英語と書評 de 海馬之玄関

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気楽に英語 de パラグラフ(13):「格差社会」克服の唯一の道は小泉構造改革の継続である

2006年05月17日 21時57分47秒 | 英字新聞と英語の雑誌から(~2010年)

●Koizumi says equality gap 'not bad'
Prime Minister Junichiro Koizumi on Tuesday rejected criticism that his government's policy of structural reforms had merely succeeded in creating a wider gap between the haves and have-nots, saying such gaps were not necessarily a bad thing.

"In any country, in any given era, there are always income gaps to some extent. But they're not always a bad thing," Koizumi said in defense of deregulation and other measures taken by his administration to boost the private sector.

"What's important is not to only look at the gaps, but to take social competition as an opportunity for citizens to learn from one another and bring out the best in everybody," Koizumi said. The prime minister was speaking Tuesday at an intensive debate on structural reforms and regional economies at a meeting of the House of Representatives Budget Committee.

But he acknowledged the need for second chances for those who had dropped out of the rat race through job-training programs and assistance for new business start-ups. "The so-called winners and losers mustn't remain fixed. It's necessary to provide chances for those who've lost out once to make a comeback as a winner," Koizumi said.

The prime minister also spoke of the need to pay more attention to the weak. "It's important for the government to consider what it can offer to those who really can't support themselves," he said. (The Daily Yomiuri, Mar. 1, 2006:227 words)



■Vocabulary&Idiom
structural reforms 構造改革,  income gaps 所得格差
deregulation 規制緩和,  boost 応援する/活気づかせる
the House of Representatives Budget Committee 衆議院予算委員会
rat race 出世競争/世の世知辛い競争, 
provide A for B=provide B with A BにAを提供する/供給する 



■Comment
本文第1パラグラフの"the haves and have-nots”(持てる者と持たざる者)は英字新聞の頻出表現と言っていいと思います。他の単語と組み合わせて”information haves and information have-nots”(情報を持っている者と情報から疎外されている者)のようにも使います。

これと、似た表現に”the takes and the take-nots":"the wants and want-nots": “the sees and see-nots:”the gives and give-nots”、それぞれ、「(リスクやチャンスを)取る者と取らない者」「(地位や名誉、富みなどを)望む者と望まぬ者」「(現実などを)見る者と見ない者」そして「(貧者や若者に援助やチャンスを)与える者と与えようとしない者」のこと。つまり、「定冠詞+形容詞」、例えば、”the rich”や”the old”で「富める者」「老いた人々」の意味が表せるように「動詞+s and 動詞-nots」で「~の人々」という意味になるのでしょうか。

「なるのでしょうか」と控えめに(笑)書いたのは、同僚のアメリカ人達に確認したところ、これらの中"the haves and have-nots”以外はあまり自然な英語ではなく、日本で言う「学生言葉」のような気がするというコメントをもらったからです。実際、google等で検索しても前後関係から明確にそれとわかる場面以外での使用例はありませんでした。

よって、書き手ができるだけ記事の字数を少なくしたい新聞記事ならいざしらず、"the haves and have-nots”以外の「動詞+s and 動詞-nots」の形はビジネスレターなどではあまり使わない方が無難かもしれません。



■試訳
●「格差は悪ではない」☆小泉首相の国会答弁から 
小泉首相は、火曜日、小泉政権が推進してきた構造改革は持てる者と持たざる者との格差を拡大させたにすぎないという批判を一蹴した。格差は必ずしも悪いことばかりではない、と。

「どの国でもどの時代でも、ある程度の所得格差は常に存在するものであります。格差は必ずしも悪いことではないのです」こう述べて、小泉首相は規制緩和を始めとする民間部門を活気づけようとした彼の政権の諸施策を擁護した。

「重要なことは、格差に注目するばかりではなく、互いに学びあい、そして、各自のベストを引き出すための機会として社会的で繰り広げられている競争をとらえることではないでしょうか」とも小泉首相は述べた。これらは火曜日に行われた衆議院予算委員会での構造改革および地方経済に関する集中審議における答弁である。

しかし、首相は、職業訓練や新規事業の立ち上げという支援を通して出世競争から脱落した人々に対する敗者復活のチャンスの必要をも付け加えた。「所謂<勝ち組と負け組>が固定化するようであってはならないのです。一度、競争に破れた者が捲土重来を期し勝者として返り咲くことができるような機会が彼等に与えられるべきなのです」、と。

更に、首相は弱者に対する配慮の肝要なることも談じた。「他の助けを本当に必要とする人々に対して政府が提供できることを政府が配慮することは重要なことであります」、と。




■感想&感慨
これは2ヵ月以上前の記事です。BLOG間の住みわけやら思うところもあり、政治的な主張は第一BLOGの守備範囲(?)としているのですが、自民党の総裁選挙とからめて最近、「小泉政権の光と影」という切り口から「格差社会」の問題がよく語られていますのでこの記事を取り上げることにしました。

