、彼女を家の近くまで送って行った。
帰りにウナギを食べた。
「こんなきちんとしたものは、もう何年も食べてない。おいしい」
少しうれしそうにつぶやく彼女を見て、ほんのちょっぴり安堵感が走った。
「先生、名古屋に行ったら、また会ってくれますか?」
「いいよ、でももうこんなことはしない。君の話を聞くだけになる」
「それでいい。ごめんなさい。ああでもしてもらえなかったら、私死んでるかもしれない。生きてることに執着心がわいてきた気がする」
彼女は笑顔で帰って行った。
少しばかり、吹っ切れない寂しさを抱えているのが後ろ姿から窺えた。
もっと貪欲に生きてほしい。
頭のいい、かわいい子だったから、なおさら感じる。
そして自分の卑しさに、また後悔が始まっている。
知り合いの漁師から、甘鯛を仕入れるためだ。
今週は、甘鯛の料理をやるので、そのための仕入れだ。
以前にも何度かお願いしており、今回も快く引き受けてくれた。
かなり大量の甘鯛を、氷に詰めて、クール宅急便で送る手配をして、舞鶴を後にした。
雨もあって、道はすいていた。
僕は昼前に、大津である女性と待ち合わせていた。
沙織君という、34歳の女性だ。
彼女が短大にいたころの教え子に当たる。
しかも彼女の母親は、僕の高校時代の先輩に当たる人だ。
彼女の母親は、彼女が19歳の時病気で亡くなった。
それ以来、彼女との距離が縮まり、プライベートでも付き合いがあった。
僕の両親の介護のときなどにも、手伝ってもらったことのある人だ。
彼女は、若くして2度も結婚に失敗して、ひきこもっていると聞いた。
その彼女から、数日前に電話があった。
「外に出たり、昔の友人に会いたくなくなった。離婚のことを説明するのもいや」
そんな彼女と会うことにした。
ただ、僕は7時には名古屋に帰りたかったので、そう長々と話はできない。
地理感のある大津で会うことにしたのだ。
彼女は見た目で心身ともに疲れきっているのがわかるほどやつれていた。
待ち合わせの場所には彼女はすでに立っていた。
僕の車を見るや否や車の助手席に入ってきた。
「疲れてるね」
そう言っただけで、彼女は泣きだしてしまった。
人と人とのかかわりや、駆け引きについていけなかった女性を目の当たりに見た感じがした。
「父にまで、だらしないって言われて、家にもいられない」
彼女の苦しみは、彼女をノイローゼ寸前にまで追い込んでいる。
僕は何も考えずに、ホテルに入った。
ラブホテルだ。
そして強烈に貪りあった。
知り合いの娘であり、教え子でもあり、親の介護をも手伝ってもらった人だ。
やってはいけないことに決まってる。
人間としてもタブーを侵したことには間違いない。
それでも直観的に、しっかりと受け止めてやらないと、彼女がどうなるかわからないような不安を感じたからだ。
何度も無言のまま貪りあった。
男の卑しさなのか、彼女を救いたいという願いの表れなのかよくわからない。
それでも、僕は後悔をすることもなく、彼女を家の近くまで送って行った。
帰りにウナギを食べた。
「こんなきちんとしたものは、もう何年も食べてない。おいしい」
少しうれしそうにつぶやく彼女を見て、ほんのちょっぴり安堵感が走った。
「先生、名古屋に行ったら、また会ってくれますか?」
「いいよ、でももうこんなことはしない。君の話を聞くだけになる」
「それでいい。ごめんなさい。ああでもしてもらえなかったら、私死んでるかもしれない。生きてることに執着心がわいてきた気がする」
彼女は笑顔で帰って行った。
少しばかり、吹っ切れない寂しさを抱えているのが後ろ姿から窺えた。
もっと貪欲に生きてほしい。
頭のいい、かわいい子だったから、なおさら感じる。
そして自分の卑しさに、また後悔が始まっている。
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