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【田中角榮施政方針演説】第70回国会・昭和47年10月28日、第71回国会・昭和48年1月27日、第72回国会・昭和49年1月21日

2022-05-03 04:00:11 | 日記


【田中角榮施政方針演説】第70回国会・昭和47年10月28日、第71回国会・昭和48年1月27日、第72回国会・昭和49年1月21日

 

■第70回国会 参議院 本会議 第2号 昭和47年10月28日(田中角栄施政方針演説)

田中角榮

~~~

戦後四半世紀を過ぎた今日、わが国には内外ともに多くの困難な課題が山積しております。

しかし、これらの課題は、これまで多くの苦難を乗り越えてきたわれわれ日本人に解決できないはずはありません。

私は、国民各位とともに、国民のすべてが明日に希望をつなぐことができる社会を築くため、熟慮し、断行してまいる覚悟であります。

七〇年代の政治には、強力なリーダーシップが求められております。

新しい時代には新しい政治が必要であります。

政治家は、国民にテーマを示して具体的な目標を明らかにし、期限を示して政策の実現に全力を傾けるべきであります。

私が日中国交正常化に取り組み、また、日本列島改造を提唱したのも、時の流れ、時代の要請を切実に感じたからにほかなりません。

政治は、国民すべてのものであります。

民主政治は、一つ一つの政策がどんなにすぐれていても国民各位の理解と支持がなければ、その政策効果をあげることはできません。

私は、私の提案を国民の皆さんに問いかけるとともに、広く皆さんの意見に耳を傾け、その中から政治の課題をくみ取り、内外の政策を果断に実行してまいります。

(中略)

政府は、今国会に、公務員給与の改善、公共投資の追加などに必要な補正予算と、緊急に立法措置を要する諸法案を提出いたしました。

公共投資については、道路、下水道、環境衛生施設の警備等のほか、災害復旧事業、社会福祉施設をはじめとする各種施設の整備をあわせ、事業費の規模は一兆円にのぼります。

これらの公共投資は、相対的に立ちおくれている社会資本の整備を一そう促進するものであり、同時に、当面の緊急課題である国際収支の均衡回復に資するものであります。

よろしく御審議をお願いいたします。

戦後四半世紀にわたりわが国は、平和憲法のもとに一貫して平和国家としてのあり方を堅持し、国際社会との協調融和の中で発展の道を求めてまいりました。

私は、外においてはあらゆる国との平和維持に努力し、内にあっては国民福祉の向上に最善を尽くすことを政治の目標としてまいります。

世界の国々からは一そう信頼され、国民の一人一人がこの国に生をうけたことを喜びとする国をつくり上げていくため、全力を傾けてまいります。

あくまでも現実に立脚し、勇気をもって事に当たれば、理想の実現は可能であります。

私は、政治責任を明らかにして「決断と実行」の政治を遂行する決意であります。

以上所信の一端を申し述べましたが、一そうの御協力を切望してやみません。

田中角榮

 


■第71回国会 参議院 本会議 第2号 昭和48年1月27日(田中角栄施政方針演説)

田中角榮

~~~

教育の振興が重要なことは申すまでもないことであります。

戦後行なわれた教育改革からすでに四半世紀の時を過ごし、その制度は定着しましたが、なお改革を要する問題は数多くあります。

国際人としてだれからも尊敬され、信頼される新しい日本人を育てるための教育制度の確立のために、私たちはたゆみない努力を払うべきであります。

人間形成の基本が小・中学校で定まることを思えば、義務教育を充実し整備することは、何よりも大切な問題であります。

小・中学校の校長が退職後再び町に職を求めなければならないような現状を改めるため、定年の延長について真剣に検討をいたしておるのであります。

今回、これらの教員に対して給与の増額予算を計上いたしましたのは、子供を導く先生によき人材を得て、先生がその情熱を安んじて教育に傾けられるような条件を一日も早くつくりたいと願ったからであります。

