大学二年の時の学校祭の行事のひとつであったスポーツ大会。
僕の出場した競技は玉入れでした。
棒で高く掲げられた籠に玉を投げて入った数を競うあれです。
運動は何をやってもさっぱりな自分は一番消耗の少なそうな競技を選んだのです。
笛が高鳴り徐々に自分たちの番が近づく。
まったく緊張なんてあるはずもなく、よく憶えてませんが鼻くそでもほじっていたことでしょう。
そうやって鼻くそもあらかた無くなり、頭に酸素が良く行き届くようになった頃、刹那、あるシナリオがはっきりと脳の中に存在していた。
何度目かの笛が鳴り響き、僕のチームは一斉に玉を高く投げ始めた。
自分ひとりを除いて。
その日の僕はサブカル好きの女の子よろしくに、ズボンの上にスカートのような長い布を巻いていました。
笛が鳴った瞬間に僕はその布を手に取り、床に広げ、雑巾がけの要領で玉を回収し始めた。
「投げないで。この布に、玉を。早く!」
チームメイトは一瞬で僕の考えを理解してくれ、高く放るはずの玉を僕の布に集めだした。
あらかた玉を回収し終わると僕たちは布を風呂敷のように縛り、ひとつの巨大な玉にした。
この時、僕は勝利を確信した。
あとはこれを籠に放り込めばあっさりパーフェクトゲームだ。
しかし、ことはそう簡単に運ばなかった。
でかい。重い。
一個数グラムの玉もこれだけ集まれば相当な重量になることを想定していなかった。
投げても投げても籠に届かない。
届いても大きすぎて籠からこぼれてしまう。
そうこうしているうちに審判がゲーム終了のカウントダウンを始める。
もうここまでか、そう思った最後の瞬間、疲れきった腕で放った我々の大玉は勢い無く籠にのしかかり、ごろんと中に転がり込んだ。
ゲーム終了の笛が鳴った。
この時僕たちが勝ったのか負けたのか、はたまた引き分けだったのかは正直なところ余りよく覚えていません。
その時僕は未知の感覚を全身で噛みしめている最中で他の事なんて目に入らなかったのだから。
僕のやったことは常識的に考えて明らかに反則。
しかし、ルールブックにも載っていない(そもそもルールブックなんてあったのかしら)、審判の想像を越える反則をやってのけたのです。
こんなクソみたいなことに感動し、自慢げに話す自分はおめでたい奴なのかもしれません。
でも、スポーツ大会から舞台は変わり、現在の自分、現在の自分の土俵でこういう下らない反則を常に考えているのです。
この悦びはスポーツマンには分からないだろうな。
僕の出場した競技は玉入れでした。
棒で高く掲げられた籠に玉を投げて入った数を競うあれです。
運動は何をやってもさっぱりな自分は一番消耗の少なそうな競技を選んだのです。
笛が高鳴り徐々に自分たちの番が近づく。
まったく緊張なんてあるはずもなく、よく憶えてませんが鼻くそでもほじっていたことでしょう。
そうやって鼻くそもあらかた無くなり、頭に酸素が良く行き届くようになった頃、刹那、あるシナリオがはっきりと脳の中に存在していた。
何度目かの笛が鳴り響き、僕のチームは一斉に玉を高く投げ始めた。
自分ひとりを除いて。
その日の僕はサブカル好きの女の子よろしくに、ズボンの上にスカートのような長い布を巻いていました。
笛が鳴った瞬間に僕はその布を手に取り、床に広げ、雑巾がけの要領で玉を回収し始めた。
「投げないで。この布に、玉を。早く!」
チームメイトは一瞬で僕の考えを理解してくれ、高く放るはずの玉を僕の布に集めだした。
あらかた玉を回収し終わると僕たちは布を風呂敷のように縛り、ひとつの巨大な玉にした。
この時、僕は勝利を確信した。
あとはこれを籠に放り込めばあっさりパーフェクトゲームだ。
しかし、ことはそう簡単に運ばなかった。
でかい。重い。
一個数グラムの玉もこれだけ集まれば相当な重量になることを想定していなかった。
投げても投げても籠に届かない。
届いても大きすぎて籠からこぼれてしまう。
そうこうしているうちに審判がゲーム終了のカウントダウンを始める。
もうここまでか、そう思った最後の瞬間、疲れきった腕で放った我々の大玉は勢い無く籠にのしかかり、ごろんと中に転がり込んだ。
ゲーム終了の笛が鳴った。
この時僕たちが勝ったのか負けたのか、はたまた引き分けだったのかは正直なところ余りよく覚えていません。
その時僕は未知の感覚を全身で噛みしめている最中で他の事なんて目に入らなかったのだから。
僕のやったことは常識的に考えて明らかに反則。
しかし、ルールブックにも載っていない(そもそもルールブックなんてあったのかしら)、審判の想像を越える反則をやってのけたのです。
こんなクソみたいなことに感動し、自慢げに話す自分はおめでたい奴なのかもしれません。
でも、スポーツ大会から舞台は変わり、現在の自分、現在の自分の土俵でこういう下らない反則を常に考えているのです。
この悦びはスポーツマンには分からないだろうな。