kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ふくやま美術館特別展 生誕90周年 山下清展

2012年05月13日 | 展覧会
ふくやま美術館特別展 生誕90周年 山下清展
会期:4月28日(土)~6月17日(日)

ウチの“もう中学生”が突然、「山下清展に行きたい。」と言いだした。山下清は守備範囲外なのだが、ウチの中学生が珍しくそんなことを言うのだから、親子でふくやま美術館へ。(ウチの中学生はTVドラマ「裸の大将」が好きなのだ。)

予備知識ほとんど無しの観覧だが、今回の展覧会の趣旨の1つが「真実の姿を伝える」ことであるという。実際の山下清は放浪している時にはスケッチブックを持たなかったらしい。常人とかけ離れた記憶力で帰ってきてから貼絵で再現したという。確かにTVドラマの山下清がひとり歩きしている感はあるので、こういった説明は大切だろう。(映画化・ドラマ化されているから、山下清に興味を持つ人が多いのも事実だが。)

展示は山下清の生涯をほぼ時系列に整理し、多くの作品の横には山下清自身の言葉を添えるという配慮でもって、全体的に分かりやすい展示となっている。

ほとんどの作品はガラスケースへ収蔵しての展示ではなく、額縁で展示されていることから、貼絵の作りこんだ細部をかなり間近で見ることができる。1片がミリ単位の色紙や細いこよりで構成された画面作りには圧倒され、精緻さに感動してしまう。

あまりにも細かすぎて、老眼が入りつつあるワタシの目では細部の輪郭がぼやけてしまう。仕方がないので、ウチの中学生に「これって、絵の具?貼絵?」と確認するあり様。

代表作である「長岡の花火」なんかは実物をみたら、細部や作り込みばかりに目が行ってしまい、全然感動の具合が違う。「表現したい」という情熱が伝わってくる。

他にも未完成に終わった作品も展示され、館内で上映されているDVDと併せて見ると、制作プロセスが非常に良く分かる。こういった点でもよく考えられている。

他にもペン画や油絵、陶器(絵付け)なども展示され、山下清の全体像が捉えられるようになっている。確かに油絵や後期のヨーロッパ旅行時の貼絵などになると、なぜかパワフルさが伝わってこない。

ウチの中学生などはペン画を見て、書き直した跡が無いことに感動していたようだけど。

付き添い程度と思っていたが、充実の内容にワタシとしてはかなりの高評価。ウチの中学生も真剣に長時間、観覧していたので、そちらでも満足。同館の次回展覧会、平櫛田中展にも期待したい。

ところで、作品数が多いのは良いのだが、展示する壁面に余裕がなく、ペン画などは上下二段で展示されていた。こうなると、上部に展示された作品など、ウチの中学生では背が届かず、背伸びしないと見えない様子だった。大人だと何でもないのだが、子ども向けにこういったところでの配慮も必要だと気付かされました。



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