この措置は、たとえささやかなものであっても、やがては大きく実を結ぶものと考えております。

大学は学ぶところであります。

世の親たちは、子弟が大学生として広く高い知識を吸収し、よき社会人として世に出ることを期待しております。

しかし、いまだに学園に紛争が絶えないのは遺憾なことであります。

かつてはよい環境の中にあった大学も、急速な都市の過密化によって大都市内の教育環境が破壊されているのも一つの原因であります。

また、管理運営にとっても、過密は大きな支障をもたらしておるのであります。

諸外国の大学に見られるように、山紫水明の立地条件のもとで理想的な教育環境をつくるごとができないはずはありません。

大学の地方分散と新しい大学の設立を考え、新たに調査費を計上したのもこのためであります。私学の振興は重要な課題であり、助成措置の拡大をはかっております。

教育は、次代をになう青少年を育て、民族悠久の生命をはぐくむための最も重要な課題であることを思い、理想的な教育の条件と環境の確立にたゆみない努力を傾ける所存であります。

以上申し述べましたように、本年の重点的な政治目標は、平和外交の推進、国際収支の不均衡の是正、社会保障の充実と生活環境の整備、物価の安定、国土総合開発の推進などであります。

私は、これらの課題を解決するために最善の努力を傾ける決意であります。

もとより新しい政策は、長期的な視野に立ち、国民的な支持と理解を得ながら総合的かつ計画的に実現していかなければなりません。

このため、わが国経済社会の発展の方向と政策体系は、新しい長期経済計画をもって明らかにしてまいります。

現代社会は、大きく深い変化を経験しつつあります。

内に外に変革期の課題は山積をしております。

私は、さきの総選挙を通じて国民の政治に対する期待や不満を痛いほどに感じ取りました。

人間性を回復した平和な新しい日本をつくるには、古い制度や慣行にとらわれることなく、産業や経済のあり方を大胆かつ細心に変えていかなければなりません。

しかも、当面しておる難問を解く処方せんは、わが国の歴史に先例を求めることができません。

他国にその例を見出すことも不可能であります。

新しい時代の創造は、大きな困難と苦痛を伴うものであります。

しかし、私は、あえて困難に挑戦し、議会制民主主義の確固たる基盤に立って、国民のための政治を決断し、実行いたします。

そして、結果については責任をとります。

国民各位も積極的に発言し、ともに日本の将来を切り開く歴史的な事業に参加してほしいのであります。

私たちは、これまでもお互いに多くの障害を乗り越えてきました。

こうした日本人の英知と、日本経済の活力は、いささかも衰えてはいないのであります。

一億をこえる私たち日本人が、ひたすらに平和の道を歩み、物心ともに豊かな社会を建設するため、総力をあげて国内の改革に進むとき、外に平和、内に福祉の新時代のとびらを開くことは、必ずできると確信をいたします。

国民各位の御理解と御支援をお願いいたします。

 

 


■第72回国会 参議院 本会議 第6号 昭和49年1月21日(田中角栄施政方針演説)

