goo blog サービス終了のお知らせ 

太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#421 ドックとスニーカー

2017年10月22日 | 太陽にほえろ!


非番の日、街を歩いていてふとしたことから医者と間違えられ、若い女にアパートに誘われるドック(神田正輝)とスニーカー(山下真司)。
逆ナンパにニヤニヤしている二人だが、そこには腹を怪我した男と、拳銃を持った男が待っていた。
管内で銀行を襲った際に拳銃が暴発して怪我をしたが、病院には行けず治療してくれる医者を探していたのだ。


8人体制の一係で、若手二人を同じ日に休ませてくれるというのはなかなか太っ腹なボス(石原裕次郎)ではないでしょうか。

非番でも呼び出しに備えてポケベルを持ち歩くスニーカーと、そんなもん持ってんのかと驚くドック。
ガールハント(死語)しようというドックを、刑事なのにと責めつつ、自分も眼医者だと偽って女の誘いに着いていくスニーカー。
わちゃわちゃとしたやりとりが、ふつうの20代男子です。

真面目なスニーカーは、ドックみたいなタイプに反発するかと思いきや、一係の中ではもっとも早くからドックのキャラクターを
受け入れていた気がします。まあ、タイプが違うからこそ仲良しというのはよくあることです。

ドックは実家の西條外科医院に忍び込んで薬や治療器具を失敬し、ついでに手がかりを残していくのですが、
ここで重箱の隅をつつくような疑問を…。

1. ドックのお父さんは勝さんのはずだが、病院の看板には「西條恒男」と。おじいちゃんか?
2. 西條外科医院はこのあとも、「父親」「ドック刑事のシアワセな日」等に出てくるが、
  毎回外観および診察室が違う。ドック本人はともかく、開業医の実家がそうそう引っ越さないと思うんだけど。


怪我人の治療と保護を最優先し、冷静に時機を待つドックと、そんな彼の態度に不信感を抱きつつも、
機転を利かせてボスに居場所の手がかりを伝え、犯人逮捕のタイミングをうかがうスニーカー。
ピンチを乗り越え、みごと犯人を逮捕した二人は、このあとさらに名コンビになっていきます。


おなじみの一係、ボスの机を囲んでの一コマ。

「ちょいと見直したね。手術をやりなおした執刀医が、『たいへん見事な処置だった』と感心しておりました」と、
嬉しそうにボスに報告するゴリさん(竜雷太)。ドックの調子の良さに辟易していたはずなのに、良いところはちゃんと認めて褒めてくれる。

「さすが、医学部」というロッキーに、「でも中退」とスニーカー。すかさずファイティングポーズをとるドック。
「実はですね、腹の傷だけにハラハラでした」というジョークで乾いた笑いを引き起こし、
「車に戻ってから二人で逮捕した方が確実だった」と疑問を投げかけるスニーカーに、「それじゃ俺が撃たれていたかもしれない」とドック。
二人の追いかけっこを、心底(うるっせーなー)という顔で見ているボス。

みんなの息の合った掛け合い、間合いが心地よく、自分もその場にいていっしょに笑っているような感じがします。




#424 拳銃を追え!

2017年10月13日 | 太陽にほえろ!


拳銃ってものはね、遊びや道楽で済むもんじゃないんですよ。
持てばいつかは必ず撃ちたくなる。
人を殺したくなるんです。



かつて、自分が撃つのをためらったばかりに先輩刑事を死なせてしまった過去をもつスコッチ(沖雅也)。
そんな彼が、街に出回っている45口径の拳銃3丁のゆくえを追います。

今回の相棒は、登場回で「学生時代に海外の射撃場でバンバン撃ちまくってシビれた」とぶっちゃけたドック。
そんな彼も、もうすこし後になって、初めて犯人を射殺して動揺し、自身も撃たれたり、仲間を失ったり…という
経験を重ねて、拳銃に対する向き合い方も変わっていきますが、今はまだ怖さを知らないようす。
事件が解決したら音大生を紹介してもらえると信じて、スコッチを手伝います。

孤高の人だったスコッチが、このころには若手を率いて現場を回すようになっていました。
実際の年齢は沖さんが一番下だったそうですが、ドラマの中ではスコッチが長兄、
次いでロッキー、さらにドックとスニーカー…という印象です。


「太陽」の中で、私が本当に射撃が上手そうだなと思ったのは、沖さん、竜さん、神田さんです。
役の設定のままといえばそうですが、みなさん拳銃が手になじんでいるというか、動きに無駄がなく、
構えた時にピタッと止まるし、ちゃんと銃の重みを感じます。

かっこいいなーと思うと真似をしたくなるのが人情というもの。興味のあるものはとりあえずやってみるタチですが、
ここで射撃に手を出さなかったのは、冒頭のスコッチの言葉があったから。

実際にはそうそう簡単に当たるものではないでしょうが、根拠のない自信があって、やれば上手くなってしまう気がしていましたw
そして、的では満足できず人を殺したくなったらどうしようと…。

「太陽」の長い歴史の中でも、私の中にしっかりと刻み込まれたセリフのひとつです。


#415 ドクター刑事登場!

