kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

イングロリアス・バスターズ

2009年11月20日 | 年間ベスト3
日時:11月20日(平日初日だろ!何してんだよ。)
映画館:TOHOシネマズ
パンフレット:A4横版600円。充実の内容でお買い得。

数年前から噂には出ていたが、遂に完成、「地獄のバスターズ」!!。

「地獄のバスターズ」とは、マカロニ名監督エンツォ・G・カステラーリ(以下、その映画づくりのスタンスに敬意を表して「親方」と表記。)の戦争映画。第二次世界大戦中、連合国の脱走兵部隊がスイスを目指すが、途中、米軍の特殊部隊を誤殺。止むにやまれず、特殊部隊の本来の任務だったV2の破壊作戦を引き継ぐことになる。戦いを避けようとしていたものが運命のいたずらや宿命で、戦わざる得なくなるという展開はカステラーリ監督の得意技で、ラストの列車大爆破を含め、面白かった映画だ。

さて、タランティーノの「バスターズ」の事前情報は可能な限り入れないようにしていたんだが、もういいってくらいの宣伝で、事実上、ストーリーからオチまで判明。その辺は説明不要なので、以下はネタばれの話しか書きません。

オープニングから、70年代のユニバーサル映画のロゴで幕開け。先日の「スペル」といい、ユニバーサル映画のロゴはこのスタイルに戻ったのかと思った。

最初のパート、「昔々、ナチ占領下のフランスで」は、まるっきし「ウェスタン」か「続・夕陽のガンマン」。「復讐のガンマン」の曲が流れるだけで、総毛立ったよ。
ここのパートはナチ将校役のクリストフ・ヴァルツの一人舞台。

続いて、「イングロリアス・バスターズ」のパート。敵地潜入するナチ狩りの特殊部隊の話だが、ストーリー展開上、一番面倒くさそうなくだりはあっさりパス。パラシュート降下もレジスタンスの助けも無しで、いきなり、ナチ占領下のフランスで大暴れ。いかにもマカロニ・コンバット的で、いさぎ良すぎる。

3部はパリの映画館をめぐって、話の展開点となる。
デュビデュバーなカフェの場面では「荒野の1ドル銀貨」の曲が流れるのだが、これがオリジナル・サントラではなく、ビクターのフィルム・オーケストラ版による演奏!程良い安っぽさがピッタリすぎて大受け。日本で何も知らずに、この曲を流すカフェがでたら、大笑いだな。(そんなカフェをご覧になった方はご一報ください。)
ここでゲッベルスが登場。演じるシルヴェスター・グロートは「わが教え子、ヒトラー」でもゲッベルスを演じた人。あの作品に比べ、ゲッベルス度が数段、アップ。実在のゲッベルスもこんなテンションだったのだろう。

次に「プレミア作戦」。酒場でのゲシュタポの将校と特殊部隊の心理戦がメインなのだが、雰囲気が「荒鷲の要塞」にそっくり。
近年の戦争映画に欠かせない、21世紀のアントン・ディフェリングこと、クリスチャン・ベルケルが、ドイツ将校ではなく酒場のおやじ役で出ていてうれしくなってしまう。このおやじがウエスタンさながらにカウンターの下に散弾銃を隠し持っていて、最後には情無用の大銃撃戦。

で、最後に「大きな顔の復讐」。まず、手始めにワタシの大好きな「新・夕陽のガンマン」から一曲。ここでカメラは1シーン1カットで自由自在に動くから、嬉しさで涙が出そうになる、
プレミア上映会でブラピは「イタリア映画人」(この単語だけでうさん臭い響きを感じたあなたはマカロニ系。)に変装するのだが、その偽名が「エンツォ・ゴルローミ」!親方の本名、エンツォ・ギロラーミのもじりなのだ。ここで、大受け!
さらにもう一人の偽名が「アントニオ・マルゲリティ」。アンソニー・M・ドースンの本名なのだ!ここでさらにバカ受け!もちろん、劇場内で笑っているのは、私ひとり。
いよいよ作戦実行の段に流れるのは、「戦略大作戦」のタイガー・タンク。作曲がラロ・シフリンなので、「スパイ大作戦」的な雰囲気が盛り上がる。もちろん、それを意識してラロ・シフリンの曲にしたんだろうけど。
最後の映画館大炎上とMP40大乱射によるナチ皆殺しのシーンは、フィルムが燃え上がる悲しさと身がうち震えるほどの感動に満ちている。

で、オチは戦争アクションとしては意外と肩すかし。まあ、タランティーノ映画らしいけど。

とにかく面白く、楽しかったのは言うまでもない。面白い映画は多々あれど、楽しい映画は数少ない。2時間40分があっと言う間。やっぱり、人生はマカロニだ。(何のこっちゃ)

ところで、親方自身もドイツ将校役で出ていたらしい。親方は「地獄のバスターズ」でもドイツ将校、「戦争の嵐」ではムッソリーニ役で出ていたが、今回、気づかなかったとは何たる不覚!もう1回見に行く口実が出来てしまったぜ。
題名:イングロリアス・バスターズ
原題:Quentin Tarantino's Inglourious Basterds
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロラン

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2 コメント

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最高でした (welica37)
2011-01-16 21:14:24
全編ワクワクの楽しめる作品でした。カフェで「荒野の1ドル銀貨」の曲が流れる場面では、鳥肌がたちました。
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まだまだ隠しネタが! (kamacci)
2011-01-16 21:28:27
welica37さん、コメントありがとうございます。

CATVで改めて見ましたが、マカロニが流れるだけで、ホント、心の底からうれしくなりますね。

今回、気付いたんですが、ブラピが嗅ぎタバコをひっきりなしにクシュクシュ吸い込むシーン、あれって、カステラッリ監督のクセなんですよ。

カステラッリ監督の方はボクシングでケガをして、点鼻薬が手放せなかったそうで、「超犯罪ハイクライム」でフランコ・ネロが絶えず点鼻薬をすすっているのは、そのせいなのです。

タランティーノはそんなとこにまで、オマージュを捧げたんだなって、今回初めて気付きました。(真偽のほどは怪しいですが(笑))
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