gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

■コロナ禍における「消費減税」が経済政策の常識である明白な理由 週刊ダイヤモンド(2020.8.4)中野剛志

2022-05-01 05:08:45 | 日記

 

■コロナ禍における「消費減税」が経済政策の常識である明白な理由

週刊ダイヤモンド(2020.8.4)中野剛志

https://diamond.jp/articles/-/244818


~~~


・ドイツ、イギリス、ベルギーほか20ヵ国が消費税減免


新型コロナウイルス感染症のパンデミック(コロナ禍)は、世界的に、戦後最悪と言われる大不況をもたらしながら、パンデミックの収束の目途は未だに立っていない。


この未曽有の危機に対し、ドイツは2020年7月1日から、半年間の限定措置として、付加価値税(消費税)の税率を19%から16%に引き下げ、食料品などに適用されている軽減税率も7%から5%に引き下げることとした。


また、イギリスは、5月1日から電子書籍等の消費税を免税とし、さらに6月15日から来年1月12日までの半年間、外食・宿泊・レジャー関連産業にかかる消費税の税率を20%から5%への引き下げる措置を実施した。


ベルギーもまた、2020年6月8日から12月31日まで、困難な状況に直面しているホテル・レストラン・カフェといった産業のサービスにかかる消費税(アルコール飲料を除く)を12%から6%に低減する減税策を実施することとしている。


この3ヵ国のほかにも、20ヵ国が、コロナ禍の経済対策として消費税の減免措置を講じているのである。

 

 

(中略)

 

 

・世界の「常識」に背を向ける国・日本


消費税の政策的な意義にはさまざまな側面があるが、まずは、コロナ不況に対する経済対策としての面から検討しよう。

最初に確認すべきは、不況時に減税措置を講じるのは、いたって真っ当な経済政策であるということである。


これについては、本来であれば、わざわざMMTを援用するまでもなく、主流派経済学においても、入門書レベルの「常識」であるはずだ。

消費税は、消費に課される税である。


温室効果ガスの排出に課される環境税が、温室効果ガスの排出を抑制するのと同じように、消費税には、消費を抑制する効果がある。

したがって、不況時に消費を喚起したければ、消費税の減税は有力な選択肢の一つになるのは当然である。


逆に言えば、不況時で消費が落ち込んでいる時の消費増税は、非常識としか言いようがないのだ。

ゆえに、コロナ禍によって、消費がかつてない規模で急減している中においては、消費税の軽減は正しい措置である。


ドイツやイギリスなど23ヵ国が消費税を減免したのも、至極当然であった。

もちろん、感染拡大防止の観点から経済活動が制約される状況だから、消費を喚起する効果は限定的かもしれない。


しかし、消費者の負担を軽減し、国民の生活をより楽にすることに疑いの余地はない。

しかも、低所得者ほど、所得に占める消費の割合が高いので、その恩恵はより大きいのだ。


実は、我が国でも、2019年、消費税率の8%から10%への引き上げを前に、安倍総理は「リーマン・ショック級のことがない限り」、消費税率の引き上げは予定通り行うと繰り返し強調していた。

これは、裏を返して言えば、リーマン・ショック級の大不況が勃発したら、消費税率は10%にすべきではないということだ。


その意味では、当時の日本政府は、不況時における増税は不適切であるという「常識」を共有していたのである。

2020年に入って勃発したコロナ禍は、リーマン・ショック級どころか、それをはるかに凌駕する戦後最悪の不況を引き起こした。


そうであるならば、消費税は、最低でも8%に戻してもよいはずだ。

そうでない限り、「リーマン・ショック級のことが起きれば、消費税率を引き上げない」とした昨年の方針との整合性がとれないはずである。


ところが、コロナ禍において、消費減税は行われなかった。

それどころが、6月末日でキャッシュレス決済のポイント還元事業が終了したため、7月以降は、実質的に、消費税が再び増税されたことになる。


つまり、不況下、しかも戦後最悪の大不況下で消費増税を行うという非常識な政策が行われたのだ。

 

・そもそも2019年の「消費増税」が非常識だった


仮にコロナ禍が勃発しなかったとしても、2019年10月の消費増税は、経済政策の「常識」からは逸脱したものであった。

というのも、日本経済は、2018年10月から景気後退に入っていたのであり、世界経済の成長率も2019年はリーマン・ショック以降最低水準という見通しであった。


つまり、消費税率の10%への引き上げは、国内外ともに景気が後退する中で断行されたということになる。

2019年10~12月期のGDP(国内総生産)は年率換算7.1%減となったが、これは、景気後退期での増税が引き起こしたセオリー通りの結果であって、何も驚くようなことではない。


しかも、消費税率を5%から8%へと引き上げた2014年も、日本経済は未だデフレ脱却に至っていない時期であった。

そして、そもそも日本経済を長期のデフレ不況へと陥れる契機となったのは、1997年に実行された消費税率の3%から5%への引き上げであった。


しかし、デフレ不況の中でも、消費税率を元に戻すという是正措置は一切なされなかった。

それどころか、二度も増税したのである。


このように、我が国は、不況時の増税という非常識な政策を、何度も繰り返してきたのである。

米ウォールストリートジャーナル紙は、昨年の消費増税を「大失態」と酷評し、過去の二度の過ちをまたも繰り返したと皮肉ったが、返す言葉もない。

 