2017年10月09日 | 太陽にほえろ!

殿下が不慮の死を遂げた翌週、新しい刑事が七曲署にやってきました。
その一週間は殿下が死んじゃったという衝撃で、次の刑事がどんな人かは気にしていなかったです。

ただ、オープニングで西條昭という刑事が出てきたときに、
「今までと違う」という予感がしてわくわくしたのを覚えています。

その春に転校したばかりの私は、あたらしい環境でなるべく目立たないように 静かに存在することを心がけていましたが、
同じ夏に新しく七曲署に入ったこの人は、 ずいぶんと図々しく、しかし軽々と明るくみんなの輪に溶け込み、
いつのまにか 輪の中心に収まっていて、「ああ、いいな」と思いました。

それ以来、実際に出会った人以外では、たぶん一番ドックの影響を受けて育ったような気がします。
神田さんのこともドックで初めて知ったので、私の中ではイコールでした。
のちに、「ゆうひが丘の総理大臣」等過去の作品を観て、ずいぶん真面目な役をやってるなーと笑ってましたが、
世間的には真面目なイメージが先だったんですね。

開業医の長男なのに医学部中退、はずみで警察官になり、発砲件数が多いからと本庁捜査一課から七曲署志願。
履歴書の写真は笑ってるし、ピーナッツをもぐもぐしてるし、みんなのあだ名は正確に覚えないし、
かわいい(?)拳銃を持ってるし… 変な奴と思いながらも、いつのまにかすごく気になる存在でした。

ドックの登場を機に、“家族で観ているドラマ”から“私が観たいドラマ”になり、
数十年の時を経て、ふたたび太陽熱がぶり返したのも「ドクター刑事登場」がきっかけとなりました。

DVDのコメンタリーで、神田さんが「笑ってればいいこと起こるしね」と言っていて、
やっぱりドックだなあとうれしかったです。
同じくコメンタリーでロッキー木之元さんが言っていたように、このころから一係に弾むようなリズムが出てきたと思います。

その後、新入りの刑事としては異例の長生きをするドックですが、同年代のロッキー、スニーカーとの友情を育み、
一係激動の数年を経て、いつのまにか兄貴分に押し上げられ、それはそれで新しい魅力がありましたが、
振り返って登場編からラガー登場までのエピソードを観ると、マイペースで、無理はしないけどけっこう無茶はして、
いい加減だけれど案外情に厚かったりするドックの個性は、この時期に最も発揮されていたと思います。

太陽にほえろ!と再会

2017年10月09日 | 太陽にほえろ!
物心ついた時には、「太陽にほえろ!」を毎週金曜日に家族でそろって観ていました。
マカロニやジーパンのころは、幼なくて正直記憶もほとんどなく、再放送で見たものをうっすらと覚えているというかんじです。
テキサス・ボンは「好きだった」という記憶はあるものの、たぶんそれも後付けの記憶のような気がします。
殿下が何度も命の危機にさらされ、ついに事故死という衝撃の最期を茫然と見送った翌週、
ドックが登場したのを境に、私の中で新しい「太陽」が始まり、ここからの記憶は驚くほど鮮明です。
金曜日が私の生活の起点でした。

やがて番組も終わりの時を迎え、私自身も高校卒業と同時に「太陽」を卒業しました。
あれほど生活の中心だった番組ですが、終わったと同時期に自分も実生活に変化が多く、
いつしか「太陽」も、なつかしい子供のころの思い出になっていました。

そんな2017年・今年の夏、ボス・石原裕次郎さんが亡くなって30周年の節目に、
「太陽にほえろ!」新人刑事登場編特集なるものが某チャンネルで放送されました。
タイミングよく観ることができたのは、マカロニ、ボン、ドック登場編だけだったのですが、
これを機に、すっかり思い出になっていたはずの太陽が、またまた熱く照りだしました。

子どものころを懐かしむのなんて、もっと年をとってからだと思っていたのに、
案外あっさりとその時は来てしまいました。

でも、ここで再会したのも何かの縁。
もう一度「太陽にほえろ!」を観直し、その魅力を再発見したいと思います。