kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

バクマン。

2015年10月14日 | 邦画
日時:10月12日
映画館:イオンシネマ広島

原作が好きな「バクマン。」の実写映画化。
コミックの実写化というと、大体、大幅なアレンジが加えられていたり、世界観が伝わらなかったりで残念な結果に終わることが多くないのだが、本作はアタリ。10巻のストーリーの中からオイシイところを抜き出し、原作の雰囲気以上に上手く伝えている・・・って、原作自体が実話ベースに虚実を織り交ぜて描いているんだから、実写にしても違和感がないのは当たり前か。

それでも絵では伝えきれないことが、実写だとリアルに描かれるのがいい。特に主役の最高とおじの川口たろう(宮藤官九郎)の関係は原作以上に素敵に伝わってくる。クドカンが一心不乱にマンガを描く様子を最高が憧れを持って見つめる様なんか、それだけで涙。

クドカンに限らず、この映画はキャスティングの勝利によるところが大きいのではないだろうか。佐藤健と神木隆之介の主演2人もさることながら、キャスト全員が実に上手いこと原作のキャラクターを消化している感じがする。新しく仲間になったマンガ家たちと編集が集って、マンガ論と将来について熱く語るシーンなんてものすごくいい空気感が出ているし、特に新妻エイジの染谷将太がエキセントリックなキャラクターを嫌味なく好演しているなあ。

主役2人のキャスティングが逆じゃないかと誰しも思うのだが、セリフを語りだすと全然違和感のないあたりも、上手さを感じさせる。が、逆に佐藤健も神木隆之介もすでに経験豊かな役者なので、大人の世界に入り込んできた新人さん感が全然感じられない・・・。むしろここは芸達者な役者同士の演技を楽しむ方がいいんだろうな。(とはいえ、帰ってから原作を読み直したら、やはり真城最高のセリフは神木隆之介の声で聞こえて、頭の中は混乱。)

ストーリー的には主役2人の成長とサクセスストーリーに焦点が当てられ、新妻エイジとの対決もどちらかというと消化不良。「セッション」にあったような頂点を目指すためのクリエイターの執念もあまり感じられない。原作の石塚とか七峰といった悪役はバッサリカット。でも、個人的には「バクマン。」の悪役って、「才能はあるんだけど、人間的な欲求ゆえにその使い道を間違った。」という哀れさが感じられて、決して嫌いじゃなんだよな。そう思えるのも、大人になったからだけど。

映画オリジナルのアイディアとして、ふたりが描くマンガにヒロイン亜豆にそっくりなキャラクターを登場させるんだけど、
原作「バクマン。」の亜豆
 ↓
映画の亜豆役(小松菜奈)
 ↓
劇中のマンガに登場する亜豆に似たキャラクター
の順で推移しているので、頭の中が混乱しちまったぜ。(文章で書くと何が何か分かりませんので、映画館で確認してください。)

ところで、ワタシって邦画はあまり観ないんだけど、「舟を編む」とか本作とか何故か出版にまつわる映画が好きだな。






題名:バクマン。
監督:大根仁
出演:佐藤健、神木隆之介、山田孝之、染谷将太、小松菜奈、リリー・フランキー

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