~~~
■コロナ禍における「消費減税」が経済政策の常識である明白な理由
週刊ダイヤモンド(2020.8.4)中野剛志
https://diamond.jp/articles/-/244818


■コロナ、えぐられる子どもの貧困 支援の現状と課題 朝日新聞(2020年4月9日)

2022-05-01 05:08:27 | 日記

 

■コロナ、えぐられる子どもの貧困 支援の現状と課題

朝日新聞(2020年4月9日)

https://www.asahi.com/articles/ASN464VLYN3WPIHB01N.html


~~~

新型コロナウイルスの感染拡大は、経済的困難を抱える子どもと家族に暗い影を落としている。

一斉休校で給食はなくなり、親は仕事に行けなかったり減らされたり。


あるシングルマザーは「子どものために会社を休んでいいと言われたけど、時給で働いているから休めば生活できなくなる」という。

日本の「子どもの貧困」が国内で注目され始めたのは2008年だ。


研究者や当事者らが発信し、メディアで取り上げられるようになった。それ以前の朝日新聞でも、国内の子どもの貧困を指摘した記事はなかった。

翌09年、政府が初めて子どもの相対的貧困率を公表した。


07年の数値で7人に1人にあたる14・2%。

その後、過去の貧困率も公表され、1985年以降、上昇傾向にあることがわかった。


ワーキングプア、年越し派遣村などで貧困の可視化も進んでいた。

生活保護家庭の子ども学習支援や、虐待や貧困など困難を抱える子どもの居場所づくりなどの活動を支える市民が増える中、13年に子どもの貧困対策法が成立。


「生まれ育った環境で将来が左右されることのないよう」にと教育支援に力点が置かれた。

貧困状態を把握するための25の指標のうち、21が進路や就園など教育関係。


生活困窮家庭の学習支援や奨学金など教育費軽減策、学校を窓口とした福祉機関との連携などが進んだ。

12年の子どもの貧困率は6人に1人の16・3%。15年は13・9%に改善したが、先進国でつくる経済協力開発機構(OECD)の平均13・1%(16年)より高い。


同法は19年に改正され、将来だけでなく、いま困っている状態をなくすことが目的に記された。

指標に、ひとり親の正規雇用割合や食料・服が買えない経験、公共料金の滞納経験など「いまの生活」に着目したものを追加。


施策として、親の仕事の安定・向上や所得増に役立つ支援が盛り込まれた。

 

・所得再分配、先進諸国から遅れ


しかし、地域や学校、医療など子ども支援の現場からはこんな声がよく聞かれる。

「勉強を教えたり、一緒にご飯を食べたりするのは私たちでもできるが、所得の保障はできない。政府がやるべき所得保障は不十分なままだ」


税金や社会保険料で豊かな人により多くの負担を求め、児童手当や生活保護などを通じて生活に困難を抱える人により多くの給付をする「所得再分配」。

貧困削減に役立つ政策だが、他国に比べると効果が小さい。

 

~~~
コロナ拡大、えぐられる子どもの貧困 支援の現状と課題
朝日新聞(2020年4月9日)
https://www.asahi.com/articles/ASN464VLYN3WPIHB01N.html

 


■新型コロナで失業者の41万人増加が予想される 「オークンの法則」で成長率から失業率を推計 東洋経済(2020/04/17)末廣徹:みずほ証券 シニアマーケットエコノミスト

