コンビニでアルバイトをしている彼女はまだ眠っている。
僕は寒くなった季節を肌で感じながら、そっと布団から出る。
検査の後、不安とイライラから、一人ではいられなかった。
市場に仕入れに行って、その帰りには行きつけの医院でステロイド注射を打ってもらう。
一時の体の辛さを忘れることと引き換えに、副作用で体はどんどん悪くなる。
寿命を縮めるための治療なのか、身体をボロボロにするための治療なのかわからない。
いつまでこんなことを続けなければならないのか、医者に行くたび不安になる。
「保温ジャーに味噌汁入ってるから」
彼女は寝言のように伝えてくれる。
僕はそれをほんの少し口に含みホッとする。
朝の味噌汁は欠かせない。
所詮一人住まい、少ししか作らない味噌汁を飲み干すのは失礼だから、もう少し飲みたい欲望を抑えながら部屋を出る。
オートロックの「カシャッ」という音がさみしく聞こえる。
外は暗い。
そして寒い。
冬を体で感じる。
市場の近くの喫茶店でコーヒーを飲む。
仕入れ内容の確認と、夜のメニューの確認をする。
そしてメールの確認もする。
久しぶりに、東京のリサさんからメールがあった。
夜に来るそうだ。
そして、少し前に、変貌を遂げようと頑張ってる35歳の女性からだ。
やはり、夜、相談がてら店に来るという。
彼氏とデートだと言ってそのお洒落ぶりをわざわざ店に来てくれたこともある。
市場はすいている。
不景気がまだまだ続いているようだ。
医院に寄り、ステロイドを打ってもらい、店に行ってランチの準備が始まる。
検査直後から、意味のない不安が襲ってくる。
それでも一日は過ぎてゆく。
ランチも盛況に終え、昼寝をして、夜の営業を迎える。
35歳独身女性が真っ先に飛び込んできた。
そしてすぐにリサさん。
35歳はきれいになっていた。
うなじや腕の手入れもきちんとしている。
従来の長そでにだらしないパンツ姿とは大違い。
メガネからコンタクトに変え、髪も短くし、清潔に見える。
「やっぱりモテないです。このままでいいのか不安で」
リサさんが答える。
「でも、今までより楽しくない? いろんな人のことが見えるようになってるんじゃないの?」
35歳はうなずく。
「きっと今までは、言い訳ばかり作って、男の人に近寄ることもできなかったのよ。男の人に好かれてないってことが本心ではわかってたのね。でも今の貴女はイキイキしてる。男と人とのお付き合いの楽しさを知ってる。もっと積極的になったらいいわ」
年下のリサさんの言葉が、すごく身にしみる。
「もう少し頑張ろうかな。もうすぐ36歳。人生最後のチャンスだもの」
リサさんの話に少しは光が見えたのだろう。
表情に輝きが見える。
あとは酔っぱらいの集まりだ。
それでも僕の気分はすぐれない。
大好きな熊木杏里のDVDを見ながら、客に対する受け答えも少しうつろになっている。
明日、まだこんな気分が続くのだろうか?
僕には光が見えない。
そして、また昨夜お世話になったコンビニの女性に電話をしてみる。
「お風呂の準備しておくから」
僕はどんどん不安まみれのまま卑しくなっていく。
僕は寒くなった季節を肌で感じながら、そっと布団から出る。
検査の後、不安とイライラから、一人ではいられなかった。
市場に仕入れに行って、その帰りには行きつけの医院でステロイド注射を打ってもらう。
一時の体の辛さを忘れることと引き換えに、副作用で体はどんどん悪くなる。
寿命を縮めるための治療なのか、身体をボロボロにするための治療なのかわからない。
いつまでこんなことを続けなければならないのか、医者に行くたび不安になる。
「保温ジャーに味噌汁入ってるから」
彼女は寝言のように伝えてくれる。
僕はそれをほんの少し口に含みホッとする。
朝の味噌汁は欠かせない。
所詮一人住まい、少ししか作らない味噌汁を飲み干すのは失礼だから、もう少し飲みたい欲望を抑えながら部屋を出る。
オートロックの「カシャッ」という音がさみしく聞こえる。
外は暗い。
そして寒い。
冬を体で感じる。
市場の近くの喫茶店でコーヒーを飲む。
仕入れ内容の確認と、夜のメニューの確認をする。
そしてメールの確認もする。
久しぶりに、東京のリサさんからメールがあった。
夜に来るそうだ。
そして、少し前に、変貌を遂げようと頑張ってる35歳の女性からだ。
やはり、夜、相談がてら店に来るという。
彼氏とデートだと言ってそのお洒落ぶりをわざわざ店に来てくれたこともある。
市場はすいている。
不景気がまだまだ続いているようだ。
医院に寄り、ステロイドを打ってもらい、店に行ってランチの準備が始まる。
検査直後から、意味のない不安が襲ってくる。
それでも一日は過ぎてゆく。
ランチも盛況に終え、昼寝をして、夜の営業を迎える。
35歳独身女性が真っ先に飛び込んできた。
そしてすぐにリサさん。
35歳はきれいになっていた。
うなじや腕の手入れもきちんとしている。
従来の長そでにだらしないパンツ姿とは大違い。
メガネからコンタクトに変え、髪も短くし、清潔に見える。
「やっぱりモテないです。このままでいいのか不安で」
リサさんが答える。
「でも、今までより楽しくない? いろんな人のことが見えるようになってるんじゃないの?」
35歳はうなずく。
「きっと今までは、言い訳ばかり作って、男の人に近寄ることもできなかったのよ。男の人に好かれてないってことが本心ではわかってたのね。でも今の貴女はイキイキしてる。男と人とのお付き合いの楽しさを知ってる。もっと積極的になったらいいわ」
年下のリサさんの言葉が、すごく身にしみる。
「もう少し頑張ろうかな。もうすぐ36歳。人生最後のチャンスだもの」
リサさんの話に少しは光が見えたのだろう。
表情に輝きが見える。
あとは酔っぱらいの集まりだ。
それでも僕の気分はすぐれない。
大好きな熊木杏里のDVDを見ながら、客に対する受け答えも少しうつろになっている。
明日、まだこんな気分が続くのだろうか?
僕には光が見えない。
そして、また昨夜お世話になったコンビニの女性に電話をしてみる。
「お風呂の準備しておくから」
僕はどんどん不安まみれのまま卑しくなっていく。
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