田中角榮

~~~

政府は、正直者が馬鹿をみることのないよう、社会的公正を確保し、経済社会の混乱を未然に防止するため、国民生活安定緊急措置法、石油需給適正化法、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律の機動的な運用等により、物資の需給調整、価格の適正化、投機的行為の抑制をはかってまいります。

今日の事態は、自由と民主主義にとって大きな試練であります。

政府は、この際、企業が目先の利益にとらわれて便乗値上げや投機的行為に出ないよう強く自制を要請するとともに、かりにこれらの不当な行為等によって過大な利益を得た者に対しては、法の厳正な運用をもって対処いたします。

石油自給度の高い米国においてもきびしいエネルギーの消費抑制措置がとられ、また、ヨーロッパ諸国においても産業用よりも民生用需要の抑制に重点を置いた消費規制が行なわれております。

わが国においては、国民生活への直接的影響をできるだけ避けるため、民生用需要の充足を最優先に考えつつ石油、電力等の節減に取り組んでいるのであります。

生活必需物資については、石油、電力の配分につき特段の配慮を行なってその必要量を確保し、また、正確な情報の迅速な提供につとめてまいります。

当面している事態は、物資の絶対的不足に悩んだ戦中戦後の時代とは本質的に異なり、生産力は飛躍的に拡大しており、流通段階にも相当量の在庫が存在し、生活必需物資の需要には十分にこたえられる態勢にあります。

国民各位も、このような現実を正しく理解し、良識ある行動をもって物価の安定に協力されるよう切に望むものであります。

(中略)

政府は、緊縮財政を貫く中で福祉優先の政策を徹底することとし、社会保障を中心として福祉向上のための諸施策の推進に思い切った財源の投入をいたしました。

老齢福祉年金を五〇%増額するとともに、厚生年金及び拠出制国民年金についても物価上昇にスライドして給付額を引き上げるほか、恩給等についても給付額の改善をはかることといたしております。

また、生活保護世帯に対する生活扶助基準を大幅に引き上げるほか、寝たきり老人、身体障害者等に対する福祉対策の強化や、社会福祉施設入所者の処遇改善等の措置を講じてまいります。

さらに、医師、看護婦等の医療従事者の養成確保など医療供給体制を整備するとともに、適切かつ公正な医療が行なわれるよう一そう力を注ぐ考えであります。

税制面におきましては、給与所得者を中心とする税負担の軽減、適正化をはかるため、所得税について給与所得控除の抜本的拡充等により初年度一兆四千五百億円にのぼる大幅減税を実施することといたしました。

この結果、いわゆる標準世帯給与所得者の課税最低限は、平年分で現行の百十五万円から百七十万円に引き上げられることになり、年収二百万円で七五%、三百万円で五五%それぞれ所得税負担が軽減されるのであります。

反面、法人税をはじめ、印紙税や自動車関係諸税について増税措置を行ない、国民負担の適正化と税体系の整備合理化を一そう推進することといたしております。

将来にわたって国民生活の安定と充実をはかるためには、財産づくりを進めることが大切であります。

政府は、健全な貯蓄を奨励するため、預貯金金利の引き上げ、利子非課税限度の引き上げを行なうとともに、勤労者財産形成貯蓄に対する優遇措置を強化し、また、事業主の協力が得られるよう勤労者財産形成基金制度を創設することといたしました。

なお、今後、高齢者社会への移行や石油危機に伴う雇用問題に適切に対応するため、現行の失業保険制度を雇用保険制度に改め、総合的な雇用対策を推進することといたしました。

今日の異常事態において、中小企業をめぐる環境はきびしさを増しております。

政府は、特に小規模零細企業の経営圧迫を防ぐため、無担保無保証の小企業経営改善資金貸し付けの資金量の増加、貸し付け限度額の二倍引き上げ、税負担の軽減など、金融、税制面での施策を画期的に拡充するとともに、経営指導事業の抜本的強化をはかってまいります。

(中略)

沖繩については、県民福祉の向上のため、本土との間に格差の見られる医療体制、社会資本等の整備、充実を積極的に進めてまいります。

また、開催期日を延期することとした沖繩国際海洋博覧会につきましては、その沖繩振興開発上の重要性や国際的意義にかんがみ、これを成功させるよう努力を重ねてまいります。

教育は、民族悠久の生命をはぐくみ、日本文化の伝統をつちかう最も重要な国家的課題であります。

激動と試練の二十世紀をこえて日本民族の歴史を創造するものは、青少年であります。

心身ともにすこやかで、豊かな心情と創造力に富み、広い視野と強い責任感を持った青少年の育成は、国民共通の願いであります。