2022-05-01 05:08:07 | 日記

 


■新型コロナで失業者の41万人増加が予想される

「オークンの法則」で成長率から失業率を推計

東洋経済(2020/04/17)末廣徹:みずほ証券 シニアマーケットエコノミスト

https://toyokeizai.net/articles/-/344140


~~~


今回は個人消費を中心とした需要が回復しなければ、V字回復とはならない。

個人消費を抑制している新型コロナウイルスの感染の終息がゆっくりにしか進まないのであれば、GDPの回復も緩やかだろう。


また、その間に雇用が失われて個人消費を持ち上げる「原資」である可処分所得が減少すれば、回復のペースはV字から遠のいていく。

今回のコラムでは、GDP成長率と失業率の関係を考察することで、今後予想される失業率の上昇幅を推計した。


新型コロナ・ショックは「景気が落ち込む角度は東日本大震災級、落ちる深さはリーマン級」といわれている。

セーフティーネットの確保などの各種政策対応が間に合わないリスクや、さまざまなボタンの掛け違いによって経済の落ち込み以上に失業者を増やしてしまう可能性があるため、注意が必要である。


急激に資金繰りが悪化している中小企業が多い中、金融機関の手続き上のキャパシティの限界も指摘されている。

なお、政府が7日に発表した「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」は事業規模が約108兆円と、巨額なものとなったことが注目されたが、景気を今の水準から持ち上げる効果はほとんどないとみられる。


これは、足元の日本経済は感染拡大防止のための外出や営業の自粛により、通常の消費活動すら困難な状況にあるため、対策の内容がダウンサイドリスクを軽減すること(セーフティーネットの確保)を主眼に置いたからである。

政治的なアピールもあって巨額な事業規模に注目が集まったが、これは対策がなかった場合の「期待損失」を防ぐというバーチャルな数値であり、終息後のV字回復を約束するものではない。

 

・成長率と失業率の関係を示す「オークンの法則」


「成長率が悪化すれば、失業率は上がる」という経験上当たり前とも言える関係性は、オークンの法則(Okun's law)という立派な法則として知られている。

法則の名前は、1962年にこの関係を提案した経済学者アーサー・オーカン(en:Arthur Okun)にちなんでおり、実際に多くの国で失業率の変化と成長率は経験的に負の相関関係があることが確認されている。


そこで、日本のデータについても2000年以降のオークンの法則の関係を示すと、やはり負の相関関係を見出すことができる。

最近の経済構造を反映している2009年1~3月期以降のデータで考えると、実質GDP成長率が1%ポイント悪化すると、失業率が0.11%ポイント悪化(上昇)するという関係がある。


なお、米国のデータを用いて同様の分析をすると実質GDP成長率が1%ポイント悪化すると、失業率が0.51%ポイント悪化(上昇)するという関係があることから、雇用の調整は日本が米国の5分の1にとどまるといえる。

そのため、日本の場合は雇用の数の変化だけでなく、正規・非正規の変化や賃金水準、残業時間の変化などさまざまなデータを複合的に見る必要があるものの、今回のコラムでは失業率にしぼって考察している。


日本における2000年以降の負の相関関係を用いると、仮に新型コロナ・ショックの影響によって実質GDP成長率のマイナス幅がリーマン・ショック時(前年同期比マイナス8.8%)と同程度となった場合、失業率は約0.9%ポイント上昇することになる。

20年2月の完全失業率は2.4%だったことから、3.3%になる。


労働力人口が6850万人であることを考慮すると、約64万人が失業するという結果だ。


・コンセンサス予想どおりなら失業者は41万人増加


また、前述したエコノミストのコンセンサス予想どおりの成長推移となった場合は実質GDP成長率が4~6月期に前年同期比(前期比年率ではない)で年率マイナス5.6%になることが織り込まれているため、完全失業率は約0.6%上昇し、3.0%になる。

その結果、約41万人が失業することになる。


なお、エコノミストのコンセンサス予想では完全失業率が2.88%まで上昇することが織り込まれているため、コンセンサス予想はおおむねオークンの法則にしたがって予想されているといえる。

 


~~~
■新型コロナで失業者の41万人増加が予想される
「オークンの法則」で成長率から失業率を推計
東洋経済(2020/04/17)末廣徹:みずほ証券 シニアマーケットエコノミスト
https://toyokeizai.net/articles/-/344140