チリのサンティアゴで6月23日から27日まで開催されていた、今年、2008年の国際捕鯨委員会(IWC)の総会も閉幕しました。今回の総会の評価は捕鯨国も反捕鯨国もその主張を通すことができなかったという見方が多いものの、「一頭の鯨も獲らせない」という反捕鯨原理主義ともいうべき環境保護団体、そして、オーストラリアやニュージーランド等の反捕鯨強硬国にとっては敗北感が漂うものだったかもしれません。なぜならば、IWCの機能不全を解消するための作業部会の設置が決まり、彼等、国際法を無視する文化帝国主義のカルト集団にとっては、商業捕鯨再開のための道筋を日本やノルウェー等の捕鯨国とアメリカ等の穏健な反捕鯨国につけられてしまい、加えて、結局、「千頭以上の捕鯨が認められている現状」が維持されたからです。
この記事で紹介するのはReutersのIWCチリ総会を総括報道。出典は、"Whales lose, Japan wins as whaling meet ends,"「捕鯨推進派の日本が勝利し捕鯨委員会閉幕」(27 Jun 2008)。「日本が勝利した」とは捕鯨推進派の弊ブログにとって大変気分のよいタイトル(笑)。けれど、ここには本質的な誤解が見て取れる。それは、「日本は捕鯨停止のモラトリアム措置(が見直されなかったこと)について不満を述べ、かつ、商業捕鯨の再開を求めた。けれども、日本に批判的な論者は、「商業捕鯨」という名前こそ使っていないものの日本はすでに商業捕鯨を実施している」という記述。
いわば、「日本は調査捕鯨制度の隙間をつき、科学的調査の名の下で商業捕鯨を行なっている」というステレオタイプの認識がReutersのこの記事にも垣間見える。而して、このような認識は鯨肉窃盗事件を犯したグリーンピース・ジャパン(GPJ)の主張にも散見されるものではないか。そう私は感じています。
おそらく、反捕鯨強硬国は、「調査捕鯨に科学的調査以外の目的が付随することは脱法行為である」と誤解している。更に、彼等は鯨肉が食糧として市場で売買されること自体を「商業捕鯨」と考えている節さえある。あるいは、IWCで認められた調査捕鯨の、調査捕鯨が行う科学的調査の副産物である鯨肉に関する通常の流通機構とは異なる経路を通して鯨肉が市場に流通することは違法なことという認識が(あたかも、鯨肉が「阿片」や「青酸系の毒物」、「児童ポルノのイメージ画像」や「拳銃・日本刀」と同様のものでもあるかのような錯覚が)あるのかもしれない。
而して、これは自己の信じる<正義>のためには窃盗を犯しても毫も恥じない、GPJのカルト的反捕鯨テロリスト達や、そんな「泥棒集団」を支持するPeople Treeなどにも共通する感性であり認識なのではないか(People Treeの傲岸不遜&荒唐無稽なGPJ応援の疑似ロジックに関してはブログ仲間のJodyさんの下記記事をご参照ください)。私にはそう思えてならないのです。
・不買運動始めました!相手はピープル・ツリー!
http://blogs.yahoo.co.jp/give_me_your_opinion/11705766.html
けれども、調査捕鯨は(否、IWC自体がその規約からも「持続可能な鯨資源の利用」を具現するための国際機関であり、それが正式に認めている調査捕鯨は)科学的調査を実際に行なっている限り、他の目的が付随することは毫も批判されることではない。しかも、調査捕鯨の「副産物」である鯨肉が販売されるべきことは調査捕鯨に関するIWCの規則自体が定めていることなのです。
ならば、正規の捕鯨operationで捕獲され生産された鯨肉をどう販売しようが捕鯨船乗組員に対する福利厚生のために当該の乗組員諸君に現物支給にしようが、(税金が投入されている裏面として、水産庁の指導に準拠している限り)日本鯨類研究所・共同船舶という正規の捕鯨operationに携わる組織の自由なのです。まして、捕鯨船の乗組員諸君が、現物支給され、一旦、自己の所有に期した鯨肉を自分で食べようが販売しようがそれは所有権の正当な範囲に含まれる、所有物の利用・処分・収益行為以外の何ものでもない。
尚、「調査捕鯨」等に関する私の基本的な考え、ならびに、GPがテロ集団に他ならないこと、および、GPJの捕鯨反対論が荒唐無稽であること(+英文理解のSOS!)に関しては下記拙稿をご参照ください。
・このグリーンピースによる姑息な暴挙を「テロ行為」と言わずして何を「テロ」と言うのか
http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-316.html
・グリーンピースの人権侵害救済申立書は「グリーンピース=テロリスト集団」の<自白証拠>
http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-314.html
・書評☆星川淳GPJ事務局長『日本人はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』
http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-318.html
・鯨肉窃盗事件☆グリーンピース・インターナショナルの「笑える」プロパガンダ紹介
http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-394.html
・グリーンピースによる「鯨肉入り宅配便」窃盗事件を巡る刑事責任に関する覚書 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-384.html
・反捕鯨論の文化帝国主義的で傲慢な謬論を逐条撃破する
http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-313.html
・KABU版英文法の目次ページ
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4c90b691d5e0e53d8cb87f7803a437ce
このような調査捕鯨を巡る誤解はあるにせよ、Reutersのこの記事は大変勇気づけられるものでした。油断など到底できませんが、(無為無策&利敵行為に走る外務省という足でまといを課されながらも)国益と日本の文化伝統を守るために頑張ってくれている水産庁遠洋課捕鯨班の皆さんの努力、そして、GPのようなカルト的テロリスト集団の卑劣な妨害にも怯まず粛々と調査捕鯨を完遂された捕鯨船乗組員を始め共同船舶の捕鯨ミッションのスタッフの皆さんに感謝する縁になればと思い紹介します。
Whales emerged the big losers as a week long International Whaling Commission meeting wrapped up in Chile on Friday, conservation groups said after anti-whaling nations failed to halt No. 1 hunter Japan.
Anti-whale hunting nations led by Australia have voiced deep concern at Japan's skirting a nonbinding 1986 moratorium on commercial whaling by killing hundreds of whales each year in the name of scientific research.
Japan says it is unhappy with the moratorium and wants to resume commercial whaling, though detractors say it is already doing so in all but name.
The issue has generated so much tension that IWC Chairman Bill Hogarth, seeking to avoid confrontation, set up a working group to try to build consensus over the next year.
But that step, with nations urged not to vote against each other on Japanese whaling or calls for a South Atlantic whale sanctuary, means little was achieved at the meeting, environmentalists said.
"I think it was a disappointing week for whales," said Ralf Sonntag of the International Fund for Animal Welfare.
"Japan goes home without any votes or resolutions against it. Iceland started a new round of commercial whaling just prior to this conference. So they are not taking it very seriously. Nothing has been achieved for the whales."
Japan gives itself a special permit to catch 1,000 whales each year despite the moratorium, while Norway and Iceland continue to hunt whales in defiance of the ban.
Aboriginals in Greenland, Russia and Alaska are granted special concessions for subsistence hunting.・・・