私は、青少年諸君が、強靱な精神とたくましい身体を養うとともに、公共に奉仕する使命感に燃え、国際人としても信頼されるたくましい日本人として成長することを心から期待いたします。

政府は、新たな決意をもって、教育の刷新、充実のための施策を積極的に進めてまいります。

なかんずく、初等中等教育については、知・徳・体の調和のとれた人間形成の基本の確立を目ざして、教育内容を精選し、児童、生徒が責任を重んじ、みずから考え、みずから能力を切り開いていく態度を修得させるように配慮いたします。

学校教育の成否は結局個々の教師の力にまつところが大きく、その責務は重大であります。

教師に対する社会的信頼の確保こそ、重要な課題であります。

教職によき人材を得て、その情熱を教育に傾け得るようにするため、引き続き教員給与の改善を推進してまいります。

また、高等教育については、大学改革の推進をはかるほか、教育の機会拡大の要請にこたえ、無医大県の解消、新しい構想による高等教育機関の計画的な拡大など多彩な施策を進めてまいります。

さらに、理想的な教育の条件と秩序ある学園環境の確立のために、たゆみない努力を傾ける考えであります。

なお、先般の国連総会において、国連大学本部の日本設置が決定を見たことは、国際社会における日本の役割りを果たす上でまことに意義深いものがあります。

その受け入れに遺憾のないよう万全を期してまいります。

福祉国家の建設にとって、婦人の参加と活躍は、ますます不可欠の要請となりつつあります。

わが国の婦人は、その高い能力をもって、女性固有のものとされている職域はもとより、従来男性の職能分野と見られていた専門的技術的分野にも活発に進出し、多くの実績をあげていることは、心強い限りであります。

今日、看護をはじめ、社会福祉、教育など各種専門分野においても、婦人の進出にさらに大きな期待がかけられております。

他方、女性には、家庭においても、母として、次代をになう児童を直接養育する重大な使命があります。

いまや、婦人の就業やその家庭生活との関係等につき、新たな観点から、さらに抜本的に検討すべきときであります。

政府は、専門技術者の養成、家庭婦人の就業促進とそのための社会的環境条件の整備等につき、真剣に努力を重ねてまいります。

私は、一昨年来の米国、欧亜大陸、東南アジアへの訪問外交を通じ、緊張緩和は、欧州におけると同様アジアにおいても現在の国際秩序を踏まえて、そのワク内で達成されつつあるとの確信を深めたのであります。

わが国は自衛のための必要とされる最小限度内の防衛力を維持するとともに、引き続き日米安全保障体制を堅持してまいります。

政府は、防衛問題に関し、国民の広い理解と支持を得るため一そうの努力を重ねてまいります。

自衛隊の施設及び在日米軍に提供中の施設区域の周辺地域における民生安定諸施策を抜本的に強化するため、新たに法律案を今国会に提出するほか、米軍が使用する施設区域の整理統合についても引き続き真剣に取り組んでまいります。

なお、昭和四十九年度における防衛費については、当面する内外の情勢を十分勘案し、総需要抑制の見地からも、必要最小限の経費計上にとどめました。

現下の国際情勢は一そう多様化の度を加え、世界は、政治的にも経済的にも新しい秩序を模索しつつあり、わが国を取り巻く内外の情勢は、戦後かつてないほどに複雑かつきびしいものとなっております。

このようなときにあって、各国との相互理解と協力の増進はことのほか重要であります。

私が、さきの米、中、西欧及びソ連の訪問に引き続き、このたび、アジア五カ国を歴訪しましたのも、世界的視野に立つわが国外交のあり方、国際社会に向けてわが国が果たすべき責任を見きわめるためでありました。

私は、かねてよりできるだけ早くアジア諸国をたずね、心の通った隣人としての友好を深めることにより、これら諸国のわが国との関係に新しい一ページを開きたいと念願してまいりました。

私は、今回のアジア訪問を通じ、これら諸国との平和と繁栄を分かち合うよき隣人同士の関係をいかにして育成、強化することができるか探究することに可能な限りつとめました。

わが国のアジア諸国との関係や、わが国企業の経済活動に対する不満や批判についてもつぶさに見聞をいたしました。

私は、その中で、各国、各国民にとって相互理解と協力がきわめて大切であるにもかかわらず、それが言うはやすく実行はまことに困難な課題であることを痛感いたしました。

国際協調の意味するところを正確に把握し、これを国の施策と国民一人一人の行動と反映させることは、われわれが考えるほどには容易ではありません。

一億の日本民族は、単一民族として島国の中で人種的対立もなく、宗教や言語の争いもなく、そのエネルギーをひたすら復興と建設に結集することができました。

