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kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

15時17分、パリ行き

2018年03月11日 | ★★★★☆
日時:3月3日
映画館:バルト11
パンフレット:A4横 820円

「テロに立ち向かった実話」というと派手めの作品の印象を受けるのだが、実際、派手な立ち回りや銃撃戦などになっていたらもっとニュースネタになっていただろうし、映画化されるまで知らなかったくらいなのだから、おそらく実際の事件は一瞬の出来事なんだろう。それをイーストウッドが映画化するとなれば・・・

【以下、ネタバレあり】

予想どおり、映画は地味な展開となる。主役3人の生い立ち、事件に至るまでのヨーロッパ旅行が上映時間の大半なのだが、旅先での出会いやクラブでの大騒ぎシーンをあんなに魅力的に撮れるなんて、イーストウッドの感性は何歳なんだ!

映画として単調にならないよう、事件の発端までが随所にインサートされ、間を持たせるが、テロが起きるクライマックスになると映画の緊張感が限界まで高まる。否が応でも本人が演じていると意識してしまい、ナイフで切りつけられるシーンは現実の痛みが伝わってくるかのようだ。結末がわかっていたとしても、この緊迫感は尋常ではない。

さらに、まさかと思ったが、銃撃を受けた乗客役も本人。
大量出血しながら生死をさまよう様を再演させるなんて、イーストウッドは鬼か。

ワタシなら自分が苦しむ様や恐怖感を再演したいとは思わない。
いや、だからこそ、スクリーンを通して、テロ被害者(テロに限らず、戦争や災害の生存者たち)が生き残った後に感じる無常感や無力感、フラッシュバックをリアルに感じとれるのかも知れない。

事件が終わって、警察と救急隊員が現場に来ると心底ホッとする。

主人公のスペンサーは正直、ちょっとダメな空軍兵士だが、積み重ねた経験が活かされるという展開は「人間がそこに存在するのは、必ず何かの意味がある。」という天の意思を見出そうとするイーストウッドの嗜好が感じられる。イーストウッド映画には意外と珍しいハッピーエンド。

観終わった後に改めて考えてみると、この作品を全くの事前情報無しで観た場合、同じ印象を持っただろうか。確かに音楽の使い方などにイーストウッド印はついているのだが、もしかすると「ドキュメンタリー番組もどきの退屈な作品」と評価していたかも知れない。(ちなみにimdbのユーザーランキングでは5.0/10。ほぼ駄作という評価に近い。)






題名:15時17分、パリ行き
原題:The 15:17 to PARIS
監督:クリント・イーストウッド
出演:スペンサー・ストーン、アレク・スカラトス、アンソニー・サドラー

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