格差社会なるものをどう理解するかに関しまして、私は小泉首相の主張にほぼ賛成です。今度、英語で首相の発言を読み返してみてなおさらそう感じました。尚、所謂「小泉政権の光と影と格差社会」に対する私の基本的な考えについては下記拙稿を参照していただければ嬉しいと思います。

<格差社会>を乗り越えずして成長はない_格差拡大は小泉政権の失政に非ず

本編の記事が要約紹介している首相の発言が、実は、どんなコンテクストでなされたものかを確認するためもあり、この記事が取り上げた平成18年2月28日の衆議院予算委員会における小泉首相の答弁を「公式議事録」から抜粋しておきます。日本語と英語とでは少し受ける印象が違いますね。紫字の箇所が本編の英文テクストに対応していると思われます。



本日は、構造改革と地方経済等についての集中審議を行います。
○ 小泉内閣総理大臣 
いわゆる大きな政府、小さな政府という言葉が最近よく使われますけれども、要するに、小さな政府というのは、今大きな政府であるという認識があるから、対比で使われているんだと思います。

では、大きな政府は何か。国がやらなくていいことをやっている部分が多いのではないか、わかりやすく言えば。もっと民間に任せてもいいんじゃないか。地方にゆだねてもいいのではないか。そういう面を政府がやり過ぎているんじゃないか。だから、今やっている政府の役割というもの、仕事というものをよく見直して、民間にできることは民間にやってもらいましょう、地方にできることは地方にやってもらいましょうと。簡素で効率的な政府を目指すということは、そういう国の役割、民間の役割、地方の役割、これを見直すということから出てくる問題だと思っております。そうして、多くの国民が、やればできるというような意欲を持って企業なり個人なりが働ける環境をつくっていこう。

すると、規制改革というものが出てきますね。これは国が、いろいろあれをしてはいけない、こういう基準を設けなさい、しかし、その基準が本当に必要なんだろうか。こういう規制が必要なんだろうか。もっと規制を緩めれば、地域の実情に合わせてできるのではないか。

端的に言えば、学校は天井の高さが一定に決まっていた。たしか二・七メートルですか。本当に二・七メートル要るのか。この基準をもっと下げれば、校舎も低くして費用も低くして、生徒が勉強しやすい環境がつくれるんじゃないか。こういう基準も緩和した方がいいかということが出てきましたね。そういう規制の改革。

あるいは、地域の港を振興する場合においても、一定時間決められたのを何時間でも港を開港していいようにしよう。規制改革をすれば地域の活性化、物流の展開も充実する、国民生活もこれについて利便を得ることができる。さまざまな改革があります。しかし、どうしても国がやらなきゃならない、これをやはり見極めていく必要があると思います。

同時に、政治で一番大事なことは、まず、個人にしても企業にしても地域にしても、やる気を起こしてもらう。手足を縛ってあれをやるな、これをやるじゃなくて、何かこうやりたいというものを支援する、意欲をかき立てるような環境をつくっていくことが必要だ。

そして、今勝ち組、負け組という言葉がよくありますけれども、これを固定化しない。勝った方だっていずれは敗れるときがある、失敗するときがある。一度の戦いに敗れたとしても、失敗したとしても、またチャンスが提供されれば勝てる場合もあるんだ。そういうチャンスを提供していって、一度や二度の失敗にくじけないような、さまざまなチャンスを国民にも企業にも地域にも提供して、ああ、自分たちは、ずっと、一たび戦いに敗れると、そのままの状態が固定化されてはいけない、そういう、やればできるというような、各地域や個人や企業に意欲を持ってもらうような環境を整備することがこれからの社会では必要ではないかと思っております。




○ 小泉内閣総理大臣 

どの国にも、またどの時代でも、ある程度格差はあると思います。そういう中で、どのように活力を持った国にしていくか、社会にしていくか。また、個人にとっては、その持てる能力はそれぞれ違うわけですから、その持てる能力を生かしていくか。このことに対しては、常に、違いといいますか多様性というものを認めながら、お互いの力を、あるいは能力を高めていく努力と創意工夫を発揮するような社会をつくっていくことが望ましいと思っております。

同時に、みずから助けることができる人、そして、自分の創意工夫を発揮して、余り人から干渉を受けたくないという人はともかく、どうしても自分だけではやっていけない、そういう方に対して国としてどのような支援の手を差し伸べるか、そういうことが重要であると思っております。

私は、今回の、地域でばらつきがあるというのは、むしろ今後我々が、地域が競争する、競争するということは違いがあるということであります。競争によって、いいことがあればいい方を見習う、余り芳しいことがなければ逆に見習う、そういうことになりたくないと。いろいろな点があるんですから、最低限どういうことを国がやるべきか、あとはそれぞれの地域なり企業なり個人なりの能力を生かすような環境を整えていく、これが私は政治で一番大事なことだと思っております。







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