そのことは、一面で世界各国の中でもきわめて恵まれた点であると考えられますと同時に、他面、国際協調ないし外国との交際においては、いまだ大いに反省し、みずから学ぶ点の多々あるという結果をもたらしております。

敗戦直後の荒廃の中で復興に努力する過程では看過され、ある程度正当化されたかもしれない閉鎖的な国益追求の姿勢は、もはや国際的に通用しないばかりか、災いの種ともなりかねません。

この際、わが国に対する正当な批判にはすなおに耳を傾け、改めるべきところは改め、長期的展望に立つ互恵的な交流関係の維持増進をはからなければなりません。

こうして、日本が自分のものさしだけで判断することなく、アジア諸国のよき友人となり、苦楽を共にしてこそ、はじめてアジアの永続的な平和の確立に貢献できるのであります。

私は、かように人の面について見直しが必要であることを訴えるものでありますが、物の面では、歴訪諸国との首脳会談を通じ、アジア諸国とは相互補完の関係にあることを一そう感得いたしました。

わが国は、アジア諸国の協力を必要とし、アジア諸国もまた、その国づくりのため、わが国の協力に多大の期待を寄せているのであります。

わが国は、アジア諸国の期待にこたえるため、政府開発援助の質的改善を含む援助対策の一そうの転換をはからなければなりません。

具体的には、関係国の一般大衆の福祉向上のため、農業、医療、教育、通信等の分野に対する援助を拡充し、政府借款の条件を緩和し、贈与の対象範囲を拡大してまいります。

その一環として、政府は、国際協力推進のために国務大臣を新たに設けるほか、国際協力事業団を設立し、政府及び民間の協力体制を整えることにいたしました。

東南アジアを訪問して、今次石油危機がわが国や欧州諸国等に深刻な影響を与えている以上に、アジアの開発途上国が直接的な打撃をこうむっており、特にわが国の経済活動の停滞により、甚大な影響を受けている事実を痛感してまいりました。

資源問題の根本的解決は、産出国と消費国との間に互恵互譲の精神に基づく調和ある関係がつくられて、はじめて可能であります。

政府は、産油国と消費国との会合に言及した石油輸出国機構の声明を歓迎するとともに、国際的な解決をはかろうとする試みに参加し、世界経済の拡大と発展のために積極的に貢献してまいりたいと考えております。

政府は、資源確保にあたっては、内にはわが国経済の体質を資源供給の制約という新事態に対応すべく転換しつつ、外に向かっては、その安定供給の確保と供給先の多角化のための努力を鋭意積み重ねてまいりましたが、これらの努力も中東紛争を契機とする新事態に対応し得るほど十分のものではなかったのであります。

わが国は、中東における公正かつ永続的な平和が早期に達成せられることを期待するものであり、そのためできる限りの寄与を行なってまいります。

また、これら諸国との間に、長期的観点からその工業化の努力に対する具体的な経済技術協力のほか、人的、文化的交流等幅広い友好関係を増進するため、最大限の努力を傾ける必要があります。

以上の政策を踏まえ、政府は、さきに中東問題に関する態度を明確にするとともに、三木副総理をはじめ政府、党首脳を中東諸国はじめ関係諸国に派遣したのであります。

資源の共同開発、新エネルギーの研究等に関する国際協力の促進の重要性はますます高まっております。

これらの問題については、昨年の各国首脳との会談においても、すでに積極的、具体的な話し合いを行なった次第であります。

米国とのゆるぎない相互信頼関係は、わが国の多角的外交展開の基礎をなすものであります。

そのため、政府は、米国との貿易収支の著しい不均衡を大幅に改善せしめたのみならず、広く世界経済全体の発展確保のため、拡大均衡を指向する両国間の互恵的な貿易経済関係の増進に格段の努力を傾けております。

欧州との間には伝統的な友好関係が存在しながらも、具体的な協力関係は必ずしも密接であったとは申せません。

昨年の訪欧の結果、広範な分野にわたり、各国との対話は大いに促進強化されましたが、この成果を踏まえ、今後ともわが国外交基盤の一そうの拡大に資してまいります。

ソ連との関係においても、北方領土問題が平和条約の締結によって処理されるべき戦後の未解決の問題であると確認されたことはきわめて意義あることであり、あわせて、これまでの両国関係の着実な発展を一そう増進する素地ができ上がったことは、わが国益に資するゆえんであると考えます。

日中間の国交正常化以来その成果は着実に定着しつつあり、わが国外交の幅広い展開は一そう容易になりました。

政府としては当面する実務諸協定等の締結を促進し、日中関係の一そうの進展とアジアの平和と安定に寄与してまいる考えであります。

