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『ピクニック・アット・ハンギングロック』 ジョーン・リンジー(著),井上里(翻訳)

2025年04月28日 16時41分52秒 | ■読書
オーストラリアの作家ジョーン・リンジーの長篇小説
『ピクニック・アット・ハンギングロック(原題:Picnic at Hanging Rock)』を読みました。
オーストラリアの作家の作品は、6年前に読了したキャンディス・フォックスの『邂逅 (シドニー州都警察殺人捜査課)』以来ですね。

-----story-------------
●山崎まどか氏推薦――「ピクニックの最中に消えてしまう少女たち。彼女たちの喪失をきっかけに、美しいものの全てが崩壊していく」

楽しいはずのピクニック。
だが四人の少女と教師ひとりが消えてしまったのだ。
その事件を契機にすべての歯車が狂いはじめる。カルト的人気を博した同名の映画原作、本邦初訳!
解説=金原瑞人
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1967年(昭和42年)に刊行された作品……1975年(昭和50年)にピーター・ウィアー監督により映画化された『ピクニックatハンギング・ロック』の原作です。

1900年の夏、バレンタインデー……あの日は絶好のピクニック日和だった、、、

オーストラリアビクトリア州のマセドン町に近い奥地(ブッシュ)にある女子寄宿学校アップルヤード学院の生徒たち23名と引率の教師2名は、馬車でハンギングロックの麓のピクニック場に向けて出発した……少女たちは明るい夏の日差しのなか、思い思いにピクニックを楽しむ、、、

だが、楽しいはずのピクニックはいきなり暗転……ハンギングロックを近くで見ようと足を伸ばしたミランダ、アーマ・レオポルド、マリオン・クイード、イーディス・ホートンの4人が帰ってこない。

やがてイーディスがヒステリー発作を起こして、雑木林から飛び出してくる……他の3人は「どこか上のほう」にいるのだ、と言ってハンギングロックを指さすイーディス、、、

そのうえ、引率の数学教師グレタ・マクロウまでもが忽然と姿を消してしまった……何があったのかはわからぬまま。

愉快だったはずのピクニックは一転、暗澹たるムードに包まれてしまう……その事件を契機にアップルヤード学院ではすべての歯車が狂いはじめる、、、

それが、アップルヤード学院の終わりの始まりだった……カルト的人気を博した同名の映画原作、本邦初訳!

超常現象は一切起こらず幽霊も出てこないのですが、それなのに妙に怪談めいていて、怖ろしさを感じる作品……全篇に漂う不穏な雰囲気が印象的でしたね、、、

ハンギングロックでの失踪事件は物語の導入部に過ぎず、権威主義的でお金にうるさいアップルヤード学院長、不安定な立場にある最年少の生徒セアラ・ウェイボーン、岩山に向かう少女たちを最後に目撃したマイケル・フィッツヒューバート、そのお抱え助手で孤児院出身のアルバート・クランドール等々の多彩な人間模様や巨礫ハンギングロックを中心としたオーストラリア独特の自然の描き方も巧く、フィクションではなく、実際に起こったことなのでは!? という印象を受けつつ読み進めました……背中がぞわぞわするような、不思議な感覚の作品でしたねー 怪奇幻想小説っていう感じかな。

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