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MBA -30歳からの挑戦-

30歳を機にMBA取得を志した挑戦者の、勇気あるも困難に満ちた成長物語。アメリカから帰国後、再就職しました。

コールドコール

2005年12月02日 | MBA・留学

それは突然やってくる…。

どのビジネススクールでも恐れられているとは思うが、
授業中にいきなり「あなたはこの点についてどう思いますか?」
と教授が前触れもなく学生に意見を求めることがある。
いわゆる「コールドコール」と呼ばれるもの。
もともとは、「セールスマンがアポなしで、
勧誘訪問をする」という意味があったという。

ビジネススクール第1学期目だというのに、
私にもこれまで何度かコールドコールがかかった。
なにせ予期していないため、
発言を求められるととりあえず驚いてしまう。
そして、「私ですか?」というジェスチャー…。
先生は優しくにっこりと頷く…。

さて、そこからは脳をフル回転させ、
超短時間の間に、意味の通った立派な意見、
そして、自分なりにクリエイティビティーを発揮し、
かつユーモアのあるアイデアを捻り出す。
これまでは無事に乗り越えてきたが、
今回のコールドコールはすごかった。

ネゴシエーションを扱う組織論の授業で、
自社製品の一部に使う非効率部品をアウトソース
すべきか否かを論点とし、
反対する上司役を演じるクラスメイトを
どのように説得するかが今回私に与えられた課題。

クラスの一番前に呼ばれ、
上司役のアメリカ人と一対一で椅子に座らされる。
他のクラスメイトが耳をすませているのを横目に
ネゴシエーションは開始される。

「アウトソースした方が経費が大幅に浮くし、
業界ではアウトソースがまだ浸透していないため、
今この機会を逃せば、ニュース性を他社に奪われてしまう。」

「コストが浮いた分で広告費を増やせば、
誰にも損害が及ぶことなく、皆がWin-Winで幸せになれる」

上記の2点を主眼として、精一杯、
感情を表に出すことなく
うまく説得することができたが、
こういった機会は本当に勉強になる。

問題解決の瞬間的発想力について、
学生に考えさせるというのが、
コールドコールの本来の目的であるはず。
意見を求められるたびに、
何事に取り組む際も、
常に問題意識を持っていないと、
非効率で無駄な時間とエネルギーを費やし、
かつ損失を出しかねないということを、
暗に教えてくれているような気がした。

ビジネススクールでは、
「なぜ?」という質問ばかりである。
「あなたはなぜそう思いますか?」
「なぜ今その戦略を使う必要がありますか?」
「なぜAではなくBなのですか?」
なぜ、なぜ、なぜ…。

日本の教育は先生→学生の一方通行が多いが、
アメリカでは、先生の主な役割は
学生の意見を引き出すことといっても大袈裟ではない。
従って、先生は機会があるごとに学生に意見を求める。

コールドコールであろうがなかろうが、
意見を持たないということは、
「あなたには価値がない」と言われているような感覚さえあるので、
皆も必死になって自分の意見をうまく表現しようとする。
この過程を通して、問題に接した際に、
すばやく、かつ意義のある解決方法を見い出すのだ。

私はいつも「こんな教育方法もあっていいんだな」と、
感心してしまうのだが、
その意義と有用性からして、
日本の教育も確実に「意見引き出し型」に変わっていく。
だが、学生に意見を求められる能力を有する日本人教員は、
実はそれほど多くはないのかもしれない。

果たして文部科学省はこれらの点について、
どのような意見を持っているのだろうか。
そして、何か手を打っているのだろうか。
また、手を打っていないのなら、
なぜ手を打てないのだろうか…。

どうやら問題解決には「なぜ」が必要不可欠らしい…。


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