私は、わが国を取り巻く国際情勢のきびしさと、わが国が果たすべき責任の重さについては十分な理解をいたしております。

一昨年来の首脳外交により、世界的視野に立つわが国外交を強力に展開する基盤は固まりつつあると確信しております。

私は、今後とも、すでにもたらされている各国首脳の招請にもこたえつつ、多方面との幅広く、奥行きの深い外交努力を積み重ね、平和と繁栄を享受できる住みよい人類社会形成のため、着実な国際的貢献を行なってまいる考えであります。

われわれの前に横たわる数多くの難問は、先人が経験したことのない種類のものであります。

これらの難問を解く処方せんを過去の教科書に見出すことは不可能なのであります。

しかし、戦後の窮乏の中にあって、われわれは、乏しきを分かち合いながら苦しい試練に耐え、復興への道を切り開いてまいりました。

その同じ国民が、当時に比べはるかに物の豊かな今日、たとえそれがいかにきびしくとも、当面する困難を乗り切れないはずはありません。

自分さえよければという気持ちで目先の利益を相争い、相互不信におちいるようなことがあれば、それは国民にとって大きな不幸であります。

このような事態を回避して国民の不安を解消し、難局に対処していくのが政治の責任であります。

いまこそ、政治が本来の意義と機能を取り戻し、その力を余すことなく発揮すべきときであります。

政治は、一政府、一政党のみにかかわるものではありません。

国民一人一人の多様な願望と英知が相寄り、国の命運を決定づける力となるのであります。

政府は、政策目標と個々の政策手段を選択して、これを広く明らかにし、国民の支持と理解を得ながら冷静な判断と俊敏果断な行動をもって対処し、その結果については責任をとってまいります。

転換期を乗り切るためには、大きな困難と苦痛が伴います。

しかし、議会制民主主義の確固たる基盤に立って、政府と国民が相携えて力を尽くすならば、今日の試練を克服して、協調と連帯の新時代を切り開いていくことは必ずできるものと確信いたします。

国民各位の御理解と御協力を心からお願いいたします。

田中角榮


■菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか、「仲間」を目指すのか/倉山満 SPA!(2020年11月12日)

2022-05-03 03:59:55 | 日記

 

■菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか、「仲間」を目指すのか/倉山満

SPA!(2020年11月12日)

https://nikkan-spa.jp/1714166


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◆首輪のついた「弱い日本」から「自立した強い日本」への道は、軍事力を裏付ける経済力の回復だ

 

さて、こうした流れの中で安倍外交はなにをやってきたか。

孤立するトランプの友達でいた。


ただ、それだけだ。

この場合の「友達」とは「仲良し」であって「仲間」ではない。

 

(中略)

 

ただ、精神論だけ言っても裏付けが無ければ意味がない。

では、その防衛費を増額させる財源はどこからひねり出すか。


経済成長以外にありえない。

安倍内閣は8年も政権を独占しながら、景気回復すら達成できなかった。


それどころか2度の消費増税により景気回復を腰折れさせていたところに、コロナ禍である。

今でこそ巨額の給付により国民経済は何とか支えられているが、ではいつまでこれを続けるか。


それとて、今すぐ金融緩和をやめてしまえば、リーマンショック以上の大不況が押し寄せてくるのだ。

 


◆米中対立の中で、我が国の選択肢は二つしかない

 

コロナ禍を収拾、そして景気回復を成し遂げねば、外交などできはしないのだ。

古い格言に「外交と軍事は車の両輪」とある。


軍事抜きの外交など、発言力は十分の一だ。


もし菅内閣が本気で外交をやるならば、防衛費GDP2%程度の軍事力を持たねば話にならないし、その為にはコロナ禍とデフレ経済を早々に退治しなければ、軍事力の裏付けとなる経済力が回復しない。


米中対立の中で、我が国の選択肢は二つしかない。

一つは翻弄されるだけの存在。


もう一つは自分の力で生きる国となること。

さて、菅義偉首相の選択はどちら?

 


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■菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか、「仲間」を目指すのか/倉山満
SPA!(2020年11月12日)
https://nikkan-spa.jp/1714166


■アメリカにナメられ続けた日本の「悲しすぎる末路」 戦闘機開発でまた言いなりか… 週刊現代(講談社)2020.12.13

2022-05-03 03:59:36 | 日記

 

■アメリカにナメられ続けた日本の「悲しすぎる末路」

戦闘機開発でまた言いなりか…

週刊現代(講談社)2020.12.13

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78291

 


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米政府に煮え湯を飲まされた過去

 


だが、ここからが問題である。

防衛省には戦闘機開発をめぐり、米政府に煮え湯を飲まされた過去があるからだ。


1980年代に、F2戦闘機を日米で共同開発した際、米政府は米議会の反対を理由に提供を約束した飛行制御プログラムを開示せず、日本側の開発費が高騰する一因になった。

開発終了後も、米政府は機体製造への参画を言い出して譲らず、日本政府から受け取る製造費は開発費と同じ割合の40%を主張。


日本政府が折れて希望通りに支払った結果、約80億円で調達できる見込みだったF2は約120億円に高騰した。

エンジン1発のF2が、エンジン2発のF15戦闘機より高いのだ。


これで見合うはずがない。防衛省は調達機数を当初予定した141機から94機に下方修正し、計画より早い2007年に三菱重工業での生産を終えた。

その一方で、日本の先進技術による炭素複合材の製造技術が米国に流れ、米国はF22戦闘機やF35戦闘機に転用するちゃっかりぶりも明らかになった。


F2の生産終了後、三菱重工業で行っている戦闘機の製造といえば、F35戦闘機の「組み立て」である。

米政府が日本側に戦闘機の製造技術が流れることを嫌ってライセンス生産を認めず、部品を組み立てるだけのノック・ダウン生産にとどめたからだ。


愛知県の小牧南工場で生産されているにもかかわらず、米政府はステルス技術の流出防止を理由に検査棟を立ち入り禁止とし、完成検査は日本側を締め出して米側だけで行っている。

完成検査後の機体は米政府の所有となり、米政府は防衛省の購入価格を米国から輸入するより約50億円も高い約150億円の高値をつけた。


すると、安倍晋三政権は2018年に追加導入を決めた105機を「安い方」とすることを決め、追加分のF35はすべて米政府からの輸入となり、三菱重工業での生産は行われないことになった。

 


日本は自立した国家になれるのか

 

日本政府は面白いように米政府のワナにはまり、米政府の言いなりである。

その反省から、防衛省は今回の次期戦闘機の開発にあたり、「わが国の主体的判断で改修や能力向上ができる改修の自由度」を条件にひとつに入れた。


日本で開発したり、生産したりしながら、米政府の意向で満足に改修できなかった過去を打ち破ろうというのだ。

また、国内企業参画を目指し、国内産業基盤を維持するために「適時・適切な改修と改修能力の向上」と「高い可動率の確保および即応性向上の観点から、国内に基盤を保持しておくことが必要」とした。


第2次安倍政権になってから、米政府の武器商法である「対外有償軍事援助(FMS)」に基づいて、米国製武器の「爆買い」をした結果、米政府に支払いを済ませているのに武器が未納となっているケースが2017年度末で約349億円に達することが会計検査院の報告書で明らかになっている。

米政府に主導権を握られると米側の都合が最優先され、次期戦闘機が肝心なときに稼働できない事態に陥ったり、適時・適切に改修もできないようになったりしては、お話にならない。


防衛省幹部は「わが国が主導する開発プロジェクトの中で、どのような形での国際協力を活用するかがカギになる」と話す。

今回、選定されたロッキード・マーチン社は三菱重工業の下請けとして、同社や防衛省が必要と判断した範囲内の業務のみに従事する「脇役」に留め置くという。


米政府の言いなりになるだけの不適切な主従関係を見直し、自立した国家になれるのか、次期戦闘機の開発を通して、日本の覚悟が問われている。

 

 

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■アメリカにナメられ続けた日本の「悲しすぎる末路」
戦闘機開発でまた言いなりか…
週刊現代(講談社)2020.12.13
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78291